新型インフルエンザ対策等特別措置法(特措法)改正案の審議にあたり、衆院内閣委員会・厚生労働委員会連合審査会が1日午後開かれ、「立憲民主党・無所属」から中島克仁議員が質問に立ちました。

 冒頭、中島議員は特措法改正はこのような緊急事態宣言下で、短時間でドタバタ審議すべきでなく、昨年、感染がいったん落ち着いていた時期に、国民のコンセンサスを得られるように議論すべきだったと苦言を呈しました。
 感染症法改正案に入院拒否や積極的疫学調査等の拒否に対し過料が適用されることについて、執行にあたる保健所から困惑の声が上がっていることを取り上げ、保健所の対応能力も踏まえ、現場で円滑に運用できるよう、具体的な手順などを示すよう田村憲久厚生労働大臣に求めました。

 中島議員は、医療体制がひっ迫した要因をただすと、厚労大臣は、これほどの感染症の拡大を想定していなかったと認め、「感染症が発生した際に地域医療体制を配分、対応を計画できていなかったと反省している」と述べ、感染が収束してから計画を検討する考えを示しました。中島議員は、平時からの地域医療体制に問題があったと指摘し、「一昨年秋に決定した地域医療構想では全国で400以上の病院が名指しで再編の対象となった。白紙撤回すべきではないか」と田村厚労大臣に迫りました。田村大臣は、「コロナの状況を受け、地域ごとに地域医療構想をブラッシュアップしている。地域医療構想、地域医療計画はそれとして、感染症が発生した時にどのように病院を活用していくか、配分していくかを検討しておくべきだ」と答えました。
 中島議員はまた、感染症法改正により盛り込まれる宿泊療養について、療養者の医療観察は業務が集中している保健所ではなく、在宅医療としてかかりつけ医が担うべきだと主張しました。また、(1)パルスオキシメーター(血中酸素濃度計)を年齢で区切ることなく全ての療養者に提供すること(2)都道府県、保健所とかかりつけ医が情報共有し、連携を強化すること(3)安否確認と精神的ケアのための診療を診療報酬と位置づけること(4)保健所定員の倍増(5)潜在的保健師の活用及び民間機関を含めた体制強化のための財政的支援――を求めました。

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 次に、新型コロナウイルスワクチン接種について、昨年の予防接種法等改正案の審議の際に、ワクチンの安全性、有効性に関する情報を国民に開示していくことが重要であるとの認識を与野党で共有したことに触れ、ファイザー製薬ワクチンのPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)からの報告書を早く公開すべきだとただしました。田村厚労大臣が「薬事・食品衛生審議会での審査が承認されたら公開する。審査中であり、時期については予断をもって申し上げられない」と答弁しました。中島議員は、政府は医療従事者に接種を2月下旬から始めるとしており、薬事・食品衛生審議会の審査結果が公開される前に接種が始まってしまうのではないかとの懸念を強調しました。
 また、医療従事者への先行接種のモニタリング調査については、接種後の健康状況調査に加え、抗体価検査についても実施するかをただしましたが、田村厚労大臣は、「ほかのスケジュールに影響が及ぶので抗体価検査まですることは考えていない」と答弁しました。

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