「今回、第2弾として発表したのは、これまで自民党内の強い抵抗で実現できてこなかったテーマが中心。それだけに政権を取らせていただいても『実現は簡単ではない』ということ。国会で多数を得て、多数の賛成を得て、法改正などを進めていかなければいけません。けれども長年にわたって自民党の厚い壁に阻まれてきただけに、私たちは政権を取った上で、これらのテーマを断固たる意志で進めていく。この事を皆さんにお伝えをしたい」(「 #政権取ってこれをやる 第2弾 多様性を認め合い『差別のない社会』へ。」について、枝野幸男代表)

 立憲民主党は15日夜、党公式YouTubeチャンネル「りっけんチャンネル(※)」で「枝野幸男の #政権取ってこれをやる 多様性を認め合い、差別のない社会へ。」をライブ配信。党が発表した「 #政権取ってこれをやる 第2弾」について、枝野代表が解説しました。同番組は、YouTube を通じライブ配信され、視聴者から寄せられた質問に対し、枝野代表が回答していくという形式で進行しました(※「りっけんチャンネル」は、毎週水・金・土曜日の週3回、配信をしています)。

 枝野代表は、第2弾について、以下のように述べました。

 「第1弾、第2弾としていますが、この順番は、私たちがこの順番で重要だと思っている順番とは全く関係ありません。まず第1弾として、政権を取ったらその日のうちに――国会の手続きとかそういったものもなく――やることが出来ることを発表しました。そして今回、第2弾として発表したのは、逆にこれまで自民党内の強い抵抗で実現できてこなかったテーマ。それだけに政権を取らせていただいても簡単ではないということであり、国会で多数を得て、多数の賛成を得て、法改正などを進めていかないと実現できません。けれども長年にわたって自民党の厚い壁に阻まれてきただけに、私たちは政権を取った上で、これらのテーマを断固たる意志で進めていく。この事を皆さんにお伝えをしたいということで、その中でも5項目を選ばせていただきました」。

政権公約VOL2.jpg
  1. 選択的夫婦別姓制度を早期に実現

    ――実は私28年前、衆院選挙に初めて出馬した時、個人で掲げた公約は3つだけで、その内の1つが、この選択的夫婦別姓の実現でした。当時、まさに均等法(男女雇用機会均等法)ができて、社会の中で女性を対等に扱うんだ、と建前が一歩進んだ状況でした。それにもかかわらず『結婚』という時に、別姓が認められないことで壁にぶつかっている仲間が沢山いた。そういうことでこれを掲げました。まあ10年もやれば、さすがにこれは実現できるかなと思いながら、もう28年経っている。念のため申し上げますが、これはあくまでも『選択的』です。今までの通り、結婚したら同じ苗字、氏を名乗りたい方は、何の変わりもありません。特にそれを希望する人だけが、それを選べるという仕組みです。

  2. LGBT平等法の制定/同性婚を可能とする法制度の実現を目指す

    ――今日もLGBTの当事者の皆さんなどが集まる、あるいは相談などにも対面で応じることができる施設を訪問しました。LGBTの差別解消を掲げるオリンピック・パラリンピックを一つの契機に作られた場なのですが、そこを訪ねて運営者の方からお話を聞かせて頂きました。衝撃的だったのは、実はそうしたコミュニティの中では、自ら死を選ぶ方があまりにも沢山いらっしゃるという事実です。普通はどなたかが亡くなって「自殺らしいよ」というと、かなりの衝撃だけれども、それがあまりにも多すぎて、そのことに対する心理的な衝撃が小さい。「それぐらい命に関わるんです」と、こういうお話も伺いました。

     あわせて担当の大臣を置いて、担当の部局を政府内に置く。これは世界の標準ですので、進めていきたいと思います

     LGBT平等法については、実はオリンピック・パラリンピックの前に、差別解消のための法律を作ろうと自民党の中でもかなり一生懸命動いた方がいらっしゃいました。ところが結局、自民党に持ち帰って議論をすると、強く厚い反対の壁に阻まれてしまって、実現できない。私もライフワークとして28年間取り組んでいるので、選択的夫婦別姓に賛成だという自民党の議員の皆さんを沢山知っています。そういう皆さんと、さまざま連携とってきましたが、やはり自民党内の厚い壁を破れない。これはやはり政権が変わらないと、できないことだと思っています。

    117796.jpg
  3. DV対策や性暴力被害者支援など、困難を抱える女性への支援を充実

    ――もちろん女性による、男性に対する DV もあります。それも深刻な問題です。それから性犯罪被害も、男性が被害者になるケースもあります。ただやはり圧倒的にDV被害の被害者は女性、性犯罪被害の被害者は女性です。そしてそれが女性の活躍や女性の社会参画を妨げている一つの大きな要素である。そういう社会実態を捉えて、特に女性に対する支援というものを急がなければならないということで、あえてジェンダー、そして女性ということを掲げさせていただきました。

  4. インターネット上の誹謗中傷を含む、性別・部落・民族・障がい・国籍、あらゆる差別の解消を目指すとともに、差別を防止し、差別に対応するため国内人権機関を設置

    ――インターネット上の誹謗中傷を含めて、性別、部落、障害、国籍。あらゆる差別の解消を目指し、特に差別を防止して差別に対応するための国内人権救済機関、独立性の高い機関を作りたいと考えています。

     これは独立機関、あえて言えば準司法機関です。日本でも人権救済を裁判所に申し立てることが、今でもできます。でも裁判ということになると、お金もかかるし時間もかかるし、それから裁判で厳密なことをやろうとすると、なかなか立証が困難というようなことがあります。仲裁や勧告という権限を持たせ、一定の実効性を担保しながら、裁判ほど厳格な手続きをとらなくても、気軽にということですが、もっと身近に使いやすい、けれどもそういった判断をする機関ですから政治権力とは距離を置く。ましてや、法務省による入国管理の人権問題などが問題視されてるので、法務省などから完全に独立させた機関を作らなければならない。そして世界のスタンダードは、まさにこの独立性というのが大前提であるということです。諸外国の例を参考にしながら、こうした提言をさせて頂いています。

  5. 入国管理・難民認定制度を改善・透明化するとともに、入国管理制度を抜本的に見直し、多文化共生の取り組みを進める

    ――ウィシュマさんの亡くなられた案件が問題となっていますが、実はこれが初めてではありません。毎年のように、類似の「どうしてこの方が亡くなったんだ」というような案件が生じています。それが長年にわたって続いているのです。こうした状況を改善するため、入国管理制度を抜本的に見直し、多文化共生の取り組みを進めます。ウィシュマさんに関する情報を、公開すらできない政府では、これは実現できるはずがありません。

 また後半の一問一答で「外交・経済に関する公約が見当たらない」という視聴者からの指摘に対し、次のように回答しました。

 外交という観点から申し上げると、特に入国管理の問題、あるいはLGBTの問題、それから選択的夫婦別姓をはじめとするジェンダーの問題は、残念ながら世界の水準で圧倒的に日本は遅れています。OECDやG7の中では、最下位と言って間違いありません。日本は特に近隣諸国との関係において、例えば中国のウイグルであるとか、香港であるとか、あるいはチベットの問題とか、こうした人権の問題についてしっかりと声を上げて、そして国際連携をリードしていきながら、こうした人権侵害に対して戦っていかなければならない。私はそういう日本外交の基本姿勢が必要だと思っています。でもその時に、まず外国人の方との関係の入り口である入国管理で、もうとんでもない人権蹂躙(じゅうりん)の状況がある、あるいはLGBTQ、ジェンダーの問題で世界の中から圧倒的に遅れている、こうした状態では、他国の人権侵害に物を言っても説得力がありません。これでは、いわゆる人権外交なんて成り立ちません。人権外交は、やはり日本が、国際社会で名誉ある地位を占める上で重要なポイントだと思っています。そうした意味では、こうした人権問題にしっかりと対応し、せめて世界の水準に追いつこうと努力をしているということは、日本の外交の上でも必要なことだと思っています。

117795.jpg

 またこうした問題が経済に与える影響について、次のように回答しました。

 それからジェンダーの問題です。これ実は、私が経済産業大臣時代には、実際に経済産業省でそういうキャンペーンを、旗を振って進めてもらったのです。実は女性役員の比率の高い企業ほど、株価や企業収益力が高い、こういう統計が出ています。これは世界の先進国や日本国内で見てもそうです。もちろん例外はありますが、統計をとると明らかに正の相関関係がある。国家としても言えると思いますが、女性が活躍しやすいのであれば、マイノリティの方も活躍しやすい。その分だけ多様性をもっている。顧客のニーズというのは多様化しているのが今の日本や世界の経済です。そうした中で、モノやサービスを作る側に多様性がなくては、顧客のニーズに応えられるはずがない。ちょっと考えれば分かることです。日本経済全体がガラパゴス化したのが、日本経済が低迷している一つの要因だと思っています。
 経済や外交という観点からも、こうした人権やマイノリティの問題というのは、大変大きな意味を持っているということをぜひ知っていただきたい。

 そして多様性やマイノリティといった問題は「他人事ではない」と述べ、次のように説明しました。

 実は、このマイノリティの問題、差別の問題というのは、他人事のように皆さん感じるかもしれませんが、誰でもマイノリティになる可能性があるということを是非、皆さんに知っていただきたい。障がいを負ってマイノリティになる、でも障がいを負うというのは、生まれもってハンディキャップを持つ方もいらっしゃいますし、事故や病気で身体が不自由になった方もたくさんいらっしゃる。事故や病気のリスクは誰でもあります。決して他人事ではありませんーーと、マイノリティや差別の問題について、あくまで自分事ととらえるよう視聴者の理解を求めました。