小川淳也幹事長は1月21日、定例の記者会見を国会内で開き、⑴米国のトランプ大統領就任⑵各都道府県連における自民党裏金問題の調査⑶宮口参院議員の離党届提出⑷竹内元兵庫県議会議員の死去⑸「デジタル民主主義2030」への参加⑹中居正広氏を巡る問題――等について発言しました。

⑴米国のトランプ大統領就任

 小川幹事長は冒頭、米国のトランプ大統領就任について触れ、「米国内の分断の統合を期待したい。ひいては、国際社会における平和と安定を築いてもらいたい」としつつ、「(日米)共通の価値観の下、世界を引っ張ってもらいたい」と話しました。

⑵各都道府県連における自民党裏金問題の調査

 小川幹事長は、本日(21日)10時から組織委員会の役員会で、全国のブロック担当の副委員長から全都道府県連に対して、各都道府県における自民党の政治資金調査をするよう指示があると発表しました。その上で、「裏金問題は国政、都議会にとどまらないのではないかという重大な疑いを持っている。党として取り組みを強化したい」と述べました。

⑶宮口参院議員の離党届提出

 昨日(20日)、次期参院選おける広島選挙区で党の公認が得られなかった宮口治子参院議員から離党届が提出されたことについて、「この決断に至った宮口参院議員の思いに責任を感じている」としつつ、来週の常任幹事会に向けて対応を協議したいと話しました。

⑷竹内元兵庫県議会議員の死去

 小川幹事長は元兵庫県議会議員の竹内英明氏の死去に触れ、「同志を失った悲しみ、悔しさが込み上げている」と自身の胸中を述べました。また、死去の経緯の詳細は分からないとしつつも、「SNS上のデマや誹謗中傷が原因の1つとなったとすれば、由々しき事態だ。ネット上の言論空間をどうやって正常なものにしていくかについては、国政の役割、責任も大きいのではないか」と話しました。

⑸「デジタル民主主義2030」への参加

 先週、昨年の都知事選の候補者でもあった安野貴博氏が政治を対象にしたAIプロジェクト「デジタル民主主義2030」を発表したことについて、協力政党の募集に応募したいと報告しました。来週、党と安野氏側で実務的な打ち合わせを行う予定だとしつつ、「党としてもデジタル民主主義時代にふさわしい民意集約のインフラを整備し、新しい時代の民主主義に適応していきたい」と話しました。

⑹中居正広氏を巡る問題

 小川幹事長は、先週の定例会見で一部記者から中居正広氏を巡る問題についてコメントを求められたことについても触れ、「本来であればコメントする立場にないというのが模範解答」としつつも、「1人の人間、政治家として」コメントしたいと話しました。

 小川幹事長は、米国の#MeToo運動や、日本の芸能界における社会的立場を悪用した性加害報道が後を絶たない現状を踏まえ、「社会の秩序や人権感覚を大事にしなければならない立場として、本当に大きな問題、許しがたいことだと考えている」と見解を述べました。


小川淳也幹事長記者会見

2025年1月21日(火)10時30分~11時03分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtube.com/live/lwXExXZ4xvk


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

【司会(中谷幹事長特別補佐)】
 それでは、定刻となりましたので、本日の幹事長記者会見を始めさせていただきます。まず、冒頭、小川幹事長よりよろしくお願い申し上げます。

○トランプ米国大統領の就任に当たって

【幹事長】
 おはようございます。
 いよいよ今週、国会が始まります。皆様のご指導ご鞭撻を心からお願い申し上げます。
 何点か私のほうから発言させてください。
 まず、トランプ大統領が就任されました。いろいろな課題がございますが、もう簡潔に、とにかく国内の分断を統合に向けてご努力いただけることを期待したいと思います。
 ひいては、国際社会の平和と安定。そして、ある種予見可能性といいますか、予測可能な国際社会を築いていただけるように、共通の価値観の下、世界を引っ張っていただきたい。そのことも申し上げたいと思います。

○裏金問題 自民党地方組織の調査を開始

【幹事長】
 2点目は、先週の代表会見で、自民党都議会の裏金問題に関連して、全国的な調査を行うよう幹事長に指示したというご発言がございました。
 本日午前10時、組織委員会が役員会を開き、全国のブロック担当の副委員長から全都道府県連に対して所要の調査を行うよう指示をいただく予定です。
 国会対策委員会が中身においては主力となっており、調査権限等はございませんから、どこまでどういう掘り出し物をちゃんと掘れるかということは定かではありませんが、全党的に地方組織を含めて努力をしたい。この裏金問題・裏金文化は国政・都議会にとどまらないのではないかという重大な疑いを持っていますから、ここについては党としてしっかり取組を強化したいと思っております。

○宮口参議院議員の離党表明について

【幹事長】
 3点目は、昨日15時、宮口参議院議員から離党届を、物理的に受け取りました。現在は預かりの状態で、来週の常任幹事会に向けて取り計らいを協議したいと思っております。
 多くは申し上げませんが、ここに至った宮口さんのご心痛、そして、様々な複雑な思いに、十分私自身も責任を感じながら預かっているということでございます。
 今後の手続については役員会・常任幹事会等で議論してまいります。

○竹内元兵庫県議の死去について

【幹事長】
 4点目は、先般、前兵庫県議会議員の竹内さんがお亡くなりになられたという報道に接しております。
 旧民主党・立憲民主党とも会派の所属を含めて少なからずご縁といいますか、広い意味で同志を失った悲しみと、そして、悔しさといいますか、そういう感情が込み上げております。
 詳細はわかりませんし、事実関係を把握する立場にはございませんが、それでも、世上言われているように、SNS上の言動とか様々なデマや誹謗中傷、これが仮に原因の一つになったとすれば本当に由々しき事態であり、改めてネット上の言論空間をどう健全なものにしていくのかということにおける国政上の役割なり責任も大きいのではないか。心からご冥福を祈りながら、そうしたことを感じております。

○「デジタル民主主義2030」への応募について

【幹事長】
 5点目は、先週、エンジニアであり東京都知事候補でいらした安野さんがデジタル民主主義のプロジェクトを開始するということで記者会見をされたと承知をしており、この実証実験の協力政党を募集するということですので、これに応募したいと思っております。
 あさって、当方と安野さんサイドとの間で実務的な打合せを行う予定でございまして、立憲民主党としても、このデジタル民主主義の時代にふさわしい民意の聴取、意見集約、これらのインフラをしっかり整えて、新しい時代の民主主義に適応していきたいと思っております。

○芸能界・テレビ局における性被害報道について

【幹事長】
 最後に、(前回質問した方が)いらっしゃらないようですが、先週聞かれましたので、聞かれる前に申し上げます。
 中居さんの件についてご指摘があり、当時、私は騒ぎになっていることは承知はしていたのですが、何が報道されているのかという詳細まで存じ上げず、お答えに窮しておりました。その後、もちろん事実関係を確認する立場にはありませんが、何が報道されているのかということについては一通り把握をしたつもりでございます。
 この手の話題については「コメントする立場にない」というのが模範解答だと思います。この立場を踏まえればですね。そういうアドバイスをいただいた方もたくさん、複数いらっしゃるので、それは踏まえたいと思いますが、一言、人間として、政治家として。
 この間、アメリカでのMeToo運動に始まり、ハリウッド、そして、日本のジャニーズ、さらに、日本の映画界、お笑い界。あらゆる社会的立場の強さ、職業的優位性を悪用したのではないかと疑われかねない性的強要や性的搾取の事案が明るみに出るのが後を絶たない。これは本当に大きな問題であり、ある意味許し難いことだというふうに、一人の人間として、政治家として、社会の秩序や人権感覚を大事にすべき立場でそう感じており、このことについては、あくまで一般論ですが、そういうことがあってはならないということだけ言及させていただきたいと思います。


■質疑

【司会(幹事長特別補佐)】
 ありがとうございます。それでは、質疑応答に入らせていただきたいと思いますので、質問のある方は挙手にてよろしくお願い申し上げます。

○裏金問題 自民党地方組織の調査について

【共同通信】
 幹事長から冒頭ご発言あった、東京都議会自民党の政治団体の政治資金の不記載をめぐる問題で伺いたい。調査ということだが、具体的にどういった手法でといったものは、各地方の組織に任せられるのか。それとも、何らか見えている手法があればお聞きしたい。

【幹事長】
 きょう組織委員会の役員会をやると冒頭申し上げたとおりです。そこに国会対策委員会から、おそらく主担当になる後藤国会対策委員長代理が参画をされ、様々なノウハウや、あるいはフォーマットについて、助言をされると聞いております。
 冒頭申し上げたように、調査権限がないので強制的に何か資料を聴取するとか事情聴取するという立場にはありませんが、少なくとも外形的に収支報告を調べられるはずです。今般のこの問題も、上脇先生が非常に執念深く丹念に収支報告を洗った結果、この裏金問題が表面化しているわけですね。ですから、少なくとも外形的に調査できるものがあるだろうという前提に立っています。
 もう一つは、都道府県議会や市町村議会において、これは与野党を問わず様々な人間関係があり、いろいろとうわさを耳にしたりとか、様々なそういう非公式な情報源もないとは限らないという前提にも立っておりまして、こういう外形的な調査や、様々なうわさ、人間関係ベースの情報に接触をしていきたいという思いを持っています。

【共同通信】
 あと一点だけ。こちらは各地方組織からの報告みたいなものが本部にあると思うが、その締切りと、党本部としていつ頃までに結論というか、まとまったものを出されたいか、お聞きしたい。

【幹事長】
 非常に限られた時間なのですが、代表質問が来週から始まり、予算委員会が早ければ来週にもスタートするという状況の中で、できれば月末、1月31日までには一定の成果が欲しいと、国会対策委員会からも要請を受けておりますので、それを前提にしたいと思います。

○宮口参議院議員の離党表明について(1)

【日本経済新聞】
 冒頭ご発言あったが、宮口参議院議員について、どのような調整がなされ、こういったことになってしまった現状についてどのように分析されているか、もう少し詳しく教えていただきたい。

【幹事長】
 改めて、宮口さんのご心痛に深く責任を感じながら受け取りました。
 広島県選挙区は2人区でございまして、現状、あの劇的な補欠選挙(再選挙)、河井案里さんの辞職(当選無効)に伴う選挙戦、私も広島に参りましたが、非常に国民的注目を集めた選挙で当選されたという、ある種政治的な非常に大きな業績を残された方、保持しておられる方。
 そして、その後、特に各県連で今、候補者発掘や候補者擁立、候補者調整、様々取り組んでおりますが、広島県連においてもそうした検討を進めてきたということでございます。残念ながら2人区ですので、本来ですと2名とも公認したいという思いがあるわけですが、現実問題そうもいかないという事情もあり、今般、県連において森本真治さんを公認候補として擁立するという意思決定が事実上行われているという環境下にございます。
 そうした環境下を踏まえて、今般、一旦党籍を離れられたいという宮口さんの思いを受け止めたということでございまして、ちょっとこれ以上つぶさに申し上げるわけにはいきませんが、全体としてはそういう状況です。

○参院通常選挙に向けた取組について(1)

【日本経済新聞】
 選挙区について、もう一点。細かいところだが、東京選挙区については2人目の方がまだ決まっていない状況かと把握しているが、現在の調整状況について教えていただきたい。

【幹事長】
 必要があれば、きょう都連幹事長であり幹事長代行の手塚先生がおられます(ので聞いていただきたい)が、2人目擁立に向けて鋭意検討なり調整が進んでいるというふうにお聞きしております。

【日本経済新聞】
 最後の質問だが、昨年末に参議院選挙の調整をめぐり小沢一郎さんと国民民主党の榛葉幹事長が会談されたという報道も一部あるが、一方で、党内には選挙対策委員長や委員会があると思うが、どういったすみ分けで今後戦っていきたいか教えていただきたい。

【幹事長】
 選対委員長間、幹事長間、総合選対本部役員間、重層的に様々なコミュニケーションを取っていることは、時にそのチャンネルが一本化していないというご批判があるかもしれませんが、重層的に様々なコミュニケーションを取ることにはそれなりの意味も意義もありますので、それはご理解をいただいた上で、今後も様々なチャンネルで各党とコミュニケーションを図る努力をしたい。基本的にはそう思っています。

【日本経済新聞】
 ちょっとこちらでおっしゃりづらいことかもしれないが、どういった役割分担でみたいなところがもしあれば教えていただきたい。様々なチャンネルをというのはわかるが、具体的に、この方はこういった方向で他党と調整する方とか、例えばだが、あればお願いしたい。

【幹事長】
 詳しくは申し上げられませんが、それぞれ得意な政党、得意な人間関係がありますので、基本的にはそれを重視する。そして、最終の意思決定は当然代表の権限と責任の下に行われるということでございます。

○高額療養費制度 上限額引上げの政府方針について

【東京新聞】
 話題変わり、政府が見直しを進めている高額療養費制度について伺いたい。ご案内のように、医療費が高くなった患者の自己負担を一定額以下に抑えるという、患者にとっては命綱とも言える制度だが、医療財政の逼迫を理由に政府が自己負担額を引き上げる方向で見直しを進めている。患者側からは受診控えや治療の断念につながるという懸念の声が出ているが、幹事長としてはこのことについてどうお考えになっているかお聞きしたい。

【幹事長】
 同じ心配を持っています。政調・国対で本日ヒアリングを行うというふうに報告を受けておりますが、党としても慎重に議論していきたい。
 大筋、今、社会が非常に不安感と不安定感にさいなまれている状況で、私は、やはりきちんと再分配の強化、社会を安定させるための再分配の強化が必要だと基本的に思っているわけですが、この高額療養費についても、いわゆるお金持ちというのですか、高額収入者・高額所得者の負担を議論するのと、中低所得者の方の負担を議論するのとでは、これは十分に区別していただかないと。
 基本、そういうことも頭に置いた上で、そうした受診控えとか医療不安が広がらないように、党としては慎重に議論を進めていきたい。そう思っております。

【東京新聞】
 関連して、もう一点。間もなく通常国会が始まるが、この問題をどういうふうに位置づけて臨むか伺いたい。年金改革や、重要法案がほかにも、年金に限らずいろいろとあるが、この問題の優先順位についてどうお考えになっているかお聞きしたい。

【幹事長】
 優先順位は高いと認識しており、仮に政府案が、これはごめんなさい、ちょっと私も把握しかねていますが、今国会に法案が出てくるというわけではないでしょう。今、検討が進んでいると。

【東京新聞】
 予算の関係で。

【幹事長】
 予算の関係で、もう具体的に出てくるということか。とすれば、なおさら一層慎重に党としては議論する必要がありますし、物によっては本予算の組替えや、あるいは議員立法の提出や、そうしたことも視野に今後入ってくる可能性はあると思います。

○トランプ大統領就任 日米関係について

【NHK】
 冒頭発言があったトランプ大統領の就任に関連して。トランプ大統領は自国第一を掲げ、前政権からの大きな方針の転換というか、不法移民対策の強化やパリ協定からの離脱などを掲げている。日本に対する影響をどう考えるかということと、今後の日米関係において政府・与党にどのようなことを求めていくか、まず教えていただきたい。

【幹事長】
 冒頭申し上げたように、まずは自国内の分断を統合に向けて努力をしていただきたいと期待をしており、そして、ひいては国際社会の平和と安定につながるようなリーダーシップを期待しています。
 一方、アメリカのGDPはかつて世界の40%と言われており、今、たしか2割を切ったのではないかと思います。あらゆる世界の課題をアメリカ一国の双肩にという時代ではもはやないので、それをアメリカ内外もよく自覚した一つの現象だというふうに、冷静にも受け止めております。
 しかし、だからこそ、一国で解決できる問題がほとんどない今の時代だからこそ、他国との協調、予測可能性、そして、ある種の信頼関係。これが極めて大事で、一方的なパリ協定からの離脱とか、あるいは、最近過激な発言が多いですよね、グリーンランドをよこせとかパナマ運河をよこせとか。ちょっとああした姿勢なり発言は、とてもではありませんが世界の平和と安定につながるものではないという意味で懸念をしており、日本としても言うべきことは言うべきだし、今後も日米関係が日本の外交姿勢の基軸になるというのを基本線としつつですが、だからといって、国際社会の平和と秩序の安定のために、言うべきことは言わなければいけない。そういう姿勢を日本政府には求めたいと思っております。

○予算審議に向けて(1)

【NHK】
 別件で、今週から始まる通常国会に関連して、新年度予算をめぐる審議も本格化していくと思うが、去年の臨時国会のように、少数与党の中で予算に関して野党第1党としてどのような姿勢で国会に臨んでいきたいか、ちょっと広い視点で伺いたい。

【幹事長】
 まず、代表が指摘されているように、無駄に積み上げた基金など、予算が国民生活の本当の必要性とかけ離れて膨張していくことに関しては、徹底したスリム化や効率化を求めていきたいと思っています。
 その上で、例えば学校給食の無償化。今、維新さんが議論されているようですが、高校の無償化。さらに、我が党には大学の無償化という思いもございます。また、党としては「130万円の壁」を初めとした社会保障制度を新たな時代にふさわしいものに整えることなども主張しており、これらを総合的に一つのある種グランドデザインにして、与党側と本予算の協議を進めていくということを頭に置いて、これから党内調整を具体化していきたいと思っています。

○参院通常選挙に向けた取組について(2)

【朝日新聞】
 野党共闘について伺いたい。参院選での1人区、特に共闘が大事になってくると思うが、先日、共産党の田村委員長が、2021年の総選挙で野党共闘に踏み出したら凄まじい共闘攻撃に遭ったと。だから、そういう攻撃にも負けない、本当に力をつけた共闘の発展に目指したいというような発言をされている。共産党との共闘、これはどのようなスタンスをお考えか。

【幹事長】
 例えば政権を共にするとか、例えばその周辺にあるような共闘というのは、現状イメージはしていません。
 そして、支持団体を含めて、選挙区調整は必要であり容認するというお考えを受け止めていますので、まず当面、1人区の一本化を進める、あるいは、1人区の競合を避けるということが、まず当面にして現実的に必要度の高い調整だと。その前提で協議を進めていきたいと思っています。

【朝日新聞】
 同じ会見で田村さんは、共闘の原点である集団的自衛権の行使容認とその法制化である安保法制が駄目だと、これに駄目出しできるような共闘になっていかなければならないとも話されている。こうした安保法制なり集団的自衛権行使容認について、政策の一致が可能な上での共闘というのは考え得るのか。

【幹事長】
 もう一回整理しますが、共闘というのは、まず当面、1人区の一本化、1人区の競合回避という前提で聞いてください。
 野田代表が代表選に出馬されたときのご発言で当初随分誤解も生んだと思いますので、その後、野田代表(の発言)、あるいは衆院選公約で、安保法制の違憲部分については見直すんだということを明確にしていますので、その点は各党のみならず有権者・国民の皆様にも誤解ないようにお願いをしたい。
 そして、この真意は、専守防衛政策を取ってきたこの日本の戦後の安全保障政策で、同盟戦争に巻き込まれる、同盟戦争に加担するということは、極力、最大限、あってはならない、あるべきではないという価値判断のもとに立っていますので、そうした前提で議論を進めていくということが大事だと思います。
 それ以上、何か政権を運営する前提のお尋ね等々には、現状リアリティはないので、選挙区調整、1人区の一本化、競合回避、その限りにおいて様々誠意を持って協議したいと思っています。

【朝日新聞】
 一応確認だが、共産党が共闘の原点である集団的自衛権行使容認とその法制化である安保法制に駄目だという問題意識は、全く共有できるという理解でいいか。

【幹事長】
 十分共通の理解をつくれる土俵はあるという認識です。

○予算審議に向けて(2)

【産経新聞】
 先ほどの本予算の質問に関連して、予算のスリム化や高校の無償化などを主張されていくということだが、そういった主張が反映された場合、本予算に賛成することはあり得るのかということと、もし賛成した場合は内閣不信任案を出す際のハードルが高くなると思われるが、この2点をどのように整理されているのか伺いたい。

【幹事長】
 可能性はゼロではないと思います。しかし、普通はありませんよね。本予算に賛成するということは、つまり、その年の全体方針、政治方針に賛成するということですから、普通はない。
 しかし、今、皆様も、政局を離れてというのか、無理な要求かもしれませんが、従来の概念で議論できる国会の状況ではないということは理解していただきたいのですね。衆議院で過半数を持っていませんから、与党は。野党としても言いたいことはある、実現したいことはある。しかし、互いに歩み寄って、様々、建設的・前向きに議論し結論を出すという作業に、与野党共に責任を負った状態ですから。あらゆる可能性を否定するものではありません。

【産経新聞】
 関連して。本日11時半から自民党・公明党・立憲民主党の3党の政調会長の会談が行われるが、この会談に期待するところ、どのようなことを行ってほしいとお考えか伺いたい。

【幹事長】
 政策の中身の議論については、基本的に昨年打ち立てた基本方針、「公開と熟議」、そして、国会における見える場での様々な協議、これが基本となります。
 しかし、とはいえ、それを実効あるものとするために、各つかさつかさで各党と公式・非公式な協議を重ねることはあり得ることで、なかなか具体の中身に踏み込んだ議論がきょう出るとは思いませんが、それにしても常日頃いろいろとコミュニケーションを取ることは大事だという意味で、チャンネルをしっかり築くことを期待したいと思います。

【産経新聞】
 今の会談だが、自民党側では公表しているが、立憲民主党側の日程としては公表されていない。立憲民主党としてあえて公表しなかったのかなとも受け止められるが、その理由などがあれば伺いたい。

【幹事長】
 自民党さんは各党と非公式な協議をしていることを相当アピールしたいというお立場なのでしょうし、我が党としては比較的冷静に受け止め、いろいろな申入れに対してはもちろん前向きに応じますよという受け止めですので、あえて改めて強くアピール、公表ということにまでは至っていないのではないかと想像していますが。

○ネット上でのデマ・誹謗中傷対策について

【東京新聞】
 冒頭のご発言について確認したい。兵庫県の元県議の死去に関連して、ネット上の言論空間の健全化に向けて国政上の役割も大きいのではないかというご発言をされたが、具体的なところでどのようなお考えがあるのかお聞きしたい。

【幹事長】
 あくまで一般論ですが、とにかく、フェイクニュース、虚偽・誇大広告、これは公職選挙法でも禁じられているはずです。それから、一般の商取引においても許されない。ただ、難しいのは、一般の商取引の場合は具体的に被害者が出るんですよね。政治的な発言とかというのは、通常、個別具体の被害者が生じにくい、認識しにくいという難しさがあると私は理解しています。
 それにしても、悪意に満ちた虚偽情報を流布するということは、なかなか認定の問題とかを含めて難しいのですが、何らかルールなりある種の規律がないと、ますます人権侵害及び社会不安が増長されるのではないかという危機感を持っておりまして、まずは当面公職選挙法上の世界だとは思いますが、これに関連して、政治的言説についても、限度を超えたものについては、やはりある種自己規律が及ぶような、抑制の利いた健全なものにしていく努力が求められる。この虚偽かどうかということに関して、特にそう感じています。

○宮口参議院議員の離党表明について(2)

【中国新聞】
 日経さんからもあったが、宮口議員のことでお聞きしたい。夏の参院選に向け、野田代表が与党の過半数割れを目標とされている中で、党として一致して臨まなければならないときに大切な仲間が1人党を離れるという決断をされたことについて、率直なお気持ちをお聞きしたいのと、そのとき慰留等、何かしら幹事長からお言葉があったのかどうかお聞きしたい。

【幹事長】
 ここに至るまで様々な調整が水面下でございましたので、慰留を含め、いろいろな努力を重ねてきたつもりです。そして、事ここに至った宮口さんの決意なりご心痛に対しては、大変申し訳なく、責任を感じているところです。
 冷静に受け止めて、今後、来週の常任幹事会に向けて、一定党として着地を図る、結論を出したい。そう思っています。

○芸能界・テレビ局における性被害報道について

【フリーランス】
 遅れてきて申し訳ありません。先週のお答えをください。フジテレビ関係です。

【幹事長】
 冒頭、来られる前に、聞かれる前にと思って申し上げたのですが、当日、私は騒ぎになっていることは知っていたのですが詳細を把握し切れておりませんでした。その後、堀田さんの指摘もあったので、何が報道されているのかということに関しては一定把握したつもりです。
 本来こういうものに関して「コメントする立場にない」というのが模範解答なのですが、それは前提に置いた上で、一般論として、この間、アメリカでのMeToo運動に始まり、ハリウッド、映画界、日本の映画界、お笑い界、そして、ジャニーズ。いわゆる社会的立場の強さや職業的優位性を悪用したのではないかと疑われるような性的強要・性的搾取がまま見られる今の現状には、大変危惧と、そして、憤り、怒りの気持ちを持っており、こうしたことはあってはならないと。非常に由々しき事態であると。仮に事実だとすればですね。一人の人間として、一人の政治家として、社会秩序や人権に関心を持つべき一人の政治家として、そういう感想を抱いております。

【フリーランス】
 その後でやった会見についてだが、公共の電波を扱うフジテレビとして、これはまともな会見だと思われるか。

【幹事長】
 これも、ごめんなさい、個別の事案、個別の社を念頭に置いた発言は、ちょっと控えさせてください。
 あくまで一般論として、様々な疑義や疑念がかかったときは、私も含めてですが、我が党も含めてですが、やはりできるだけ広く、公明正大な環境下で、責任ある立場の者がしっかりと弁明・釈明・説明を尽くす責任がある。あくまで一般論ですが、そう思っておりますし、私どももそれを心がけたい。そう思っております。

○世論調査の結果について

【毎日新聞】
 話題変わり、政党支持率の件で、毎日新聞の世論調査で、立憲民主党が11%に対して国民民主党が15%ということで、他社の調査も含めて昨年末からの傾向というのは変わらない状態で1月を迎えているかと思うが、まず、この受け止めをお願いしたい。

【幹事長】
 かつて維新さんに抜かれていたときもありましたし、あまり皆様が想像されるほど、あおられてもいなければ焦ってもいない。冷静に受け止めています。
 あれだけ「103万円の壁」などを中心に露出が増え、ある種の減税に向けた期待も高まっている昨今ですから、極めて冷静に受け止めている。
 私どもとしては、やはり各論を束ねた、各論を超えた、社会のあるべき姿、全体像。こうしたものを訴求していく、野党第1党としての落ち着いた責任を果たしていきたい。そう思っています。

○税制・消費税に関する議論について

【毎日新聞】
 少し突飛な質問で恐縮だが、経済対策、物価高対策というところを含め、ネットだったりの言論を見ていると、立憲民主党に対して減税などに対して後ろ向きだと指摘する声も散見されるかと思う。総数や比率もわからないのでちょっと難しいが、もしこういった意見に対して何か考えがあれば教えていただきたいのと、現段階で執行部として消費減税を議論する意義というものをどのように考えているか伺いたい。

【幹事長】
 先ほど申し上げたように、政治の本質は再分配なので、消費減税と、私ども主張する戻し消費税、還付と、いろいろと、わかりやすいのは減税ですよね。わかりやすいのは減税、フェアなのは給付ではないかという議論も、冷静に言えばあります。
 しかし、問題は、その冷静な議論がなかなか有権者の耳に届かなくなっている。これは私見ですが、再分配をしようと言っているあんたたちを信用できない、だから再分配する前に取らないでくれという、減税の主張しか有権者の耳に入らなくなっている。これは政治不信の極まった姿であり、痛切にその責任を感じています。
 しかし、減税すればこの社会がバラ色になるほど事は単純でも簡単でもないので、政治の信頼回復と、適正な再分配で社会を安定させていくということが本筋の議論としてあるべきだという考えを持っています。
 減税、消費減税を唱える方もたくさんいらっしゃるし、それには一定の理があり、正当性があるという前提で、これから党としてどうしていくかは十分に議論しなければいけませんが、根本的な価値観、考えとして、私はそういう考えを持っています。

【司会(幹事長特別補佐)】
 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは本日の記者会見はこの辺りで終了させていただきたいと思います。皆様ありがとうございました。

【幹事長】
 ご協力ありがとうございました。

(以上)