立憲民主党は9月18日、東京都内で「東京・南関東ブロック立会演説会」と、「世界の中の日本の安全保障戦略」をテーマに「東京・南関東ブロック候補者討論会」を開催しました。泉健太、吉田はるみ、野田佳彦、枝野幸男各候補が政見などを力強く訴えました。同月23日の臨時党大会で新代表が選出されるまでの間、全国11ブロックで立会演説会と討論会を開催し、今回が最後の回になりました。発言順は開催場所ごとに変わります。

 新橋駅西口広場(SL広場)で行われた立会演説会で4候補は以下のような発言をしました。

泉健太

 泉健太候補は自民党との違いとして、わが党は法律や予算の立案、法案への賛否では国民目線、地域目線で考えていると訴えました。コロナ禍で自民党は外出禁止令のような国から目線の法律案を出した際、わが党は一人ひとりの権利を大切にしている立場から、自民党案を撤回させたと語りました。

 今も、自民党総裁選候補が解雇規制の緩和を訴えていると述べ、緩和すれば国民生活は不安定になり、将来設計もできないと指摘。そして「素晴らしいリーダーの候補者がここにいるが、最も難しい3年間を政権交代前夜まで持ってきた、党のその再生力を国の再生に使わせていただきたい」と訴え支持を求めました。

吉田はるみ

 吉田はるみ候補は、言いにくいことを言うために立候補したと語り、その例として国会の委員会の欠席議員が多く開催定足数が満たされない危機にあると指摘。「立場が違っても良い、でも国民生活のための議論を国会ですべきだ」と訴えました。また食品の消費税ゼロ税率、教育の無償化の必要性を語りました。

 さらに日本はジェンダーギャップ指数で政治と経済分野が特に低いと指摘。「私たちは生きづらさを抱え、自分らしさ、女性らしさ、いろいろな『らしさ』に縛られている。それらを打破していきたい。女性の力が本当に発揮された時、日本の経済はもっと良くなる。働き方、暮らしが変わっていく」と訴え支持を求めました。

野田佳彦

 野田佳彦候補は、「親ガチャ」という言葉を取り上げ、貧富の差が教育を受ける機会の差につながっていると指摘。民主党政権時の高校授業料無償化を当時の自民党・公明党はバラマキだと批判したが、今はどの政党も類似の政策を訴えていると述べ、「われわれが主張していたことは間違っていなかった。実現していこう」と訴えました。

 政治の世界にも「親ガチャ」は存在するとして、親の政治資金を引き継ぐことを制限することから政治を変えて行こうと訴えました。そしてすべての若い人、子どもたちが日本に生まれて良かったと言える「国ガチャ」に当たった国にしていきたいと述べ、支持を求めました。

枝野幸男

 枝野幸男候補は全国各地で多く方の話を聞きさまざまな不安の中で暮らしていることを強く感じたと語り、自分らしく生きられる、安心して暮らせる、年老いていく親を支え安心して子どもを産み育てることが、希望すれば誰でも当たり前に実現できる日本を取り戻したいと訴えました。

 多様な一人ひとりが持っている力を最大化させ発揮することができれば、安心して暮らせるもっと良い未来が必ず開けると語り、そのためには時代遅れの政治、汚れた政治を変えるしかないと指摘。日本の未来、あなたのお子さんとお孫さんの未来を切り開くには、あなたの力が必要です、一緒に新しい時代を切り開きましょうと呼びかけました。


野田佳彦 枝野幸男 泉健太 吉田はるみ


東京・南関東ブロック候補者討論会(テーマ:世界の中の日本の安全保障戦略)

■泉健太候補

泉健太

 欧米各国のリベラル勢力は政権交代を何度か経験しているが、国防というところからも逃げずに国を担ってきている。日本のリベラル政党も国を愛し、国を守らなければならない。それこそが国民の信頼にもつながる。

 私もこれまで、フィリピンなど各地で戦没者の遺骨収集に携わってきたが、70年を過ぎても遺骨が返ってきていない。戦争とはかくも長期にわたり多くの方を悲しみの中に置き去りにしてきた。私は、平和を守ることをまず誓う。その上で平和を守り、国を守る防衛力の整備を着実に行っていく。

 自民党の防衛力強化方針のGDP比2%ありきの方針こそがおかしい。現場は混乱し、安定的に着実に防衛力を整備することができなくなり、いろいろな意味でひずみがおきている。

 日米同盟はしっかり保ちながらも日米地位協定の改定など、米国一本やりではなく多国間との連携でさまざまな国の現状変更を抑えていく。

■吉田はるみ候補

吉田はるみ

 安全保障というと、軍備や装備がクローズアップされるが、私は2つの視点を提示したい。一つは食料安全保障。現在の日本の食料自給率は38%。海外に食料を頼る国であり、これは安全保障上大変危険なこと。食の安全をしっかり守っていくことは重要。もう一つは情報力。日米同盟基軸は継続していくが、日本は情報収集力が弱く、米国に依存している。東アジアでの情報収集を日本が主流にやっていく力を付けるべき。その時に必要になるのは情報収集衛星。宇宙関連産業に力を、投資を、そして人材育成していくべき。

 今回の代表選の討論会で欠けているところがあった。立憲民主党は多様性、ジェンダー平等を掲げる党だ。ジェンダーについての討論会を実施してもらいたかった。1949年に39人の女性国会議員が当選したが、今は51人と12人しか増えていない。政治、経済のジェンダーギャップ指数は最下位クラス。この解決策を考えていくことが、日本経済が成長し、政治文化が変える一番の肝になる。

■野田佳彦候補

野田佳彦

 総理に就任する前に中曽根元総理と会い、総理の心構えを聞いた時に、「外交はトップの仕事。外相はアシスタントに過ぎない」と言われ驚いた。私は16カ月間の在任期間中に16回の国際会議に出た。総理官邸で161回海外の要人と会った。

 総理の仕事はまさに外交だ。その際に最も軸となるのは日米同盟。これは間違いない。これを進化させないといけない。カウンターパートナーはオバマ大統領だった。具体的話をすることがオバマ大統領は大好きだった。個人的な信頼関係を作ることは大事だ。

 その上で、日米関係において日本が心がけることは、米国は国内問題がひっ迫してくると国際社会から引こうとする。それを引っ張り出すこと、米国をアジアの問題に関与させることが日本の役割だ。

 私は国連演説でイスラエルとパレスチナの間に入った。その時は「紛争の平和的解決」について話した。日本は中東で独自外交をできると思う。日本はガザの平和解決にもっと貢献すべきだ。そういう役割を果たしたい。

■枝野幸男候補

枝野幸男

 安全保障は徹底したリアリズム、現実に即した対応が求められる。国際社会には法の支配はない。そうなると、日本は今の国際社会の中で、日米同盟を基軸に生きていくことは、避けては通れない課題だ。大事なことは、これをいかにより太いパイプにして、対等な同盟関係に近づけていくことかということ。

 日米同盟は、米国にもメリットがあるから70年続いている。米国は国際社会でポジションを維持拡大するために日本を守る必要があるから守っている。卑屈な姿勢になる必要は無い。自民党の外交安保にはこの卑屈な姿勢が横たわっているのではないかと感じる。

 沖縄問題もしかり。辺野古問題は時間を切ったからうまくいかなかった。一から対等に議論すれば良かった。

 日本独自の平和外交を進めていくためには、きちんと意見を言って対等に議論して、日本の独自性を出した外交をやっていくこと。それでこそ、リアリズムの中で日本国民を守り、ひいては世界の平和を作る日本外交、安全保障ができる。


野田佳彦 枝野幸男 泉健太 吉田はるみ