参院外交防衛委員会で7月30日午後、在沖縄米軍事件の通報事案、防衛省・自衛隊の不適切事案に関する件について閉会中審査が開かれ、福山哲郎、小西洋之両参院議員が質疑に立ちました。

■福山哲郎議員

 福山議員は、沖縄で相次ぐ米軍関係者による女性暴行事件のなかで特に、昨年12月、米空軍兵が16歳未満の少女を誘拐し性的暴行を加えたとされる事件について、3月に起訴され、外務省も同月に把握していながら地元・沖縄県に連絡があったのが6月の県議選後であったことから、あらためて防衛大臣が認識したのかはいつかと質問。これに木原防衛大臣は「6月25日、捜査当局から事案の概要が公にされたことを受けて、外務省から防衛省に情報提供がなされた」と答弁しました。

 一方で外務大臣は、再三にわたり問われた後、3月には報告を受けていた旨答弁。外務省は、今回の事案について、米軍による重大な事件・事故は米側が外務・防衛省と迅速に情報共有し、現地防衛局が関係自治体に通報すると定めている1997年の日米合同委員会合意の趣旨目的が達成されていたと考えていると答えました。福山議員は「(米軍側が)適切にやっているのであれば防衛施設局に連絡がいく。そうであれば関係都道府県に伝えないといけないし、防衛大臣に報告が上がっていないのはおかしい」「政府内不一致だ」「外務省が防衛省に伝えていないなんてあり得ない。大臣に報告が上がっていなかったとしたらシビリアンコントロールが効いていない」などと迫りましたが、外務省は、今回の事案については事務方で判断し防衛省には情報提供しなかったと答弁。福山議員は「こんなことは普通に考えればあり得ない」と断じました。

 この事案の起訴を受け、外務省はエマニュエル駐日米大使に抗議したにもかかわらず、5月にも新たな事案が発生したことも問題視。「明らかにしないと沖縄の不信は払しょくできない」と述べました。

 海上自衛隊員が潜水艦の修理業務に絡んで川崎重工業の社員から金品・物品の提供、資金の捻出を目的とした架空取引などを行ったとする疑惑をめぐっては、いつから、どのくらいの期間行われ、どのくらいの金額でどういう内容が自衛隊に提供されたのかと質問。木原防衛大臣は、特別防衛監察の実施を指示し、現在実施中であるとして一切答弁を拒否。防衛省が4月に川崎重工業から不適切な行為の疑いがあると一報を受けてから3カ月も経過していることから、ある程度ヒアリングをしているのではないかとの疑問を呈し、自衛隊員倫理審査会にかけない理由についてもただしましたが、木原防衛大臣は「自衛隊員倫理審査会による調査に至るまでの情報がまだ十分得られていない。今後の調査によって自衛隊員倫理法等に違反している疑いがあると思料する行為または違反する行為が判明した場合等は自衛隊倫理審査会による調査を行うこととなる」と答えるにとどまりました。

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■小西洋之議員

 小西議員は、(1)海上自衛隊潜水隊員の不正受給事案、(2)川崎重工をめぐる裏金疑惑、(3)沖縄米兵による性暴力事件について、上川陽子外務大臣、木原稔防衛大臣の監督責任をただし、「辞職すべき」と断じました。

 潜水隊員の不正受給事案をめぐり、防衛大臣が直轄する自衛隊の捜査機関である警務隊が昨年11月に4人を逮捕した件を、木原防衛大臣が7月18日に「初めて知った」旨の答弁をしていることについて小西議員は、「大臣に過失がある」と断罪。防衛大臣が「指揮監督を全く行わない」「重大なシビリアンコントロール違反」だと強調しました。そのうえで、自民党の裏金事件をめぐり、自身を処分しない岸田総理総裁を念頭に、木原防衛大臣も「部下だけを処分して自分は何の処分を受けない」と厳しく指摘しました。

 川崎重工をめぐる裏金疑惑について小西議員は、疑惑発覚後から今日に到るまで、防衛省が「回答期限のないアンケート」を実施しているが、「アンケートの中身をチェックしているか」と木原防衛大臣をただしました。これに対し木原防衛大臣が、「チェック等は、私はしておりません」と答弁したため小西議員は、監督責任を果たしておらず「辞職すべき」と断じました。

 沖縄米兵による性暴力事件についても小西議員は、上川外務大臣の監督責任を厳しく追及。1997年に日米で合意した「通報ルール」について、上川外務大臣が「この件が問題になった段階でフレームワークの流れについてしっかりと把握した」と答弁したため、「外務大臣として資格はない」と断じました。

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