立憲民主党は4日夜、りっけんチャンネル「コロナ禍から文化・芸術を守れ!」を配信しました。泉健太政務調査会長と芸能活動に従事していた塩村あやか参院議員はコロナ禍で文化芸術を守るために活動を続けている We Need Culture の Nozomi Nobody さん(シンガーソングライター)、弁護士の馬奈木厳太郎(まなぎ・りゅうたろう)さん、芸能従事者労災保険センター理事長の森崎めぐみさんから、文化芸術に携わる皆さんの現状とその課題について伺い、今後の対応について、意見交換しました。

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■コロナ禍のエンタメ業界の現状――ライブエンターテインメント市場の収入は対前年比約8割減

 We Need Culture の Nozomi Nobody さんは「音楽の現場は昨年感染が拡大し始めた頃に大阪のライブハウスでクラスターが発生し、世間からの風当たりが非常に厳しかった。とても大きな影響を受けたということがあって。そういった中で、補償がないためにお店を閉めたくても閉められないような状況がずっと続いて、感染対策をとるのか事業継続のためにお店を無理やりでも開けるのかという、すごく厳しい選択を事業者が迫られるような状況が続いていました」と1年以上に及ぶ窮状を説明しました。

 弁護士の馬奈木厳太郎さんは「昨年来、もう1年半にわたって新型コロナウイルスの感染拡大の防止に文化芸術の分野も協力してきました。感染拡大があってはいけないという思いは同じだと思っています。舞台芸術、映画、音楽、美術のどの分野も、率先して協力してきたと思っています」と感染防止を最優先に取り組んできたと振り返りました。一方で、「(国から)キャパシティの半分しか入れられないであったり、夜8時以降は営業自粛してくださいという要請があったり、そういった現実もあります」と厳しい規制が続く中、それに対する補償がないという問題点を指摘しました。

 全国芸能従事者労災保険センター理事長の森崎めぐみさんは「昨年2月26日に感染防止のための自粛要請が突然出されたことで、ライブエンターテインメント市場の収入は対前年比約8割減になり、芸能従事者は1年半もの間、劇場や撮影所などの仕事が激減し、キャンセル料もほとんどの人がもらえていません」「経済的に困っているのは、生活費が多く、職業維持のための費用と答える方も7割以上、すでに他の職業に変えた方も1割近くいらっしゃいます。舞台やテレビ映画の製作数が減少し続ける一方で、俳優は仕事があったとしても報酬が約3割減になっています」と業界全体の現状を説明しました。

全国芸能従事者労災保険センター資料.pdf

■支援制度の課題について

 We Need Culture の Nozomi Nobody さんは「私たちは一貫して補償を求めてきましたが、国の大きな方針として(文化芸術を)補償しないという大前提がまずあるので、各省庁に要請に行っても補償はしないとずっと言われ続けてきた」と政府の姿勢を批判し、「申請する際に審査があって採択される人、採択されない人が分かれたり、採択の基準が不明確であり、『困っている人を一律助けますよ』という支援になっていないところが問題だ」と強く主張しました。

 馬奈木弁護士は「舞台芸術は制限がかかりやすい分野。最初は確かに緊急だということで私たちも、これは何としてもと思っていましたが、制限されることの合理的な根拠や説明があまりなされていないのが率直なところです。検証とかをしていただきたいなと思っています。そういった検証をなぜ行政などはなさっていただけないのか。業界自らが、実は検証してきたという経過があります。そういった事もぜひ考えていただきたいと思いますし、他の業種の方たちの大変厳しいなか、私たちのこの文化芸術の分野も存続をなんとかさせてほしい。そのための、さらなる使い勝手の良い支援をお願いできないか」と訴えました。

 全国芸能従事者労災保険センターの森崎理事長は文化芸術に携わる人のフリーランス率は94.6%(文化庁調査)で、フリーランスも対象の持続化給付金などの助成金が付されましたが、芸能従事者特有の雇用慣行により契約書がないため、申請すらできていない方が4割以上いるという労働環境の改善の必要性を指摘しました。昨年6月、政府の全世代型社会保障検討会議でフリーランスにも労災補償保険を対象拡大するという発表があり、約30年前から要請をしていた俳優および実演家とスタッフ、総じて芸能実演家芸能従事者には特別加入労災補償保険法が適用されることになり、加入のための特別加入団体として全国芸能従事者労災保険センターを設立したとこれまでの経緯を説明しました。「保証もないのに休業要請ばかりしている状態が1年以上続いているのはなぜなのか」「フリーランスだと助成金が使いづらい。損害補償金を出してください」「心のケアが必要。先が見えず苦しさでいっぱいです」と、このような声が多数寄せられていると説明しました。

■提言

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 立憲民主党の枝野幸男代表と泉政調会長は8月24日に We Need Culture から提言を受け、国会内で懇談しました。提言書は、(1)イベントや活動に対する助成など「活動」に加え、「場」や「担い手」への直接支援を拡充(2)官民一体での文化芸術関係者の共済制度の創設(3)2021年度補正予算で使途を問わない給付型の補償制度の創設(4)すべての若者が文化芸術に触れられる機会の創出――の4項目です。

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■今後の対応について

 泉政調会長は補助金について、「農業でも戸別所得補償、かつての子ども手当もそうですけれども、私たち立憲民主党の考え方は、常になるべく直接個人に届けていきたい」と説明し、現場の声に応えられるよう、積極的に取り組んでいく考えを示しました。

 塩村議員は「本当に個人の生活を守っていかなければいけないし、事業を守っていかなければいけない。この両方を私たち政治がしっかり考えて、施策を出していくべきだ」と強く主張しました。