参院内閣委員会で14日、閉会中審査が行われ、立憲民主党の1番手として杉尾秀哉議員が質問に立ちました。

 杉尾議員は冒頭、羽田雄一郎参院議員が昨年12月27日にCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)により亡くなったことを取り上げ、「痛恨の極み」だとあらためて哀悼の意を表明。党が発表した報告をもとに、亡くなる直前までとても元気であったにもかかわらず、知人が感染したことから濃厚接触者にあたるかもしれないと同月24日に参院の診療所でPCR検査を受けたいと申し入れたあと、予約がとれた27日まで風邪や発熱などの症状が出ても検査を受けられず、結果的に検査に向かう車の中で容態が急変、病院に到着したときには心肺停止の状態だったと述べ、「すぐに検査を受けられていればこんなことにはならなかった。あれだけ何度何度も検査の充実、検査体制の拡充を訴えてきたが改善されていないのではないか」と涙ながらに訴えました。

 これに対し、厚生労働省は「限られた情報の中で個別の事案について答えることできない」と述べた上で、さまざまな施策を講じてきた結果、検査能力は昨年4月の段階では1日当たり約1万件だったものが直近では12万件(実際には半分の約5、6万件にとどまっていると杉尾議員は指摘)を超える規模に拡大している。この規模であれば行政検査需要に適切に対応するとともに、自費での検査についてもいろいろな場面で行われるようになってきていると承知している」と強弁。杉尾議員は「危機感がまったく足りない。全然足りていないからこういうことが起こっている。(菅総理が言うような)『迅速』に検査を受けられていない方はたくさんいる」と断じ、こうした検査を受けられないまま急逝されるケースが多々あることを前提に政策を組み直すよう要請。「悲劇を二度と繰り返してはならないという決意をもとに取り組んでいきたい」と力を込めました。

 緊急事態宣言をめぐっては、杉尾議員は7日の首都圏1都3県(東京、千葉、埼玉、神奈川)に対する緊急事態宣言の発出時に、菅総理が具体的な根拠を示さずに「1カ月以内に必ず事態を改善させる」と発言したことに対し、その実現性を疑問視。これに関連し政府の分科会の尾身茂会長は、1月5日の会見での自身の「1カ月で感染を抑えるのは至難の業」との発言について、難しくはあるが「具体的な強い対策」「国と自治体の明確なリーダーシップ」「しっかりした経済支援等の法改正」「そうした環境が整った上で国民がしっかり協力すること」の4つの条件が揃えば比較的短期間に実現できるので、そうした取り組みを呼びかけたと説明しました。

 しかしながら杉尾議員は、世論調査などによれば「1カ月では宣言を解除できない」との回答が8、9割を占めているとして、「政府の説明をまったく信用していない」と指摘。政府は東京都の新規感染者数が1日あたり500人未満に減少することなどを条件としているが、京都大学の西浦博教授は、500人未満で解除すれば4月には再び新規感染者数が1000人超えるとのシミュレーションをしていることにも触れ、「国民の皆さんにお願いはするが、総理ご自身が去年の暮れまで会食を続けるし、GoToトラベル、GoToイートキャンペーンでどんどん旅行、飲食店に行ってくれと税金まで付けて促しながら、急に感染が増えると飲食店が悪いという話になり、飲食店が怒るのも無理はない。こういう政府の姿勢で、例えばいま特措法(新型インフルエンザ等対策特別措置法)の改正で罰則規定まで考えているようだが、国民の理解、飲食店の理解が得られると思うか」と迫りました。

 西村大臣は、「飲食店への対策だけでなく、そこにつながるような人の流れを減らすよう、昨年の春と同等のような厳しい措置も講じてきている」と述べ、一方で最悪の事態、減少傾向にならない場合を想定した対策、支援策も考えている旨答弁。杉尾議員は、4月の緊急事態宣言発出時に比べて人の動きが減少していなことなどを一例に挙げ、「昼間の外出自粛について、西村大臣は『(国民の)誤解がある』と発言しているが、メッセージが伝わらなかったのは政府の責任ではないのか。国民の皆さんに共感を得られるようなメッセージの出し方をしっかり考えてほしい」と求め、さまざまな対策とともに、国民から信頼される政府の発信体制が必要だと述べました。

 杉尾議員はこのほか、公立病院への補償と役割などについて取り上げ、医療壊滅の危機と言われ始めているなか、医療機関緊急支援事業の医療機関への補助金や、COVID-19対応で公立・公的病院の重要性が再認識されていることを踏まえた、地域医療構想の具体的対応方針の再検証のあり方など政府の見解をただしました。

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