衆院厚生労働委員会で4日、新型コロナウイルス感染症対策などに関して閉会中審査が開かれ、立憲民主党の2番手として早稲田夕季議員が質問しました。

 8月2日から緊急事態宣言の発令地域に4府県が追加されるという感染急増の事態に関して、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長(地域医療機能推進機構理事長)に「今までとは違う爆発的感染と捉えているのか」と現状認識をただしました。尾身会長は、デルタ株の影響や夏休み、お盆、連休、オリンピックなどの要因を挙げた上で「今の感染拡大のスピードと医療ひっ迫へのインパクトは今までにない厳しいもの」だと深刻な懸念を示しました。

 緊急事態宣言が発令された以降でも、都内各所での人流拡大の傾向があると指摘した早稲田議員は、飲酒禁止や時短など飲食店に一点集中したような政府の感染症対策のあり方に疑問を呈し、緊急事態宣言の期間だけでもテレワークにしっかりと取り組んでもらうよう経済団体などに要請すべきではないかと提案しました。 

 これに対して尾身会長は「テレワークをもっと要請すべきという意見に大賛成だ。飲食店だけの対応は効果的ではないという考えにも賛成だ」と賛意を表明しました。その理由として、昨年暮れまでは感染伝播の中心が飲食店だったのが、今や職場や学校、広範なところでクラスターが起きていると説明し、「テレワークだけでなく、人流、接触の機会を減らすことを短期間に絶対にやることが感染拡大に歯止めをかける方法だ」と強調しました。

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 政府が3日に自宅療養を基本とする方針に急きょ転換したことに関して「地方自治体や与党内からも批判が相次いでいる」と指摘した早稲田議員は、意思決定過程に関してただしました。尾身会長をはじめ分科会が方針転換を事前に聞いていたかを確認しました。尾身会長は「この件に関して、相談というか、議論したことはない」と述べました。この答弁を受けて田村厚生労働大臣に感染症対策の専門家を排除して意思決定した理由を尋ねました。田村大臣は「これは病床オペレーションの話なので、政府で決定した」と強弁しました。

 自宅療養のあり方に関して早稲田議員は、地元の鎌倉市での事例を引き合いに出してただしました。自宅療養している人が244人いて、そのうち44人を医師と訪問看護師で診ているが、これに中等症者が加わったらどうなるかを保健所に確認したところ、現状で「限界」と言われたと報告。実情を踏まえずに自宅療養を強行する政府に対して「ある意味、自己責任に医療を任せるという大変無責任な政府の政策だ」と厳しく批判しました。これによって負担が強いられる訪問看護師への支援を強化するよう強く求めました。

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