衆院内閣委員会で28日、委員長の職権で「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案」(重要土地調査法案)の採決がおこなわれました。立憲民主党は、委員会に先立つ理事会で、法案には問題が多く、政府からの説明が不十分でさらなる審議が必要だと主張し、同日の質疑終局、採決に強く反対しましたが、受け入れられませんでした。同日の委員会では2時間の質疑の後、採決がおこなわれ、与党等により法案は可決されました。

 委員会終了後、同委員会の今井雅人筆頭理事と後藤祐一次席理事が記者団の取材に応じました。

 今井議員は冒頭、「重要土地調査法案に関して、議論が十分に尽くされていない中で、与党と委員長に強行採決をされて、われわれは本当に憤っている」と、審議の経過について「これまで参考人質疑、連合審査を求めてきたが、ゼロ回答だった。12時間質疑をしてきたが、質疑をすればするほど疑惑や疑念が大きくなっていった。たとえば立法事実に関しても答弁が二転三転し、結局何が立法事実なのか分からない。きっと無いのだと思う。それすらきちんと説明できない。私たちは私権の制限について、住民に迷惑がかかってはいけないということで、いろいろ質疑した。(土地利用の調査の対象が)防衛施設あるいは原発など(の近隣)に限定されてるのであればまだいいのだが、例えば駅とか、放送局のようなところも将来的には対象になり得るという答弁があった。駅は日本中に数多くあり、そうした所が対象になり得るなどという法案を私たちは通すわけにいかない」と説明しました。今井議員は、「非常に危険だし、生煮えだし、問題がある法案だ」と述べ、この法案を通すことは断じて認められないと改めて表明しました。

 後藤議員は、対象区域の土地所有者が政府の勧告・命令に違反した場合に罰金、懲役が科せられることがあると指摘し、「国民からすれば、うちは入るのかということが知りたい。(政府は)それを教えないと言っている。こんなバカなことがあるか。せめてそれを出してから、採決すべきではないか」と政府の姿勢を批判しました。また、最後の質疑でも、経済的、社会的理由があれば、地域を外してしまう点を取り上げたと紹介し、「事前届け出義務がかかる、200平方メートル以上という数字があるが、それを少し広い単位に変えて対応するなど、いろいろやり方あるのではないかと言ったら、今後の国会審議を踏まえて検討してまいりますと答弁した」「不動産業界からのご意見を踏まえて検討してまいりますと答弁したが、(事前に)意見、現場の実態を全然聞いていなかった」ことが判明したと説明しました。後藤議員は、「こんなことで採決なんかできますか。国民は懲役になるかもしれない、不動産の価値は下がるかもしれない。それに対してはっきりした答弁をしないまま強行採決をおこなった」と、政府・与党に対して改めて抗議しました。

参考【概要】重要土地等調査法案.pdf