長妻昭政務調査会長は1月31日、2023年度予算案に関する基本的質疑に立ち、(1)この10年の政府の少子化対策の失敗(2)賃金が上がらない理由と対策――等について取り上げました。
長妻政調会長は、岸田総理が育休中の人がリスキリング(学び直し)に取り組むことを後押しする発言をしたことに触れ、男性育休取得者を対象にしたものかと質問。日本は先進国の中で一番男性が家事・育児にかける時間が短く、男性の3人に1人が、育休を取得したにもかかわらず家事や育児の時間が2時間以下という「とるだけ育休」になっているとの調査結果もあるとして、「少子化の大きな原因の1つだと言われている。総理の発言が男性を想定したものであれば、その発想を変えていただきたい。女性がケアを担うものだという発想を捨てることから少子化対策は進むと思う。育休の趣旨を理解して取り組んでいただきたい」と述べました。
民主党政権で一人ひとりの育ちを社会全体で応援するとの理念で始めた「子ども手当」については、当時中学生までだったものを高校生までに延長、金額の増額する方針でいたが、自民党政権になってとん挫し、今日に至っていると振り返り、「この10年間、少子化対策を遅らせた自覚はあるか」と、岸田総理に反省と総括を求めました。岸田総理は、子育て予算の増加や、保育所待機児童数の減少などを成果として挙げる一方、「少子化の背景には、個々の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む要因がある。希望に沿える社会が実現していないことを振り返り、これからのことを考えていかなければならない」と答弁。長妻政調会長は、「数字が物語っている。この10年間で少子化対策が停滞した。小粒で的外れ。子育て予算が少なすぎる」と、児童手当を高校生までに延長することを提案しましたが、岸田総理は、児童手当の延長については「最後に見直しから10年。あらゆる選択肢について検討する。予断を持ってやるとこかやらないとか申し上げるのは控える」と明言を避けました。
長妻政調会長はまた、生涯未婚率の男性が約30%であること、30歳、40歳代で親との同居率が6割を超えていることに触れ、「親と住まざるを得ない状況もある。親と同居している者同士が結婚すると新しく家も借りなくてはならず、生活レベルが確実に下がる方が多い。これも政治が何とかしないといけない」と主張。不安定な雇用の見直しに加え、圧倒的に足りない住宅支援が必要だと訴えました。岸田総理は「若い方々の賃金を上げ、住宅の充実を図る取り組みは、希望する方が結婚し子どもを持つ希望をかなえられる上で重要な要素だと認識している。住宅政策、他国と比較して厳しい状況にある広い意味での子ども政策の1つとして住宅を考えることは重要な視点ではないかと思う。大事にしていきたい」と応じました。
長妻政調会長は、立憲民主党の子ども・子育て政策を紹介し、児童手当の所得制限の撤廃にあたっては累進課税の強化をセットでやらなければいけないと指摘。税の再分配機能が低い現状を改める必要性があると強調しました。
消えた年金記録問題をめぐっては、今日までで1582万人の記録、生涯年金で2.8兆円取り戻したとした上で、亡くなった方への対応が放置されていると問題視。亡くなった方も含めて持ち主が分からなくなっているもの(不明記録)を「ねんきんネット」で検索ができることについて十分なPR、サンプル調査の実施などを政府に要請しました。加藤厚生労働大臣は、「年金受給に結びつく可能性があると考えられる記録の中からサンプル調査を実施し、それを踏まえて今後の対応を検討したい」と答えました。
天下り問題については、38人の支部長のうち35人が事実上の天下りになっている「国民年金基金」を例に挙げ、公募を隠れ蓑にした天下りの総点検をするよう要請。加藤厚労大臣は公募要件の見直しを明言、岸田総理も「要件が適切ではないとの指摘、ありようについても絶えず見直していく姿勢は重要。今一度点検し確認していきたい」と答えました。
【衆院予算委】長妻昭議員パネル資料(2023年1月31日).pdf