2021年7月28日

江田五月元参議院議長のご逝去にあたって(談話)

立憲民主党代表
枝野幸男

 江田五月元参議院議長の訃報に接し、我が国の戦後を支え、平和や人権を守り抜いてきた偉大な政治家を失ったことを、たいへん残念に受け止めています。心より哀悼の誠を捧げますとともに、江田先生の教えを忘れることなく、誰一人取り残されることのない社会の実現に向け、さらに努力を重ねて参ります。

 江田先生は1977年に当時の社会市民連合代表に就かれて政界入りし、その後2016年に勇退されるまで、40年近くにわたり政治の第一線で活躍されました。その間、与野党が逆転した2007年の参院選後に参議院議長に就任された他、閣僚も累次にわたり務められ、まさに我が国の政治を支えてきたと言っても過言ではありません。

 常に笑顔で、誰にでも分け隔てなく接する一方で、確固たる信念に基づき平和と人権の重要性を説き、また、市民活動の支援に積極的に取り組むことで現在のNPO制度の基盤を築いてこられました。江田先生の政治活動が国民生活に及ぼした影響は極めて大きく、その活動とお人柄は多くの人々の心に刻まれています。

 私自身も、1993年の初当選以来、江田先生の後ろ姿に政治家のあり方を学ぶとともに、陰に陽に様々な教えをいただきました。特に、菅直人内閣では、法務大臣として参議院議長経験者として初めて入閣され、官房長官として東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所事故の対応にあたる私を、重鎮として力強く支えていただきました。また、ご勇退後も、折に触れて貴重なご助言を賜りました。ぶれない筋と緻密で明晰な論理構成で、ともすると「カミソリ」のような鋭さを持った中身を、常に温和で感情的になることなく、やさしく穏やかに、気配りを尽くして包み込むようにご指導いただきました。直接にご指導いただく機会が失われたことははなはだ残念です。改めて、心よりの感謝を申し上げます。

 江田先生が追求されてきた平和と人権尊重は、ますますその重要性が増しています。江田先生のご遺志をしっかりと受け継ぎ、人と人、国と国、人と環境がお互いに支え合う社会を実現していくことをお約束します。

【談話】江田五月元参議院議長のご逝去にあたって.pdf