衆院予算委員会で13日、令和3年度(2021年度)補正予算案の基本的質疑が行われ、立憲民主党の2番手として質問に立った長妻昭衆院議員は、新型コロナウイルス感染症対策を中心に取り上げ、岸田総理の見解をただしました。
党の新型コロナウイルス対策本部の本部長を務める長妻議員は冒頭、「医療崩壊、生活崩壊を食い止める責任が国会であることを踏まえて質問をさせていただきたい」と表明。
その上でまず、岸田総理が同日午前の委員会で18歳以下への10万円相当の給付をめぐり、「自治体の判断により、地域の実情に応じて年内からでも現金で一括給付することも選択肢の一つ」と発言したことに言及。一方で「クーポンを基本とする」との方針を変えていないことから、自治体からは、いったん立て替える形で10万円を給付したあと、政府から現金の補てんがされないことを懸念する声があるとして、この点を確認しました。これに対し岸田総理は、「政府において、一括給付を認めるにあたって何か特定の条件を付けて審査をすることはない」と明言。当初「簡単な要件を付す」と答弁した山際経済再生担当大臣は、「政府としては給付対象者や給付金額等について、政府で決めたものであることを確認するだけ。基本的に無条件と思っていただいて結構」と補足説明しました。
12月3日に政府が自治体向け説明用に発出した資料「現金による給付を許容するケースについて」にある、「令和4年6月末までにクーポンの給付を開始することができない見込みである限り」との文言および、その場合に内閣府に提出を求めるとする理由書については、この点を削除した形で補正予算成立後に実施要領を示すと山際大臣が答弁。長妻議員は、「誤解を招かないよう、明確に無条件だと書いて送っていただきたい」と述べるとともに、生活に困っている子育て世帯への支援となるよう、自治体への給付のスケジュールを含めて総理のリーダーシップでしっかりと進めてほしいと求めました。
長妻議員は、2020年1月から21年11月までの間に、警察が取り扱った死因が新型コロナウイルス陽性のご遺体(発見場所は自宅等・外出先)539人のうち、生前にPCR等の検査が実施されたのが243人、死後に実施された方は296人である事実などを取り上げ、「入院すれば助かった方が入院できず、お亡くなりになる。戦後最悪の医療行政の実態が起こってしまった」と述べ、第5波で自宅死が続出した事態の深刻さをあらためて指摘。この教訓を学ぶべく、検証が必要だと訴えました。
新型コロナウイルスに感染し、必要な医療や保護観察を受けられないまま自宅で死亡した人の家族による「自宅放置死遺族会」が発足し、自身も共同代表の2人と直接会って話をしたとして、ご遺族からは「遺族の声を聞いてほしい」「救えたはずの命が救えなかったという自覚はあるのか」「本来行政としてはどうあるべきだったか。なぜ最悪を想定して対策しなかったのか。『仕方なかった』では納得できない」といった悲痛な叫びが上がっていると紹介。一つの案として、政府の中に「コロナ自宅死等を調査検証委員会」を作って検証を行い、第6波に備えてこの教訓を蓄えていく取り組んではどうかと述べました。岸田総理は、「遺族の皆さんの話をどのように受け止めて検証するのか。政府として今どういう対応になっているのか、確認をしたい」と答えるにとどまりました。
新たな変異株「オミクロン株」の感染が広がるなか、重要視されるワクチンの3回目のブースター接種については、長妻議員は「6カ月を一つの基準にする判断はできないのか」と要望した上で、ファイザー製かモデルナ製かといったワクチンのメーカーを選ぶことができるのかを尋ねました。後藤厚生労働大臣は、「ワクチン供給制約があり選べない場合もあるが、選ぶ仕組みはある」などと答弁。堀内ワクチン担当大臣からは医療機関、あるいは接種会場によっては選べることができる趣旨の説明がありました。
長妻議員はまた、年末年始に向けて人の流れが増えることが予想されるなか、感染予防的措置の一つとして、人の流れを抑制する必要があるのではないかと提起。厳しいメッセージを出すべきだと総理の考えを尋ねましたが、岸田総理からは明確な答弁はありませんでした。