衆院本会議で8日、政府提出の「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」とその対案として立憲民主党が7日に提出した「高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案」が議題となり、山内康一議員が提出者を代表して対案の趣旨説明を行ないました。
山内議員は「政府案では、単身世帯で年収200万円以上の75歳以上の窓口負担割合を現在の1割から2割に引き上げることで、現役世代の負担軽減を図ろうとしているが、新型コロナウイルスの感染拡大による受診抑制が懸念される中で、窓口負担割合を引き上げることは、更なる受診抑制による症状の重症化を招きかねず、コロナ禍の現状で窓口負担割合を引き上げるべきではない」と主張しました。そのうえで、「受診抑制による重症化は、命にも関わる問題だ」と危機感を示しました。
続いて、「コロナ禍の今、行うべきことは、まず保険料についての応能(収入に応じた)負担を強化していくことだ」と主張。「病気になった後期高齢者の患者さんたちに窓口負担で応能負担をお願いするのではなく、後期高齢者の中でも高所得の方に保険料の支払いの際に応能負担をお願いする方が、より公平な制度になる。具体的には、保険料の賦課限度額を引き上げ、後期高齢者の中で特に高所得の方に負担をお願いすることによって、公費の投入とあわせ、政府案の見込みと同程度、現役世代の負担を軽減できる」と本法律案の提出理由を述べました。
本法律案の概要について以下のとおり、説明しました。
(1)令和4(2022)年度以降の後期高齢者負担率について、当分の間、現行の算定方法により算定された率に、後期高齢者支援金の額の更なる縮減を通じて現役世代の負担の軽減が図られるようにする観点から政令で定める特別調整率を加える特例を設けることとし、現役世代の負担を軽減
(2)後期高齢者の負担能力に応じた保険料を課することができるよう、政府は保険料の賦課限度額の引上げの特例を設けるものとするとともに、後期高齢者負担率の特例に対応するための保険料の見直しの影響が中・低所得者に及ばないよう、後期高齢者医療広域連合が講じる保険料の減額措置に要する費用を、国が負担する仕組みを設ける
(3)高齢者の医療に要する費用の負担のあり方については、将来における医療に要する費用の見込み、高齢者の一部負担金に係る負担の割合を引き上げることとした場合における高齢者の必要かつ適切な受診の機会の確保に与える影響及び医療費の動向、各世代の負担能力等を勘案して検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられる
山内議員は公布日から施行すると述べ、本法律案への賛同を呼びかけました。