最高裁判所が6月27日、国が生活保護の支給額を段階的に引き下げたことを違法だとする判決を出したことを受け、厚生労働部門は6月30日、国会内で部門会議を開き、原告および弁護団の方々、厚生労働省など関係省庁からヒアリングを行いました。

 冒頭、長妻昭代表代行、山井和則厚生労働部門長(ネクスト厚生労働大臣)からそれぞれ、裁判を戦ってきた原告・弁護士・全ての関係者の方々のこの間の努力に敬意を表するとともに、最高裁での勝訴判決に対する祝意を述べました。長妻代表代行はまず、石破首相と福岡厚生労働大臣が原告に面会して謝罪することと、減額分の補償や遡り支給に関する協議会の設置などを求めました。また、生活保障、安全保障がぐらつけば国や社会の分断につながるとして、政府は今回の最高裁判決を真摯(しんし)に受け止めて行動するよう強く求めました。

 続いて愛知原告団(澤村彰さん)、大阪原告団(新垣敏夫さん)、東京原告団、裁判に関わってきた小久保哲郎、尾藤廣喜両弁護士などから、それぞれ発言をいただきました。全国で最初に実名、顔出しをしたという澤村さんは、長い間戦う中でバッシングのような報道もあり苦しかったと述べ、「生活保護を受けている人間の身になって考え、寄り添ってほしい」と厚労省に求めました。新垣さんは、最高裁判決が出た後の厚労省との交渉でも一切回答がなかったとして「謝罪するならする、そうでなければ何も始まらない」と述べ、既に亡くなった原告もいることから迅速な対応を要望しました。尾藤弁護士からは、政府として過ちを認めるよう大臣や石破首相を説得することが厚労省の役割だとの発言があり、小久保弁護士は、ようやく最高裁が判決を出したので真摯に受け止めてできるだけ速やかに石破首相、福岡大臣が謝罪し、早急に回答してほしいと述べました。

 会議の締めくくりに長妻代表代行は、生活保護減額の大きな要因の1つは2012年の衆院選で自民党が生活保護費の給付水準の10%引き下げを公約に掲げ、自民党政権の下で大きく削減しなければならなくなったことだとして、政権への忖度や当時の自民党とのやり取りを検証して明らかにするよう、改めて厚労省に強く求めました。山井部門長は、生活保護減額により保育料や介護保険料の減免など、47にも上る制度に影響が出たことから「本当に多くの方が救われると思う」と発言するとともに、「生活保護バッシングに乗り、人の命を守るより選挙に勝つことを優先した。生活保護を削ろうと言った方が選挙に勝てる、とんでもない話だ」と改めて批判。自民党の選挙公約が結果的に多くの人の生活や命を奪った以上、自民党総裁である石破首相もこの問題についてコメントすべきだと述べました。