小川淳也幹事長は2月4日、国会内で定例記者会見を開き、(1)参考人招致を議決された旧安倍派の会計責任者から出席を控えたいとの回答が示されたこと(2)衆院予算委員会質疑――等について語りました。

(1)旧安倍派の会計責任者の参考人招致の動向

 小川幹事長は衆院予算委員会で参考人招致を議決された旧安倍派の会計責任者から出席を控えたいとの回答が正式に伝えられたことについて言及。「全く実態解明がされていませんし、責任追及もあいまいです。与党側において石破総理のリーダーシップのもと、真相解明に向けて非常に重要な一手であるという前提に立ち、全力を挙げて参考人招致の実現にご努力をいただきたい」と注文をつけました。「誠意をもって対応いただきたいと思う」と語り、一義的には与野党国対委員長間で十分に協議し、その後は野党幹事長会談の呼びかけ等を含めて全党を挙げて取り組んでいく考えを示しました。出席を拒否する理由として与党側が民間人であると主張している点について「議員ではない、公人ではないということはその通りだと思うが、かたや永田町界隈の方で純然たる民間人とは言えませんから、ぜひご対応をいただきたい」と強く求めました。

(2)衆院予算委員会質疑

 本日で3日目となった令和7年度政府予算案に対する基本的質疑について小川幹事長は、立憲民主党の質疑者がさまざまな課題を議論している点を取り上げ、「高額療養費の見直し等において世間からも大変注目をいただいているところです」と語りました。

 そのうえで「早々に与党側が修正協議を前提にした答弁をされるということは、やはりこの国会が前国会から自公の過半数割れとなっていることの象徴」だとの見方を示し、近々修正提案を具体的に行っていくことになるとの見通しを語り、「ぜひ多様な民意を反映した予算案ということで歴史的な協議なり歴史的な着地を図りたいと思っています」と述べました。


小川淳也幹事長記者会見

2025年2月4日(火)10時30分~11時02分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtube.com/live/6SpsMTRGXeE


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

【司会(中谷幹事長特別補佐)】
 それでは、定刻となりましたので幹事長の記者会見を始めさせていただきたいと思います。冒頭、幹事長より、よろしくお願い申し上げます。

○旧安倍派会計責任者の参考人招致実現に向けて

【幹事長】
 おはようございます。きょうもご協力ありがとうございます。
 先週火曜日、ちょっと党務の都合で定例会見を行えませんでした。いろいろありますが、メディアの皆さんとのコミュニケーションの機会は大事にしたいと思っております。
 きのう夕方、党役員会が行われ、役員会終了後でしたが、旧安倍派の会計責任者の方が参考人招致に応じないという意向が正式に衆議院に伝えられたという一報が入りました。
 きょうも審議が続いております。それから、昨日も党幹部が発信したとおりですが、全く実態解明がされていませんから、責任追及も曖昧ですから、まず与党側において、それは石破総理のリーダーシップの下、真相解明に向けて非常に重要な一手であるということを前提に、全力を挙げて参考人招致の実現にご努力をいただきたいと思っております。
 そして、おそらく今し方、与野党の国対委員長会談が行われているのではないかと思いますが、まず一義的には国対間で十分協議をいただき、誠意を持って対応いただきたいと思いますが、当然その後は、森山幹事長に私自身が申し入れる、あるいは野党幹事長会談を呼びかける等を含めて、全党を挙げて積極果敢に取り組んでいきたいと思っております。
 なお、先方が民間人であるという主張を与党側はなされているようですが、バッジ組ではない、所属の議員ではない、完全なる公人ではないということはそのとおりだと思いますが、片や、純然たる民間人でもありませんから、永田町界隈の業界の方ですから、こうしたある種のしきたりや、ある種のルールや、あるいは関与の度合いにおいて、完全に素人とは言えませんから、そういうことも含めて、ぜひご対応いただきたい。この場をおかりして強く要求したいと思います。

○予算審議 修正協議に向けて

【幹事長】
 予算委員会がきょうで3日目です。我が党の質疑者を含めて様々なテーマを果敢にご議論いただいております。一部高額療養費の見直し等において、世間からも大変注目をいただいているところです。
 あえて私の感想を申し上げれば、早々に与党側が修正協議を前提にした答弁をされるということは、やはりこの国会、前国会からの自公過半数割れの象徴でございまして、我が党としても近々きちんとした形で、かくかくしかじかの修正をお願いしたいというご提案を具体的にしていくことになろうかと思います。
 これから中盤、そして後半へと入ってまいりますが、ぜひ多様な民意を反映した予算案ということで、歴史的な協議なり歴史的な着地を図りたい。そう思っているところです。


■質疑

【司会(幹事長特別補佐)】
 ありがとうございます。それでは、早速質疑応答に入らせていただきたいと思いますので、質問のある方は挙手にてよろしくお願い申し上げます。

○東京都議選に向けた取組について

【「FACTA」】
 2月に入り、都議選が4カ月後。現在、立憲は14擁立、選挙区は42ある。都知事選で負けた経緯はあるが、この都議選でどれくらい擁立して受け皿となろうと。やはり参議院選の前哨戦になると思うが、都議選の取組というのはどうお考えなのか伺いたい。

【幹事長】
 積極的に取り組んでまいりますが、最前線で陣頭指揮を執っていただいております都連幹事長、幹事長代行がおられますので。

【手塚幹事長代行(東京都連幹事長)】
 今ご指摘のように、改選14名のところ、現職中心に14名の擁立をさせてもらいましたが、概ね調整作業は終わっておりまして、実は現在無所属で活動されている都議会の現職の方々も相当数、立憲の公認を取っていただく、あるいは推薦を取っていただくという、ちょっと調整を要する作業も進めているところでありまして、概ねひと月後には、今の14名の倍の、25名を超えてくる候補者をお披露目できると思っています。
 地域での調整作業は概ね整っているのですが、今お話ししたように、無所属でいる方々が公認で出られるのか推薦で出られるのかと、そういったところに今、少し時間を要しているところでございます。
 ご期待いただければと思います。

【幹事長】
 都政の課題もありますし、それから、都議会の裏金問題もありました。厳しく、積極的に取り組みたいと思っております。

【「FACTA」】
 30くらい出すかもしれないということか。

【手塚幹事長代行(東京都連幹事長)】
 ちょっと30までは。

【「FACTA」】
 25くらいか。

【手塚幹事長代行(東京都連幹事長)】
 25は超えます。公明が22ですから、その上を目標ラインにしたいと思っています。

○裏金問題 自民党地方組織の全国的調査について

【共同通信】
 先日の記者会見で小川幹事長は、東京都議会自民党の政治団体の政治資金パーティー収入不記載問題をめぐり、自民党のほかの道府県連などで同様の問題がないかどうか立憲民主党として調査されるお考えを示された。1月末までに一定の成果が求められているというお話もあり、現状の調査状況、並びに、差し支えない範囲で調査結果について伺いたい。

【幹事長】
 先週末、各党のブロック担当役員を経由して各県連の調査状況の報告が上がってきております。まだ途中であるという内容もございますが、一部に記載漏れ、とにかく外形的な調査しかできませんので、外形的に見て記載漏れが見られるという報告が複数上がってきております。
 詳細は国会対策委員会において今後予算審議等に反映させることを前提に深掘りをしているという状況でございます。

【共同通信】
 ちなみに、それは報道に出ていないものも含めてか。

【幹事長】
 報道に出ていないものも含めて、報告は上がってきております。

○旧安倍派会計責任者の参考人招致実現に向けて(1)

【共同通信】
 もう一点。先ほど参考人招致に関連して幹事長会談ともおっしゃっていたが、それはまだ意気込みの段階であるのか、それとも野党間である程度調整が進んでいる話なのか。感触を伺いたい。

【幹事長】
 まだ、これからの話です。現状、国会対策委員会同士でいろいろ協議いただいておりますので、事態の推移を見て、こちらも本気だということが伝わるように努力したいと思っています。

【NHK】
 参考人招致の問題の関連で伺いたい。会計責任者の参考人招致の件で説明責任を求めていく姿勢を示しているが、野党第1党として本気度を示していくという意味で、参考人招致の実現、いろいろな形で説明責任を果たしてもらうという姿勢を野党でも伝えてきているが、そうしたものに自民党側が応じない場合に、れいわや共産が訴えている証人喚問という選択肢も含めて検討しているか。その辺りを教えていただきたい。

【幹事長】
 選択肢の一つだと思います。
 一方、昨夜の党幹部間の様々なやり取りの中で、私、申し上げたように、純然たる民間人とは言えないと思うのですね、事この不祥事に関連して。とはいえバッジをつけた人でもないということですから、できれば証人喚問というある種の非常手段を避けたいという思いは、野党間、幹部の間にもあります。それを前提に慎重に検討しているというのが正直な状況ですが、選択肢から外すわけにはいかないと思っています。

○党代表選挙の推薦人規定について

【NHK】
 別件で一点伺いたい。去年9月に立憲民主党の代表選挙が行われた際に、推薦人を確保するのに当日まで調整が整わなかった候補者もいる中で、党内からはハードルが高過ぎるのではないかという指摘があり、今までどうするか対応を検討してきたかと思うが、現在の対応状況について伺いたいのと、今後どのようにしていく方針なのか、わかる範囲で教えていただきたい。

【幹事長】
 党改革実行本部役員の下で議論を積み上げてまいりました。本日午後5時10分、両院議員懇談会が予定されており、前半の議題は党大会に向けた議案審議ですが、後半、党改革実行本部としてこの推薦人のルールを改めるということを具体的に提案したいと思っております。
 ちょっと具体的に、既に一部報道等で言われているようですが、具体的には両院懇が終わってからと思いますが、当時、有志議員、ここにおられる中谷一馬さんを含めて有志議員団から(提言のあった)所属議員団の一定割合とするという申入れを、現執行部としても重く受け止めておりまして、それを前提にしたご提案になると思います。

【NHK】
 その重く受け止めたことについては、どういう問題意識があって今後検討していくということに至ったのか。

【幹事長】
 当時、衆参合わせて、140名、130名前後の総議員数だったと思いますが、その中で20人の推薦人というのはなかなかハードルが高く、片や、同時期に行われた自民党においては、400人近い、360だか70だかの議員がいる中での20名というのが非常にハードルが低く、結果として9名の立候補者。
 それぞれ一長一短だと思いますが、そこに考え方として、両院の(党所属)総議員数の一定割合という考え方があれば過不足を補えるのではないかという視点に立った上で、具体的なご提案をしたいと思っています。

○法案の共同提出について

【産経新聞】
 共産党との法案の共同提出について伺いたい。共産党の小池書記局長が昨日の記者会見で、紙の保険証の復活や訪問介護の支援、学校給食の無償化といった法案について、共産党が主張しているにもかかわらず我が党には共同提出を呼びかけていないと指摘された。これらの法案は共産党も主張していることなので我が党に一声あってしかるべきだとおっしゃっているが、この共同提出を呼びかけなかった理由について、まず伺いたい。

【幹事長】
 個別の法案について、政調並びに部門会議で様々個々に判断していると思います。ですから、個別の法案についてどうこうということはちょっと私の立場からは申し上げにくいのですが、ただ、一般論として、野党第1党は、あえて言いますが、右も左も広く門戸を開き、広く呼びかけ、広く連帯をお願いするという立場にありますから、その点は今後、各部門、個別法案においても神経を使いながら、幅広い連携を築き上げる、その要にならなければいけないという意識を持って対応していくように、私も努力したいと思います。

【産経新聞】
 現状の立憲民主党の対応について、小池書記局長は遺憾であるとおっしゃっているが、先ほどおっしゃったように、今後は共産党にも呼びかけていくといった対応をお考えなのか。

【幹事長】
 具体にはちょっと個々によります。物によりますので、現場の判断も尊重したいと思いますが、仮に小池書記局長がそうおっしゃったとすれば、ちょっと内情を明かしていいのかどうかあれですが、会見後、私にも個別に連絡がありまして、そういう趣旨のことを申し上げたという連絡をいただき、真摯に受け止めているところです。
 呼びかけられなかった側が寂しい思いをするというのは当然だと思うのですね。ですから、繰り返しますが、我が党としては、右も左も野党各党に幅広く連携を呼びかけ、懐深く対応するというのを旨として、基本として、対応したいと思っています。
 ちょっと個別、個々具体は現場に様々判断があろうかと思いますが、基本姿勢はそういうことで進めてまいりたい。そう思っております。

○旧安倍派会計責任者の参考人招致実現に向けて(2)

【朝日新聞】
 参考人招致に関係して伺いたい。現状、参考人招致が実現する見通しが立っていない状況で、片や自民党は来週の地方公聴会の提案もしてきている。このまま実現しない場合でも予算案の審議そのものについては粛々と進めていくべきとお考えなのか。参考人招致が実現しない場合、予算案審議のあり方、進め方についても考える必要があるのか。その辺りのご見解をお願いしたい。

【幹事長】
 予算審議の進め方についても考える必要があると思います。冒頭、初日が1日送られた理由も、まさにこの参考人招致のあり方が影響したわけでございまして、一義的には国対間の様々な調整に委ねたいと思いますが、場合によっては全党を挙げて、全野党を挙げての取組になる可能性もある。そのときには当然、予算審議の運びも含めて重大な影響を及ぼす。それは否定できないと思います。

○予算審議 修正協議について

【朝日新聞】
 予算審議で、もう一点伺いたい。修正案を立憲としていつ頃出すのか。そうしためどがあればお願いしたい。

【幹事長】
 昨日の役員会でも様々なブレストを幹部間で行ったところです。
 今週、各省別審査に入ります。そこで様々な無駄遣いや、あるいは必要性の低いもの、これは財源の議論に直結するんですね。その財源の議論を踏まえて、具体的な歳出項目の組替えなり修正を、おそらくですが来週後半から再来週が山になるのではないかという見通しを持っています。

○参院通常選挙に向けた取組について(1)

【朝日新聞】
 別件で、日本維新の会が提案している野党候補一本化の予備選の関係で伺いたい。幹事長と大串選対委員長が説明を受けてから、かなり時間がたってきたと思う。党内の検討状況と、この案にどのように対応していくか伺いたい。

【幹事長】
 ごめんなさい、先週火曜日に会見できていれば、まさに受け取った翌日で、そのことを聞かれるなとずっと思っていたのですが、ちょっと物理的に先週はできなくて申し訳ない。
 まず、昨年暮れからこの予備選という議論があり、なかなか取りまとめるのは難しいだろうなと、趣旨には賛同するがと思って拝見していたところ、投票を行う予備選ということではありませんでしたから、純然たる予備選というネーミングがふさわしいのかどうかは別として、しかし、新任の岩谷幹事長も随分努力されてああいう形でまとめられたことは多としているという前提で説明をお聞きしました。
 それから、いろいろと課題がありますよねということは既に大串代表代行が公に記者対応で説明しているとおりですが、全党が参加しないと実質的には意味を持たないとか、あるいは、資料をご覧になったかもしれませんが、仮置きの数字で、ドラフトではありませんが枠決めみたいなことがなされていて、それは果たして適切かという問題もあるだろうし、現有議席がその枠の議論に際して全く反映されていないということも、もしかしたら課題かもしれないと。個別には個々指摘をしているところです。
 問題は、2月末までにその参加の是非を伝えてほしいということで、私からは当日岩谷幹事長に、申し訳ない、この時点でイエスともノーともなかなか明確に対応をお答えする状況にはないということは率直に申し上げているところでして、現状その状況は大きく変わっていません。
 ただ、念のため。野党候補を一本化すべきだと、それは非常に大事な問題提起はいただいているわけで、私はあえて申し上げたのですが、そのご提案に沿って一本化するということも論理的にはあり得るのだろうし、ご提案の一部を借用して、何らかの形で一本化を達成する手段の一つに一部を借用するということもあるだろうし、また、全く別の手法で結果として一本化に努力するということもあるだろうし、その一本化への熱意は持っているわけですが、ちょっとあの手法をあのまま利用できるか、あるいは、その2月末までに回答できるか、それはなかなか簡単ではありません。

○旧安倍派会計責任者の参考人招致実現に向けて(3)

【フリーランス】
 参考人招致について伺いたい。政治と金の問題はまだ続き、ことしの参院選にも影響があると言われている。一方、松本さんは既に裁判でそれについては結論が出たからそれには出ないとおっしゃっている。ただ、裁判と国会での参考人や証人喚問は質が違うと思うが、野党第1党として、参考人招致を求める側として、一体どういうところで、松本さんでないと言えないような事実、こういうところを聞きたいとか真相解明したいと。全部の事実についての真相解明というよりも、具体的にどういったところを松本さんに対して求めていこうとお考えか。

【幹事長】
 大変いい指摘、大事なご指摘だと思うんですね。
 これは私どももそうなのですが、法的責任と、政治的責任あるいは道義的責任、これは両立することもあれば少し重なりが外に広がることもあるわけで、ある意味、裁判でいろいろと対応されたこと自体は法的責任という意味では一定責任を果たされたのだと思います。
 しかし、この間、例えば政倫審。まあ出てくる議員、出てくる議員が、秘書のせいだの、あるいは事務局に言われたからだのということで、残念ながら責任逃避と、そして、真相究明という観点からする何らの踏み込んだやり取りがないまま、ただ消化試合のように政倫審が続いているわけですね。
 これは結局、この事務局で責任者を務めていた方が(明らかにしていただきたいのは)、ご質問に沿って言えば、いつ、誰が、何のために、これを始めたのか。私は先月、代表質問、本会議場でも申し上げましたが、一番知りたいのはそこなのです。いつ、誰が、何のために、なぜ始めたのか。そして、その総額は、今明るみに出ている6億は収支報告が公開されている5年分に限っての話ですから、場合によってはその何倍もある氷山の一角ではないのか。そして、それはどの程度手元に残っているのか。私的に流用された可能性を否定できないとすれば、本来納税額は幾らだったのか。その真相究明の極めて基本的な、5項目ですか、いつ、誰が、何のために、なぜ始めたのかということを明らかにしていただきたい。
 残念ながら、細田さんは亡くなっているんですね。安倍さんも亡くなっているんです。そうすると、今、会計責任者で事務的なことをやっておられた方か、場合によっては、体調などを考えますと本当に言いにくいですが、森喜朗さんを含めて、歴史を背負っておられる方々に国会に出ていただく以外にないという強い思いを持っています。

【フリーランス】
 関連だが、松本さんを参考人招致ないし証人喚問で呼べない場合は、森さんに対して国会に出てきていただくこともあり得るということか。

【幹事長】
 ちょっと予算委員会でどういうやり取り、そこが具体的に本当はなっていればいいのですが、私ならば要求します。

○税制論議について

【フリーランス】
 減税しか有権者の耳に届かない、フェアなのは給付のほうだと、低所得者に消費税減税分を還付するということを主張なさっているが、これは裏返せば、そういう世論に迎合して減税イコール善だと、財務省悪玉論だという主張をしている一部政党に対する立憲の立場の違いをアピールしたと思うが、そういう理解でよろしいか。

【幹事長】
 どこかの政党をやゆするつもりはありません。
 ただ、申し上げたように、やはり政治の本質は再分配による社会の安定化なのですね。それは税金ないほうがいいですよ、あるよりないほうがいい。だけど、その場合、じゃあ社会保障をどうするのか、道路は、学校は、医療現場は、という議論と本来セットで議論されるべきです、国民負担のあり方は。
 そこが全く抜け落ちていることは、政治の劣化、政治家の劣化と深く関わりがある。これは決して社会を安定した繁栄、いい方向に向かわせる議論ではありませんから、その点を危惧しているということです。

【フリーランス】
 ということは、「103万円の壁」を178万円まで非課税枠拡大というのは、結果的にこれは高所得者への恩恵が一番大きいと。低所得者、学生バイトなどにプラスなのかという、そういう冷静な議論がちょっと欠けているのではないかというふうに理解してよろしいか。

【幹事長】
 高額所得者に有利という話は、例えば税額控除や給付に切り替えていくことで、より冷静な議論をすべきだと思います。
 それから、103がいいのか、123がいいのか、178がいいのか。それは改めて、どういう社会サービスを公的に維持すべきなのか、あるいは、これは要らないと判断するのかということとセットで議論されて初めて健全な政策論議になる。

【フリーランス】
 ということは、財源論、あるいは歳出改革によるバランスを保つ必要があると。単に178万円非課税枠拡大を目指せばバラ色の社会になるという主張はいかがなものかと。せめて高所得者への負担、例えば金融資産課税を強化するとか、歳出改革をするとか、法人税を上げるとか、そういうのとセットにしないと今おっしゃった社会活動が維持できなくなる、公的サービスが維持できなくなるという、こういう理解でよろしいのか。

【幹事長】
 特に長期的にはそうですよね。特に長期的には。
 ですから、ちょっとおせっかいで、ちょっとだけ申し上げると、物価の上昇や賃金の上昇に合わせて課税最低限が引き上がっていくというのは自然なことなのです。通常は、それに合わせて所得税の累進構造をこういうふうに再設計すると全体としてバランスが取れますという議論をするならば、極めて真っ当な政策論議なのですね。そのことは、ちょっとおせっかいですが、付言しておきます。

【フリーランス】
 一方で、そういう冷静な議論を抜きに、とにかく178万円まで非課税枠を拡大すればバラ色になるという政党が結構支持率を上げているが、それに対抗する、そういうポピュリズム的財務省悪玉論、減税主張政党は善玉だという、そういうものにどう立憲民主党として対応していくのか。青空集会をやって、そういう冷静な議論を呼びかけるとか、何かアイデアがあればお聞きしたい。

【幹事長】
 それは常々やっています。先週も浦和でやらせていただきました。
 誰かを敵視したり、悪玉論や陰謀論に加担するつもりはありません。皆、生身の人間ですから、不十分なこともあるでしょうが、そんなに悪意に満ちて何かをやっているという前提には立っていません。
 それから、政策論議はあくまで、それは減税の議論であれ、国民負担の議論であれ、あるいは歳出であれ、冷静に議論すべきだと。政治の側にはそれだけの責任があるということを常々思っています。

【司会(幹事長特別補佐)】
 そろそろ30分が経過いたしましたので、この辺りで締めていきたいと思いますが、では、最後にどうぞ。

○参院通常選挙に向けた取組について(2)

【関西テレビ】
 野党間の予備選についての質問だが、維新は野党間の予備選をやらない場合は一本化に向けての交渉には応じないと先日明言していた。つまり、予備選というやり方しかないと言っているようだ。先ほど小川幹事長は一部を借用してというような提案をされたが、そういうかたくなな維新に対してどういうふうに説き伏せていくか。どういうふうにお考えか。

【幹事長】
 あそこまで難解な作業をまとめられて、党内にもいろいろな議論があると聞いています。ご苦労されたわけですから、これに丸々乗ってほしいというお気持ちはよくわかります。それは十分受け止めているつもりです。
 しかし、全部をそのまま適用できるのか。全党が参加できるのか。あるいは、一部その趣旨を生かせるものはないのか。あるいは、仮に別の方法であっても、一本化という大義ですよね、要するに。予備選をやることそのものが手法として意味があると思いますが、最大の大義は野党一本化していくという野党内の各党の志であり熱意ですから。そこは、そうおっしゃる気持ちはもう重々理解しつつですが、やはり、どういう手法を取るにせよ、野党一本化という大義そのものの旗を降ろすということはあってはならない。そのことは粘り強く、謙虚に、真摯に呼びかけ、協議・交渉を続けたいと思っています。

【関西テレビ】
 一方、維新との交渉がこれから進み、本当に予備選に参加するのかどうかはまだわからないが、既に立候補を予定して活動を始めている方も現実にいる。実際そういう維新とのいろいろがあって結局出ないことになる人も出るかもしれない。その話をその人たちにしていくのは幹事長や選対本部長だと思うが、もしそういうことになったときに、どういう思いで説得していったらいいのかというのは、どういう基本的なお考えをお持ちか。

【幹事長】
 先般、宮口参議院議員から離党届を、大変申し訳ない、責任を感じながら受け止めたところです。常任幹事会で受理をさせていただきました。事ほどさように、これは現職のみならず候補者も、ある意味人生を懸けて政界への進退を判断されているわけですから。
 ここがちょっと共産党さんは時にすごいなと思うのですが、中央の号令一下で出馬・不出馬、非常に全体を統括しておられるお姿はある意味畏敬の念を持って拝見することがありますが、我がほうも、おそらく維新さんも、なかなかそうはいかないという前提に立って様々な選挙対策を講じておられると思います。br>  したがって、今の問いは、私はそれでも最大の大義は野党の一本化だと思っており、個別事情にどこまでも引きずられることは執行部としてはあってはならないと思っています。しかし、その各プレイヤーは生身の人間で、人生を懸けて、周囲を巻き込んで、そこに入ってきているという、この現実は決して忘れるべきではなく、仮に万に一つそんなことになれば、相当私ども自身が、あらゆる心理的な負荷や、あるいは経済的な負担や様々な人生のリスクを我がこととして引き取って、そして様々な調整や交渉を行うということになると思いますが、それだけの重みをわかった上で、野党一本化の重要性、その大義を唱えたい、訴えたいと思っています。

【司会(幹事長特別補佐)】
 それでは、そろそろ記者会見はこの辺りで終了させていただきたいと思います。本日は皆様ご参集いただきまして誠にありがとうございました。

【幹事長】
 ご協力ありがとうございました。

(以上)