枝野幸男代表は11日、日本外国特派員協会で著書「枝野ビジョン」、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)対策、東京オリンピック――について講演を行い、記者団の質問に答えました。

■著書「枝野ビジョン」について

 枝野代表は5月20日に出版した著書について、2014年から執筆し、2012年に野党に下野、もう一度最大野党のリーダーおよび政権交代を目指し、どのような社会をつくろうとしているのか、どのような考えに基づいた政権を目指していくのか――などについて、政権選択を示す衆院選の前に出版できて良かったと述べました。

 「新自由主義と、産業革命以来の規格大量生産が豊かさをもたらす時代が時代遅れになった。従って、所得の再分配やエッセンシャルワークの充実が、社会と経済の発展にとって、決定的な重要性を持った時代に入り、そういう社会をつくっていきたいということだ」と紹介しました。
 そのうえで、バイデン米大統領の就任演説にはほぼ同じ方向性が示されたこと、先日の主要7カ国財務大臣・中央銀行総裁会議(G7)で法人税の最低税率について合意したことを挙げ、「世界が明確に転換を始めている。日本もそれに遅れてはいけない。この著書で示した社会・経済をつくっていくことの重要性を痛感している」と意気込みを語りました。

■COVID-19(新型コロナウイルス感染症)対策について

 政府のコロナ対策について、「一貫して、根拠なき楽観論、正常性バイアスに基づいたものであり、結果的に混乱と遅れが繰り返されてきた。特にワクチンの遅れは決定的な失策だった」と断じました。「ワクチンの量の確保は目途がついているようだが、政府の示しているようなスピード感で国内での接種が進むのか」と政府のロジスティクスの欠如に強い危惧を示しました。

 9日の党首討論で菅総理が「1日100万回の接種を達成した」「10月から11月にかけて全ての希望者に接種を終える」などと根拠なく答弁し、報道機関のみならず、加藤官房長官が総理の発言を否定せざるをえない状況になっていると説明しました。
 そのうえで、「集団免疫ができるのは秋以降になるという中で、感染を抑制し、亡くなられる方の数を抑えることができるのか。そのことに対する政府の意欲が感じられない」と菅政権の政治姿勢を否定しました。

■東京オリンピックについて

 「参加者を選手・コーチなどに限れば、さまざまな対策が一定の効果を上げることが期待できるかもしれない。ただ、大会開催に伴い、多くの訪日客と国内の人の移動、夏休みが重なる中、オリンピックを開催すれば、8月、9月に感染爆発を生じる恐れが高い」と危機感を示しました。
 そのうえで、「国民の命と暮らしを守る責任を負っている菅総理は、ワクチンの効果が間違いなくあらわれることが期待される1年延期か中止についてIOCと交渉すべきだ」と進言しました。
 最後に「ワクチンの目途もたたない中で、2年ではなく1年の延期をIOCと交渉して決断した安倍前総理の責任は大きい」と指摘し、あいさつを終えました。

 海外メディアの記者から、G7、コロナ対策の問題点、政党支持率、外交政策(台湾・香港)、政権構想、経済政策、オリンピック招致に関する国会調査などについて、質疑に応じました。

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