「昨年の一律給付でさえ、(必要な人に間に合わない)タイムラグが発生した。われわれは減税でもよいと思っている。困っている人々に迅速な支援を」(江田憲司衆院議員)。
 13日午後開かれた衆院予算委員会、補正予算の基本的質疑では、長妻昭議員に続き、江田憲司衆院議員が質問に立ちました。江田議員は(1)18歳以下への現金給付(2)子育て支援(3)新型コロナウイルス対策(4)岸田総理の掲げる経済政策「新しい資本主義」――等について質問しました。

■18歳以下への現金給付

 政府が計画する18歳以下への10万円相当の給付のうち、5万円分はクーポンの配布を原則としている理由について尋ねました。クーポンで支給すると自治体の事務作業の負担が重くなり、支給が遅くなることや経費も膨らむことが指摘されているにもかかわらず「なぜクーポン支給にこだわるのか」と政府をただしました。岸田総理は「各自治体の実情に合うよう支給方法を選択するようにお願いしている」と答弁したものの、クーポン支給については「より直接的な支援が可能などの政策目的がある」などの理由を挙げ、クーポン支給を正当化しました。

 クーポンを用いる理由の一つに「クーポンの方がより消費を喚起できる」ことを政府が掲げていることから、江田議員は小渕内閣の時の緊急経済対策として、1999年4月から全国に給付された地域振興券の経済効果について尋ねました。山際大志郎経済再生担当大臣が「給付された総額の3割程度の経済効果があった」という趣旨の答弁をすると、江田議員は「クーポン券でも約7割は貯蓄に回ってしまう」と指摘。続けて江田議員は「昨年の一律給付でさえ、(必要な人に間に合わない)タイムラグが発生した。われわれは減税でもよいと思っている」と述べました。
 そして立憲民主党が(1)時限的な消費税減税(2)年収1千万円程度までの人たちの所得税の1年間実質免除(3)住民税非課税世帯については一律月10万円の現金給付――を柱とした経済政策を掲げていることにも触れながら、「コロナ禍において、消費税減税はすでに世界約50カ国で実施されている。また年収1千万円以下の世帯の内、約9割近くはサラリーマン世帯。源泉徴収なので新たな手続きはいらない」「困っている人々に迅速な支援を」と訴えました。

EDA2.jpg

■新型コロナウイルス対策

 江田議員は「年末にかけて政府がやるべき新型コロナ対策」として(1)海外からの新たな変異株の流入阻止(2)国内で新たな変異株を発生させないことを挙げ、政府に対し水際対策と国内における感染拡大防止策についてただしました。

 水際対策については、現在、国が実施している抗原定量検査を感染者がすり抜けた事案を指摘し「最近では待機時間のより短いPCR検査といったものも開発されてきている。水際対策としてしっかりPCR検査を行うべきではないか」とただしました。これについて岸田総理は、例えば10日間隔離施設に待機するケースの場合、計4回検査を繰り返すことから「検査の精度を検査回数で補完している」と説明しました。江田議員が「より大きな問題は、施設隔離後の自宅待機だ。入国者が政府の要請を順守しているのか知りようがない。今の段階では一律に一定期間、宿泊施設に隔離すべきではないか」とさらにただすと、岸田総理は「全員10日間の隔離をしたらよいとの指摘もあるが、限られた資源を集中させたい。待機施設の1万3千床をしっかり確保する努力を続けていきたい」と答弁しました。

KISHIDA.jpg

 国内で新たな変異株を発生させないために、下水の検査を行い、「感染集積地」を特定すべきではないかとの江田議員の質問に対しては、「政府としても調査研究をし、そうした技術がどう使えるのか、しっかりと検討させたい」と岸田総理は答弁しました。

 また「場当たりの積み重ね」「付け焼刃だけれど、結果オーライ」といった指摘もある、これまでの政府のコロナ対策の「検証」について江田議員が尋ねると、岸田総理は「人流抑制、国・自治体の連携、司令塔機能の3点をしっかりと考えるべきだと思う。こうした観点から検証を進め、来年の6月までには結論を出したい」と、答弁しました。

■ 「新しい資本主義」

 岸田総理の掲げる「新しい資本主義」について、江田議員が「よく分からない。アベノミクスを継承するものなのか」と問いただすと、岸田総理は「アベノミクスはさまざまな成果を上げたが、その上にさまざまな工夫が必要だ。『成長』も、単に市場に任せるだけではなく、政府も民間投資の呼び水となる投資環境の整備を行うなど一定の役割を果たす。『分配』も単にトリクルダウンを待つだけではなく、政府もしっかり責任を担う。そういう意味では新たな取り組みと言える」と答弁しました。

 江田議員が「新自由主義の象徴たるIMFすらも、『経済格差や貧困を撲滅することによって、教育水準も上がり、イノベーションが起こる』『分配なくして、成長なし』と言い始めた。こういった考えを言っているのか」とただすと、岸田総理は「成長の果実をしっかり分配することが消費や、次の成長につながる」と答弁しました。これに対し、江田議員は日本の潜在成長率がゼロに近づいていることを示すグラフを示すと、「総理がいくら分配と言っても、成長していないので『成長の果実』はない。分配の財源はどこに求めるのか」と問いただしました。すると岸田総理は「ストレートに税に求めるとは申し上げない。まずは成長させようと申し上げている。成長の果実を分配する好循環を作りたい」と、答弁しました。

 江田議員は「もちろん、われわれも成長やイノベーション、技術革新は大事だと思っている」と述べた上で、「われわれはイノベーションの一番の推進力は、国立大学だと思っているが、安倍政権以降、国立大学への運営交付金が極端に下がっている。他方、研究者が自力で獲得しなければならず、手続きに時間をとられる競争的資金は増えている。研究資金と時間をとられたら、イノベーションが起こりようがないのではないのか」とただしました。これに対し、岸田総理は「大学における運営交付金の重要度はご指摘の通りだ。今回組成したファンドにより、財政的支援の強化を目指している。加えて、大学の制度改革などによる研究者の研究環境整備にも取り組みたい」と答弁しました。

 最後に江田議員は「給与所得者の給与引き上げの方向は正しいが、どう実現するかが問題だ。税控除する額を増やしても効果は少ない。例えば赤字企業でも負担せざるを得ない社会保険料を軽減すれば、企業が給与を引き上げたり、非正規労働者を正規化するインセンティブにもなるのではないか」とただしました。すると岸田総理は「給与所得の引き上げに加え、可処分所得の引き上げという考え方も大事だ」と、考え方の方向性については同意を示したものの、「保険財政が損なわれぬよう、支える側を増やし、制度の持続可能性を維持することにより、負担増を抑制する取り組みが重要だ」と答弁するにとどまりました。

EDA3.jpg