衆院本会議で5月27日、2022年度補正予算案に対する討論が行われました。立憲民主党から道下大樹衆院議員が登壇し、補正予算案に反対する討論を行いました。
細田議長をめぐる問題
道下議員は、細田衆院議長が衆議院の小選挙区定数を「10増10減」とすることに否定的な発言をしたことについて「国会で議論の上定められた法律に基づくものであり、立法府の長がこれを批判するなどあり得ない」と指摘。さらに細田議長にセクハラ疑惑の報道が出ていることについて、「議院の秩序と品位を保持していただくためにも、国会閉会後に訴訟などで対応するより前に、今国会中に細田議長ご本人から本件に関して説明責任を果たしてほしい」と強く求めました。
知床観光船沈没事故
知床半島沖の観光船沈没事故について道下議員は、「ずさんな安全管理体制であった運航会社に大きな責任があることは明らかですが、国土交通省の甘すぎる検査・監査にも原因がある」と国交省の責任を追及。その理由として、(1)船と地上との連絡方法としていた衛星携帯電話の機能の未確認や携帯電話がつながらないという実態を見逃していたこと(2)二度の事故後の改善報告書が国交省からの参考文書を全てコピーしたものであっても国がそれを認めていたこと(3)抜き打ち確認検査は担当者不在で確認できず、その後のフォロー検査をしていなかったこと――等をあげ、徹底した原因究明と再発防止策を岸田総理らに強く求めました。
国土交通省統計不正問題
国土交通省には、もう1つの深刻な問題「建設工事受注動態統計」の不正問題があると取り上げました。有識者会議の調査結果で、「今回の統計不正により、2020年度の統計が約3.6兆円過大になっていたことが明らかになった」と述べ、不祥事続きの国交省に「斉藤国交大臣の監督責任は極めて重い」と猛省を求めました。
岸田総理の子ども関連予算倍増発言
岸田総理が掲げる「子ども子育て関連予算倍増」発言について、衆院予算委員会で泉代表がそのスケジュールを質問しても具体的な答弁がなかったため「子育て世帯は期待外れだと、失望したと感じているのではないか」と指摘しました。
岸田総理の防衛費増額発言
一方で、岸田総理がバイデン米国大統領との会談で「日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意」を表明し、自民党も防衛費の増額を掲げていることについて、「予算は『金額ありき』で決めるものでは決してない」と道下議員は強調。「まず議論すべきは積極的な首脳会談など外交力の抜本強化である」「安全保障の議論にのみ固執する政府・与党の態度は極めて不誠実だ」と述べました。
金融政策の見直しについて
消費者物価指数が前年同月比2.1パーセントの上昇を記録する一方、賃金の上昇が追い付かない「悪い物価高」になっているにも関わらず、日銀が異次元の金融緩和に固執することに疑問を示し、政府及び日銀に、国民生活の視点に立った政策の展開を強く求めました。
2022年度補正予算について
今回の政府の補正予算約2.7兆円が、「一言で言えば『遅い、小さい、中身がない』ということに尽きる」と述べる道下議員は、「選挙目当てで大規模な補正予算を編成したかった公明党と、選挙前に予算委員会を開きたくなかった自民党の妥協の産物に過ぎず、そこに物価高騰とコロナ禍にあえぐ国民生活を守り抜くという視点は存在しない」等と補正予算に賛成できない理由を述べました。
最後に道下議員は、立憲民主党が(1)物価高と戦う、(2)教育の無償化、(3)着実な安全保障――という生活安全保障3本柱を掲げ、物価高騰とコロナ禍から国民の暮らしを守り抜くため、必要かつ十分な規模と内容を伴った補正予算の編成を強く求めていくことを表明し締めくくりました。