参院本会議で24日、「在日米軍駐留経費負担に係る特別協定改正議定書」に関する趣旨説明と質疑がおこなわれ、立憲民主党の白眞勲議員が会派を代表して登壇。在日米軍駐留経費負担(HNS)に関して、米国側からの駐留経費増額要求、駐留軍等労働者の労働条件、辺野古新基地の埋め立て工事等――について政府側をただしました。

 本改正議定書は、2016年4月1日に発効し、本年3月31日に有効期限を迎える日本政府と米国政府との間で締結した在日米軍駐留経費負担に係る特別協定を1年間延長するというもの。特別協定に基づき、日本側は過去5年間、(1)労務費(2)光熱水料等(3)訓練移転費――などの在日米軍駐留経費の一部を負担してきました。

■駐留経費増額要求

 日本側が負担するHNSをめぐって、米側から4倍の負担を要求されたといった報道が相次いだことを問題視した白議員は、「米軍駐留経費の約75%を負担しているともされるわが国が、どのようにして4倍もの額を負担できるのか。逆立ちしたって負担しようがないではないか」と指摘。「こうした報道が出ること自体がおかしな話だ」と日本政府の対応に疑問を呈し、「負担のしようがない」と報道機関や国民に明確に説明するよう求めました。

■駐留軍等労働者の労働条件等

 在日米軍基地で勤務する従業員である「駐留軍等労働者」の労働条件について、「本来適用されるべき日本の労働法令が一部適用されていない」など、駐留軍等労働者を取り巻く労働環境にさまざまな問題が指摘されていると言及。雇用主である岸防衛大臣に現状認識と対応策について見解を求めました。岸大臣は「米側や労働組合と緊密に連携しつつ、雇用の安定や適切な労働環境確保に全力を尽くす」と答弁しました。

■辺野古新基地の埋め立て工事等

 辺野古新基地建設をめぐっては、さまざまな問題が明らかになっていると指摘しました。日米の制服組同士が辺野古新基地の日米共同使用について合意していた問題に対して「文民統制上極めて問題だ」と厳しく批判しました。また、辺野古新基地建設に関連する工事に米軍専用の娯楽施設が含まれているとの報道に関して、その費用の出所が国民の税金である以上、「米軍基地内の娯楽施設等は米国負担で建設すべきではないか」と説きました。

■辺野古の埋め立て工事に使用する土砂に遺骨が入る可能性

 政府が辺野古の埋め立てに沖縄本島南部からの土砂調達を計画している問題も取り上げました。沖縄県南部地区は、沖縄戦で軍人だけでなく、赤ちゃんや子ども、女学校生徒、老人を含む多数の人命が米国の砲弾によって失われた場所であり、今でもその遺骨収集が続けられていると言及。「その土地はご遺骨だけではなく、祖国のために心ならずも命を落とされた多くの方々の血がしみ込んでいる」と訴え、南部地区から土砂を調達しないよう強く求めました。

 そのほか白議員は、HNSの総務省負担分、尖閣諸島問題、底なしの様相を呈している総務省の「接待」問題などについて質問しました。最後に日米同盟について「日本にとって、外交・安全保障政策の基軸として極めて重要である。そのためにもこの議定書が国民の理解を十分に得ることが最も重要である」と強調し、質問を終えました。

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