立憲民主党は11日、新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数が急増していることを受け、オリンピック関係者等のホテル等を宿療養施設として使用することを等を求める緊急要請をおこないました。長妻昭厚生労働部会長、山井和則、中島克仁、早稲田夕季各衆院議員が厚生労働省を訪れ、厚生労働大臣宛の要請書を健康局長に手交しました。

  長妻厚労部会長は「東京都等都市部を中心に相当入院できにくい状況になっている。入院すべきとされている中等症Ⅱの方についても入院できているのかどうかをチェックする体制すらなかなか取れていない。保健所もパンク状態のところもあるし、保健所からこぼれた方々をフォローする東京都の在宅医療フォローアップセンターもパンクをしてしまっている。自宅だと手遅れになる可能性がある」と指摘し、せめて宿泊療養施設を大幅に拡充してほしいと強調しました。

 要請事項は次の6項目です。

(1)オリンピックの終了によって空いた選手村やホテルを新型コロナウイルスの患者のための臨時の宿泊療養施設として速やかに使ってください。

(2)既存の宿泊療養施設を効率よく運用できる体制を整えてください。

(3)医療体制が特にひっ迫している地域には全国から医療従事者のマンパワーを結集し、臨時の医療施設を設置するなど、医療を受けられる体制を整備して下さい。

(4)最悪の場合でも、中等症は原則入院との政府方針を堅持するため、緊急事態宣言が出ている東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、沖縄県において、8月末および9月末の時点で新型コロナウイルス患者のための宿泊療養施設、病床、重症病床を何人分整備するのか、今週中に発表して下さい。

(5)抗体カクテル療法が必要な場合は、宿泊療養施設や医療機関の外来などでも確実かつ安全に受けられるよう供給量を確保し、速やかに体制を整備して下さい。

(6)医療従事者の負担に配慮しつつ、お盆の期間において、必要な検査・医療を受けられる体制を確保してください。

オリンピック関係者等のホテル等を宿泊療養施設として使用すること等を求める緊急要請.pdf

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 要請を終え、長妻厚労部会長は記者団の取材に応じ、要請の趣旨について、「今やるべきことで緊急性、プライオリティの一番のことは、助かる命が助からなくなる事態を食い止めることだ」と述べ、「入院か自宅の二者択一ではなく、仮設ベッドとか、宿泊療養施設、自宅療養のフォローアップ体制の整備などやるべきことがたくさんあるということを強く申し入れた」と報告しました。

 また、オリンピック関係者が約150カ所のホテルを押さえていたことが判明したことに触れ、大会終了したことに伴い、それらのホテルについて政府、及び東京都、五輪組織委員会に宿泊療養施設に転用するよう強く要請したと報告しました。抗体カクテル療法について、新薬のため24時間の経過観察が必要だとして、点滴の後1泊だけして、自宅や療養施設に帰るという取り組みを試験的に始めたとの説明を厚労省側から受けたとを明かし、海外の事例などを参考にしながら、宿泊療養者等への使い方を検討するよう要請したと述べました。

 中島議員は自宅療養している患者について「首都圏では肺炎症状がある方でも、先週末の連休は保健所にも連絡がつかない、医者にも診察されないという状況になっている。今週末はお盆休みに入り、医療機関、検査機関もお休みの所が増えることも予想されるので、一刻も早く、一歩踏み込んで、大胆に宿泊療養施設の体制を早急に整えるべき」「政府には、自治体任せにせず、われわれの意見にも賛同し、動いてもらいたい」と話しました。

 早稲田議員は、1都3県で自宅療養者が約3万5000人にのぼり、医療へのアクセスに苦労されている方、自宅放置になっているのではないかという方の声がたくさん届いているとし、「私は臨時の病床施設の整備をずっと厚労委員会で申し上げてきたが、大阪の危機の時でさえ進まず、その教訓も活かされていない。神奈川県でも臨時の医療施設があっても満員になりそうな状況なので、療養施設をもっと増やし、医療にアクセスできるようにしていただきたいとお願いしてきた」と話しました。

 山井議員は、要請に対応した健康局長は感染のピークアウトが見えないと言及したことを明かし、「このまま行けば、お盆明けから8月末にかけて多くの方が自宅死するのではないかと容易に想像できる」と危機感を示しました。危機的な緊急事態であるにもかかわらず、厚生労働省の姿勢は都道府県任せだと指摘し、「もっと厚生労働省が当事者意識、主体者意識、危機感を持つべき」だと述べました。