立憲民主党は2月19日、2023年度党大会を開催。泉健太代表のあいさつ(要旨)は以下の通りです。

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 皆さま本日は党大会にお集まりいただきましてありがとうございます。全国の仲間の皆さま、そしてオンラインでご視聴していただいている多くの仲間の皆さま、そして全国民の皆さまにも心から感謝を申し上げます。

 今日は連合の芳野友子会長にお越しいただき、本当にありがとうございます。

■ウクライナへの支援の継続

 伴野豊実行委員長のもとで計画された素晴らしいオープニングがありました。ウクライナから日本に来られたミュージシャンの緒方ミラさんの大変素晴らしい歌でした。本当であればウクライナの国内でみんなが笑顔で多くの国民の皆さんが歌声を響かせていたのだろうと思います。ところが、今まさにウクライナで何が起きているかというと、恐ろしい殺戮砲撃の中で多くの国民が暮らしていらっしゃる。このことをわれわれは決して忘れてはなりません。本当に深刻な1年です。どれだけウクライナの皆さんが辛かったかを感じるとき、私たちは皆さまと共に募金活動も行ない、約2000万円の善意を皆さまの力で集め、国際機関にお届けをすることができました。しかし、これで終わりではないということが今日もお分かりいただけたかと思います。あらためて引き続きわれわれみんなの力でウクライナ支援を続け、そして政府にもそのウクライナに対する支援の呼びかけをしていこうではありませんか。

■トルコ・シリア地震被災者支援募金活動

 先ほどお話にありましたように、トルコ・シリア地震被災者支援募金活動も行っております。全国各地で募金活動を始めさせていただいており、既に総支部等ごとに募金活動を行い、1カ所で10万円以上の募金が集まったというご報告も伺っております。私自身も2月17日に東京・有楽町で募金活動をさせていただいたところ、数多くの善意が寄せられました。トルコは地震が起きる国ということで、わが国で東日本大震災があった時にも教えをいただいた経緯もありました。われわれはまた、政府との関係が難しいシリアについても支援を行いたいということで、党として集めた支援金は今回は日本の国際NGOであるジャパンプラットフォームにお届けし、現地で日本の顔の見える支援を展開をしていただきたいと思っております。

■東日本大震災の被災地への支援の継続

 大会議長をつとめる、東日本大震災の被災地が選挙区である鎌田さゆり衆院議員や横沢高徳参院議員からも話がありました。東日本大震災から12年目を迎えようとしています。インフラの復興は随分進んだとはいえ、まだ福島の皆さんは住めない地域を目の当たりにして暮らさなければなりません。そして処理水の問題もまだ解決をしていません。そして多くの賑わいが戻っていない、さまざまな問題を抱えております。復興には時間がかかるということで、われわれは共に引き続き支援をしてまいりましょう。

■北朝鮮のミサイル発射を受けて

 昨日18日の夕方、北朝鮮のミサイルが発射されました。射程1万4000キロと言われるということで、これは許される事態ではありません。あらためて、わが国は米国や韓国とも連携をし、そして国際社会と連携をして、この安保理決議に違反をする行為に対して厳重に抗議をしたいと思います。そして引き続き、北朝鮮がこのようなことを起こさぬよう、われわれも政府に対して国際社会との連携を、また新たな取り組みを呼びかけてまいりたいと思います。

■立憲ボトムアップビジョン2023

 われわれ立憲民主党はこうして本日、定期党大会を迎えました。今年は非常に大事な年です。来るべき統一地方自治体選挙、そして衆院補欠選挙で勝利をしようではありませんか。立憲民主党の議員には素晴らしい仲間たちがたくさんいます。現在1200名を超える自治体の仲間たちのうち1000名弱の仲間が統一地方自治体選挙にチャレンジをしようとしております。全国の仲間たちには子ども食堂を運営する自治体議員、あるいはカヌーに乗って川のごみ拾いをする自治体議員、そして地域の個人事業主の声を聞いてインボイスの反対運動に共に取り組む自治体議員など、さまざまな仲間たちがおります。省エネや再エネの普及に取り組んでいる自治体議員もおります。そうした素晴らしい仲間たちが今回まさにボトムアップの政党にふさわしい、立憲ボトムアップビジョン2023を作ってくれました。党本部が作ったものではなく、まさに全国の自治体議員ネットワーク(代表:遊佐美由紀宮城県議会議員)が作ったものです。(1)困った時はお互いさま・多様性を認め合う社会(2)格差をなくす・誰もが居場所と出番のある社会(3)物価対策・安心して暮らせる社会――これを「めざす社会の姿」として、仲間たちが頑張ります。立憲民主党の仲間たちはこうして地域に根ざして頑張っています。来るべき統一地方自治体選挙は決して簡単な選挙ではありません。自民党は旧統一教会との関係が国会議員だけではなく自治体議員にも全国各地を及んでいると言われます。これが明らかになりました。

 しかし、自民党の組織の強さというのは尋常ではありません。公明党は数多くの自治体議員を抱えております。また維新の会や国民民主党もそれぞれにこの統一地方自治体選挙の勝利を目指して活動を強化しています。われわれはそういった各政党に負けない活動をしようではありませんか。私たちは立憲民主党の政策を持って、どの党にも遠慮することなく自分たちの訴えを堂々と展開してまいりましょう。

■「失われた10年」

 「失われた10年」という話がありました。まさにこの失われた10年、日本は世界の中で徐々に取り残されつつある環境にあります。大変深刻な問題だと思います。まず一つは人口減少、そして地域の衰退ではないでしょうか。政権が安倍政権に戻ってからの10年間、そして菅政権・岸田政権と続き、日本の子どもたちの数は増えたでしょうか。毎年子どもたちの数が減っていく。これが事実ではないでしょうか。なぜこうした日本の現状が起きたかといえば、やはり根本的に自民党が子ども子育て支援・若者支援に消極的だったからです。例えば児童手当の所得制限を導入したのも自民党の政権でありました。まさに少子化対策予算・子育て予算に対して自民党は予算をつけることをしてこなかった。そしていま、防衛費をまさに倍増させようとしている状況にあります。日本の将来を見据えたとき、子育て予算・子ども子育て予算の倍増こそが最優先の事項ではないかと、皆さん一緒に訴えようではありませんか。

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■「消費からの経済再生」の実現

 生活費が失われたのもまさにこの「失われた10年」の一つではないかと思います。実質賃金は下がり続けてきました。民主党政権時には一度実質賃金が上がったタイミングがあったわけですが、それ以降残念ながら下がっています。アベノミクスは表では威勢は良かったけれども、悪い円安を招き、物価高が先に進んでしまった。国民の皆さまの実入りはなかなか増えることがなかったというのが現状でした。期待をされたトリクルダウンは起きなかった。これ以上この政策を繰り返すだけではこの国は良くならないとわれわれは考えております。

 立憲民主党は財務金融のチームを中心に階猛ネクスト財務金融大臣を先頭に、新しい金融政策を作っています。ぜひともこのわれわれの新しい金融政策を訴え、国民生活を優先させる。まさに芳野連合会長が言ってくださったように、賃上げの機運を高め、そして物価上昇に負けない年金を確立していく。そして「消費からの経済再生」を実現しようではありませんか。ぜひ「人への投資」と、この「人への投資」からの経済循環をわれわれは実現をしていきたいと思います。

■エネルギーの転換

 エネルギーの転換ということについても「失われた10年」だったのではないでしょうか。東日本大震災の過酷な福島第1原発の事故を受け、われわれはこの国にもっと安全な分散型のエネルギーを伸ばしていこうと決意をしました。その決意に基づき、立憲民主党は再生可能エネルギー・省エネの推進を続けてまいりました。しかし残念ながら自民党政権に変わったとき、再生可能エネルギーは足踏みをしてしまったのではないかと考えます。風力発電の普及について業界・業者が撤退をしてしまったのも安倍政権の時に起きた現象でした。あらためて私たちは再生可能エネルギーをもっと促進していく。そして省エネを進めていくことで、安定的な新しいエネルギーを増やしていきたいと思います。当然ながらこれまで原子力発電に取り組んでこられた多くの方々については雇用の移行や廃炉に対する支援といったものにもわれわれは目を配り、エネルギーの転換を進めていこうではありませんか。

■外交により平和な周辺環境を作る

 平和についても「失われた10年」と言うべきことだと思います。安倍政権は安保法制を変え、そして岸田政権は今回まさに相手国の領土内への反撃能力を発揮できる、敵基地攻撃能力というものに駒を進めようとしています。しかし、この10年間、日本は周辺国との関係において緊張を緩和することができたでしょうか。有効な東アジアの環境を作ることができたでしょうか。日本の周辺国とはむしろどんどんどんどん緊張が高まっているのではないでしょうか。こんな外交でいい訳がありません。われわれは改めて日本の安全を守りながらも、しかしわが国の周辺国との対話を続け、そして国民の皆さまを絶対に戦火に巻き込まない安心できる平和な周辺環境を作ること、これこそがわが国に必要な外交ではないでしょうか。ぜひとも自民党政権で失われたこの10年の外交平和というものも、われわれが取り戻さなければならないと思います。

■古い政治からの決別

 いまだに古い政治が続いています。今もなお自民党内では政治資金をめぐる不祥事が起こり、そして官邸中枢で未だに多様性を否定するような発言が出ました。世界でもそして日本でも、多くの方がこんな偏狭な考え方をやめるべきだと訴えております。多様性を尊重するのは当たり前、尊重するだけではだめなのです。差別をなくし、そして誰もが生きやすい社会のために、同性婚や選択的夫婦別性の法整備を進めようではありませんか。このように今の政治は変えねばならないことばかりです。

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■力を合わせて「政権交代」へ向け一段の結集を

 今、日本の政治まだまだ乗り越えなければいけないハードルがたくさんあります。是非ともみんなで力を合わせて政権交代に向けて多くの仲間を党に結集して、全力で取り組んでいこうじゃありませんか。立憲民主党は素晴らしい政党だと私は思っています。枝野代表からこの党を引き継ぎ、熱情を持って誕生した立憲民主党に、そして新たな合流でこの未来を太くした立憲民主党はもっともっと可能性がありますし、その可能性を引き出していきたいと思っております。

 是非皆さんの一段の結束を、一体感をお願いをしたいと思います。私たちは立憲民主党大きくさらに成長させるため、さまざまな取り組みをしています。党の取り組みに力を貸していただきたいのです。「次の内閣」においては政策づくりに取り組んでおります。是非この政策づくりにも、皆さんもっともっと党員・協力党員、パートナーズの皆さんも巻き込もうではありませんか。自治体議員の皆さんにも開かれた政策形成に取り組んでいこうではありませんか。そして、国会対策委員会では政調が作った法案を提出します。さまざまなヒアリングを行っています。こうしたところにもぜひ皆さまご参加をしていただきたいと思います。

 そして立憲民主党は政策をつくり法案を提出するところまでは全力を尽くすのですが、その後の宣伝が足りていないのではないかとも思っています。広報本部そしてつながる本部の取り組みにどうか皆さんもっともっと参画してください。私たちが作った政策をもっと全国に発信をしていかねばならないと思っております。本日の配布資料にも「ビジョン22」が入っています。インターネットで中継を見て頂いている皆さんも党ウェブサイトに掲載しておりますので、党綱領・基本政策と合わせてご覧ください。綱領と基本政策をつなぐ中長期的な考え方としてこのビジョン22があります。自己責任論や、同調圧力や既得権に囲まれ、自国第一主義の今の世の中に対して、立憲民主党が目指す社会では、「社会で支えていく」「お互いに支えあう社会を目指す」「多様性を認め合う」「共生社会を作るために大胆な変革を行なう」というもの。そして環境問題、安全保障など、地球規模の課題に対して諸外国と協力・連携して取り組んでいこうといったビジョンを持っております。是非皆さんと一緒に学び、積極的に訴えていきましょう。

 立憲民主党にはこれまでさまざまなスローガンがありました。「ボトムアップ」「まっとうな政治」「変えよう」「生活安全保障」など、いろいろなものがありました。皆さん、いろんなご意見があろうと思います。すべての皆さまが納得するはずはないと思います。しかし大事なのはみんなで知恵を出し、みんなでそれを決めた以上はみんなで積極的に発信をしてワンボイスで訴えていく。どんなスローガンを作ってもそれがなければ国民には世の中には伝わらないのではないでしょうか。これからわれわれはまた、「もっと良い未来」を掲げ、選挙の時にもまた国民に訴えるスローガンを掲げると思います。是非皆さんの知恵を、みんなの力を集めて、立憲民主党が一つの声で訴えていくそういう政党でありたいと思います。全員参画で一緒にやっていきましょう。

■統一地方自治体議員選挙・衆院補選で勝利し「国民の豊かさと幸せが失われた10年」を取り戻すため政権交代へ

 来るべき自治体選挙そして衆院補欠選挙が極めて大事です。衆院千葉5区の補欠選挙においては野党は候補者を統一しないのか、できないのかといったご意見があるかもしれません。そうした環境を、われわれとしても最大限努力を致します。しかしながら今、立憲民主党は堂々たる候補者、矢崎堅太郎さんを擁立をしております。その勝利に向かって全力を尽くしていこうじゃありませんか。ぜひ皆さん、全国の力を集めて矢崎さんの勝利を実現をしたいと思います。この補欠選挙は自民党の現職議員が政治資金パーティーで得た収益を政治資金収支報告書に記載せずに懐に入れていたために辞職に追い込まれた、不祥事選挙じゃありませんか。その補欠選挙で再び自民党の議席を許すなんていうことがあってはならないと思います。ぜひ衆院千葉5区の有権者の皆さん、そして政治にクリーンさと正義を求める全国の皆さまの声を集めてわれわれ立憲民主党が勝利をしたいと思います。そして和歌山や山口での補欠選挙においても擁立を目指して全力を尽くしております。どうか皆さまの力を改めていただきたいと思います。

 立憲民主党は現在は衆議院と参議院を合わせて150名に届かない勢力であります。しかし私は改めて皆さんと心を一つにしたい。皆さん、政権交代を目指していきましょう。「失われた10年」は「国民の豊かさと国民の幸せが失われた10年」です。平和が失われ、未来が失われた10年です。われわれこそがそれを取り戻さなければならない。一致団結をして勝利に向かって頑張ってまいりましょう。

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