「西村大臣の仕事は、安全安心な五輪大会を実現することではなくて、国民の命を守るということ」(森本真治参院議員)。
今月16日から31日までの間、北海道、岡山、広島の3道県を対象に、緊急事態宣言を発出するなどとした政府の方針を国会に報告するため、14日、衆参両院で議院運営委員会が開催されました。参院では森本真治議員が質問に立ち、政府の方針転換、感染拡大と東京五輪開催、ワクチン接種と自治体の対応等について、西村康稔経済再生担当大臣をただしました。
■政府の急な方針転換について
――政府のコロナ対策の皆さん、判断が現場の実態に即していない、鈍ってるんじゃないかと疑わざるを得ないのですが大丈夫でしょうか
政府専門家会議の指摘を受けたことで、政府が当初、「まん延防止等重点措置」の適用地域に追加するとしていた北海道、岡山、広島の3道県を、急遽、緊急事態宣言の対象地域としたことについて取り上げました。森本議員は(1)広島県の感染状況、医療供給体制がいずれもステージ4の水準にあったこと(2)湯崎英彦広島県知事が「緊急事態宣言レベルだ」との認識を示し、西村担当大臣と「緊密に連絡を取っている」と述べていたこと――などについて触れ、「それにもかかわらず、なぜ当初『まん延防止等重点措置』を諮問したのか」と西村担当大臣をただしました。
これに対し西村担当大臣は「まん延防止等重点措置なのか緊急事態宣言なのかはともかくとして、相当強い措置が必要だということで、知事とは一致してきている」「もっと早く(措置を)取れなかったのかなということを含めて、お互いに率直に意見交換をしてきている」と弁明しました。
■札幌マラソン大会の影響について
――ちょうど1週間前の5月5日に『北海道・札幌マラソンフェスティバル』が開催された。 札幌市での急激な感染拡大にマラソン大会の影響はあったのか
西村担当大臣は、マラソン大会でさまざまな感染対策が行なわれたと聞いているとした上で、北海道の分析として、札幌市で飲食店を訪れた若者を中心とする新規陽性者の増加や、大型連休終盤からの人の移動の増加などが寄与した可能性を指摘する話を挙げ、感染拡大について「今後、分析を進めていきたい」と述べるに留めました。
■感染の急拡大する状況と五輪開催について
――感染爆発と言っていいような状況であるにもかかわらず、それでも五輪開催を目指すのか
来週、広島県で行われる予定の五輪聖火リレーが、広島市・福山市での無観客で開催される運びとなったことについて「(地元の行政関係者は)この緊急事態宣言下になり、大変な時に順番が回ってきてしまったと(話している)。本来、五輪の気運醸成を狙ったこの聖火リレーのイベントも県民の参加がないまま(行われる)」と森本議員は指摘し、「それでも五輪開催を目指すのか」と問いかけました。
「(開催の可否について言及する立場ではないが)安全、安心の大会にしなければいけないのは間違いない」と答弁した西村担当大臣に対し、森本議員は「大臣の仕事は安全、安心な大会を実現することではなくて国民の命を守るということだ」と厳しく指摘しました。
■ワクチンの接種目標と自治体の対応について
――一方的に目標を示すことによって、7月中の接種が実現ができない自治体が悪者になるようなことはないか
高齢者向けワクチン接種の7月中の完了目標について、広島市の担当者が「『ワクチンを確保したので、とにかく期限までにやってくれ』と一方的に言われても無理だ」と会見で主張したことについて触れ、実現できない自治体が悪者になるようなことはないかとの懸念を表明しました。
西村担当大臣は、厚労省が2月に自治体サポートチームを設置し、各都道府県から一人ずつ出向を受け入れていることなどに触れた上で、「そうした形で自治体の声を直接聞きとって、寄り添う形で必要な支援を行なっていきたい」と答弁しました。
■ワクチンの大規模接種センターについて
――医務官も看護官も無限にいるわけではない。各地の自衛隊病院での通常業務に影響はないのか
「大規模接種センターで活動する予定の自衛官、自衛隊の医務官・看護官の皆さんに対し、まずは心より敬意と感謝を申し上げたい」と述べつつも、与党内でも一部で懸念の声が上がっていることを指摘。各地の自衛隊病院での通常業務への影響や、これから大雨のシーズンとなることもあり、突発的な災害や有事にも対応できるのか、政府の体制をただしました。
西村担当大臣は「任務に影響のない体制を構築していると聞いている」と述べるとともに「大雨など大規模災害が発生した場合、各地の自衛隊病院の医務官や看護官などをローテーションで配置することなどによって、大規模接種センターの機能を維持できる体制を構築している」と答弁しました。