衆院厚生労働委員会で4日、閉会中審査がおこなわれ、「立憲民主・無所属」会派から長妻昭副代表が質疑に立ちました。
これまで入院すべきと判定された方の入院をしぼるという政府の方針転換について、田村厚生労働大臣に「国民のみなさんへの謝罪からはじまるべきだったのではないか」と苦言を呈しました。
田村厚労大臣はデルタ株の感染拡大のスピードが一番のポイントだと主張し、4月に起こった大阪での医療ひっ迫を踏まえた、病床を確保するための先手の対策だと説明しました。
長妻副代表は「全く質問に答えていない。入院すべき方が入院できないという状況が起こってしまった。責任者である厚労大臣が謝罪をして説明しないでどうするのか」と断じました。これまでの政府の対策を振り返り、「人災だと思っている。6月20日に緊急事態宣言を解除してしまった。オリンピックについても間違ったメッセージになると。いま人流(の抑制が)街中や観光地で緩んでいるじゃないか。デルタ株があるのはわかっていた。謝罪も反省もなく、このまま大丈夫だ大丈夫だと。入院がスムーズにできるための方針転換だと説明しても、国民のみなさんに届かない」と田村大臣の姿勢を強く批判しました。
続いて、自宅等療養患者への対応策について、多くの医師から中等症で自宅療養は無理だという意見が寄せられていると紹介し、「中等症の患者を自宅ではなく、宿泊施設を確保して、大臣や総理が土下座して、全国の医療関係者にマンパワーを当該地域に結集していただきたいと真剣にお願いして、宿泊療養を大幅に拡充するよう、ぜひ方針を整えていただきたい」と強く求めました。田村厚労大臣はデルタ株の感染スピードや欧米の事例を挙げ、宿泊療養に否定的な考えを示しました。
長妻副代表は「信じられない答弁だ。今年1月に東京ではそういう事態になった。大阪はついこの前そういう事態になった。これから宿泊施設を準備したら時間がかかるから、時間が間に合わないなんて、とんでもない認識だ。デルタ株は今日発見されたわけではない。感染研究所は7月のオリンピック開会式には7割位になる、8月末にはほぼ全部が置き換わるという予想を出している。そういう想定が出来たにもかかわらず後手後手だ。人の命がかかっている」と痛烈に批判しました。
また、厚労省の診療の手引きに記載されている中等症Ⅰと中等症Ⅱのうち、今回の自宅療養は中等症Ⅰの場合かを確認すると、田村大臣は「中等症Ⅰにもいろいろな症状がある」「(東京都の)モニタリング会議でいろいろな検討、基準を作っていただいている」「判断は担当の医師にしていただく」と答弁。長妻副代表は、「具体的基準は東京都の会議の様子を見て決める、こんな馬鹿な話はありますか。アナウンスする前にちゃんと決めておくべきではないか」「重症化しそうな中等症と、重症化しない中等症と、中等症になりたてのときには見分けがつかない」と厳しく指摘しました。
東京を中心に感染が増えていることと、観光地や飲食店でのアルコールの提供などを含め町中が緩んでいること、そしてオリンピックとの関係について、尾身会長は「一つの理由だけでない。デルタ株の要因は間違いなくある。長期の自粛で人々がコロナや緊急事態宣言に慣れてしまった。政治のリーダーたちのメッセージが、一体感のある強い明確なメッセージではなかった。オリンピックのバブルの中の感染は直接関係しているとはまったく思っていないが、オリンピックを開催するということが人々の意識に与えた影響はあるのではないか」と答弁しました。
東京都選出の長妻副代表は東京都が開設した「自宅療養者フォローアップセンター」では看護師が100名体制で、自宅療養者に電話して、保健所の業務を補完していると説明しました。その上で、「ところが、フォローアップセンターもパンク状態になっている。ぜひ東京都のフォローアップセンターを大幅に拡充していただいて、全国の医療関係者の協力をお願いしていただきたい。全国でも入院がひっ迫しそうな地域にフォローアップセンターを国と地方自治体が相談して、国主導で設置していただきたい」と田村大臣に強く求め、質疑を終えました。