福山哲郎幹事長は24日夜、「桜を見る会」の前夜祭をめぐる問題で、安倍前総理の公設第1秘書が略式起訴されたことを受け、同日開かれた安倍前総理の会見の後、記者団の取材に応じました。
福山幹事長は冒頭、「前代未聞のことであり、コロナ(感染症の拡大)で国民が非常に不安と生活に苦しむ中、国会でこのような議論をしていることに非常に腹立たしい思いを感じている」と語りました。
さらに同日、東京地検が安倍前総理を不起訴、公設秘書を略式起訴としたことについて「到底、納得できるものではない」と述べ、国会で1年間にわたり118回もの虚偽答弁を繰り返したことについて「国会を冒涜(ぼうとく)し、国民をだまし続けたことに対する、政治的・道義的な責任はまったく変わるものではないし、今後も責任を免れるものではない。追及の手を緩めることなく、この問題については対処していきたい」と強調しました。
また安倍前総理の会見について、「正直申し上げて、極めてかっこ悪い会見」「『秘書がやったことだ、私は知らない』のほぼ一点張り。7年8カ月も、わが国の総理を務めた方が秘書がやったことだと言い募ることに潔さのかけらもない」と述べ、会見の内容についても、(1)原資は私費からと言われたが、補てん分の708万円もの金額を私費から秘書が勝手に使い込むのは、一般では考えられない(2)明細書の問題も、国会での答弁と今日の会見ではかなりずれており、明細書発行についてホテル側に責任をなすりつけることにも、極めて疑問が残る(3)他の行事、例えば新年会、新春の集い等については記載されているのに、桜を見る会・前夜祭だけ記載をされていなかった理由についても、まったく答えていない(4)答弁の訂正についても、何をどこでどれほど訂正するのか説明がなかった――と指摘。「真実を語ったというよりも、嘘を嘘で塗り固めた非常に残念な会見だった」と総括しました。
明日、衆参両院の議院運営委員会でこの件の質疑が行われることについては、「さらに野党は協力をしながら、真実を究明していきたい」と語りました。
記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。
Q:安倍総理時代の官房長官は菅総理ですが、菅総理の責任をどのように考えるか。年明けの通常国会はどういった点を明らかにしていく方針か
福山)先程の菅総理のぶら下がり会見も拝見しましたが、虚偽答弁を安倍前総理と同様にされてきたことに対する反省も責任の取り方も明確ではなかった。これも非常に残念。
学術会議の問題で6人の拒否理由をまったく明確にしない。拒否する過程の文章を黒塗りで出している。こういったことも、すべて安倍前政権、菅政権に通底する体質。国民に説明をしない、隠す、虚偽答弁をする、民主主義の根幹が崩れていると考えている。菅内閣の姿勢については、通常国会で野党で共闘して追及をしていきたい。
また新型コロナ感染症対策についての政策決定、意思決定のプロセスが極めて曖昧。どのような状況で、GoToキャンペーンの継続、また突然の一時停止に至ったのか等についてもはっきりしない。専門家の意見をどのように取り入れ、何を取り入れないかも明確にはならない。
国民に説明をしない、理由を明かさない、ファクトを伝えない。同じ状況が、新型コロナ感染症から国民の命と生活を守ることにも、非常に悪い影響を及ぼしている。国民の命と生活を守るためにも、こういった菅内閣の姿勢については、極めて強く問題点を追及していきたい。
Q:安倍前総理は「政治責任は極めて思いと自覚している」と自らの責任について言及したが、どういた責任の取り方をされるべきか
福山)安倍前総理は会見で「政治責任は重いと自覚している」「反省の上に立って国民から見て、一点の曇りがないように徹底をしていく」「本当の意味で信頼に足る、期待に応えられるように初心に立ち返って全力を尽くす」と言われたが、森友学園や加計学園、そういった状況のときも同じような答弁を繰り返していただけだった。
ましてや、一点の曇りがないようにと言われたが、今日の会見が、一点の曇りがないどころか、曇りだけの「視界、まさに見えず」というような状況だった。これでは責任を取ったことにならない。
本来なら、前総理としてもっと潔い身の処し方を今日、表明されるかとも期待をしておりましたが、これでは国民は、到底責任のとり方として納得できるものではないと考えます。
Q:通常国会で、例えば議員辞職など具体的に何か要望されるつもりはあるか
福山)総理大臣までされた方ですから、野党から辞職をしろと言われるよりは。
秘書に責任をなすりつけ、私は知りませんでしたなんてことは通用しません。それも、1回だけの答弁で、たまたま秘書から聞いたけれど間違えましたというなら理解しますが、1年間にわたり延々と「自分の答弁が信じられないなら、予算委員会は成り立たない。国会は成り立たない」とまで大見得を切った総理が、いまさら秘書がやり、私は知りませんは通用しない。
身の処し方は自ら考えていただければ。どういう事態がいいのか、お分かりになるはずだと思いますし、国民も、今日の責任の取り方というか「もう一度やり直す」みたいな話は、まったく理解できないと思います。
Q:今日の安倍氏の会見で、ホテル側からの回答を野党は文書で求めていたが、それについて確認しなかったことについて、不作為があったのではとの質問があった。この不作為について、責任があると思われるでしょうか
福山)一般的にホテルは明細書を発行すると国会審議中にも明示し、われわれは文書で確認してくれと言っていたにも関わらず、文書で確認もせず強弁をし続けた。
結果として、秘書から聞いていたが、それは秘書の責任で私は知りませんでした、こんなことは通用するわけがない。
逆に、ホテル側は責任をなすりつけられ、明細書を発行したにも関わらず、総理に国会で言われ続けたというのは、ホテル側にも非常に失礼な態度だと言わざるを得ない。
明細書については、いま議運で明日の審議までに出すように強く申し入れています。なかなか芳しい回答が与党から来てないようですが、これを隠し続けている自民党の責任も極めて重たい、自民党の体質だと言わざるを得ない。
この状況で前総理をかばうこと自体が、自民党は本当に反省しているのかと言わざるを得ない。このことも自民党総裁である菅総理大臣の責任は重たい。少なくとも、明細書と請求書、ホテル側から発行されているものは、速やかに提出をいただきたい。