岡田克也幹事長記者会見

2023年3月14日(火)15時42分~16時08分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/xqtutLUXnfo


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○第70回常任幹事会を開催

【幹事長】
 それでは、まず、常任幹事会の結果についてご報告したいと思います。
 一つは、福島県の1区と3区の総支部長が決定いたしました。1区は金子恵美さん、3区は小熊慎司さんということであります。これが一つ。
 それから、もう一つは、山口4区(補選)について、有田さんが公認決定されました。山口4区というのは、まさしく安倍元総理の選挙区、その後継者の方が出ておられます。さまざまな今までの安倍政治についての検証や総括をするに最もふさわしい人を出すことができたと思っております。旧統一教会の問題、あるいは、有田さんは非常に拉致問題にも高い関心をお持ちで今まで活動してこられましたが、拉致問題がなぜ進まなかったのかということについてもしっかり争点として取り上げたいということも言っておられます。そのほか、アベノミクスも含めて、安倍政治の検証を行う。それが大きな争点になる選挙区であるというふうに考えております。
 そのほかの補選の選挙区で、まだ決まっておりませんのが、大分の参議院選挙区、山口2区、それから和歌山1区であります。ここにつきまして、次の常幹というのは2週間後になりますので、必要に応じて持ち回りで決定をさせていただくことがあるということも了解を取ったところであります。
 常幹のご報告は以上であります。

○放送法の解釈をめぐる総務省の行政文書について

【幹事長】
 私から何点か申し上げたいと思います。
 まずは放送法の問題ですが、きょうも昨日も我が党がいろいろと議論しております。衆議院の本会議でも高市大臣に答弁を求めました。高市大臣のその発言が、いかにも、何といいますか、「捏造だ」と言われたわけですが、最近は捏造という言葉を避けられて「不正確な部分がある」と。「不正確な部分がある」というのと「捏造」というのは全く意味が違うことなので、捏造と言われたことについてはきちっと説明する責任が高市大臣にはあると思います。
 それから、岸田総理の答弁を見ておりますと、岸田さんは、解釈は変わっていないということを言われているわけであります。果たして解釈が変わっていないのか。変わっていないと思う方は皆さんの中にもほとんどいらっしゃらないのではないかというふうに思うわけですね。いや、変わっていなくて、補充しただけだということですが、今まで「全体で判断する」と言っていたものを「番組によっては一つだけでも判断する」というふうに言われているわけで、それが補充なのかということであります。少なくとも、補充だとしても変わっていることは間違いないわけで、今までの述べてきたものの解釈を述べるというならわかりますが、補充しているところはプラスアルファが加わっているわけですから、もうそれだけでも言葉の上でも変わっているし、中身を見れば「全体で判断する」から「一つだけでも判断することがある」というのは180度変わっていると言っていいわけであります。そういったことについて総理はきちんと説明する責任があるということは改めて申し上げておきたいと思います。
 同時に、これは国会の中だけではなく、表現の自由、報道の自由に関わる非常に重要な問題で、有識者の皆さんや、報道に携わる方々、あるいは報道に携わる会社の責任者・経営者、もっともっとしっかりと、この一連のことについてどう考えているのかということを明確に述べていただいたほうがいいのではないかと。まさしく自分たちの、その権限といいますか、権利が損なわれるかどうかという、そういう問題だと思っております。

○尹韓国大統領の訪日について

【幹事長】
 韓国の大統領が16日から17日にかけてお見えになります。
 さきの「徴用工」(元朝鮮半島出身労働者)をめぐる韓国政府あるいは大統領の政治的決断については、私は高く評価をするものであります。そして、もちろんこれは政治的に大きなリスクを取ったわけでありますが、韓国の国内においては必ずしもそれがすんなり受け入れられているわけではないと。やはり、日本にお見えになったときに当然首脳会談が行われるわけですが、そこで日本としてどう応えるのかということは当然求められると思います。
 私は、この「徴用工」の問題は法的には決着済みと、これは日韓基本条約(日韓請求権協定)によってそこで決着がついているというふうに考えております。そこは政府と全く同じであります。ただ、法的に決着しているからといって、感情、気持ちの問題は決着しているわけではありません。法的に決着したからもうそれで全てということではなく、やはり植民地支配の中で起きた、不幸な、残念な出来事であり、そのことについて日本政府としてどう考えているのか、気持ちが伝わるような、そういう言葉が総理から発せられることを私としては期待したいと思います。

○春闘 政労使会議の開催について

【幹事長】
 春闘ですが、あす8年ぶりに政労使協議が行われるということであります。大いに期待したいと思います。
 大手については、満額回答とか、あるいは早期妥結ということで、一つの流れができていることは非常に評価できると思います。ただ、よく言われるように、働く人の全体の7割を占める中小企業、そして4割を占める非正規(雇用)で働いている人々の賃金の問題というのは当然あります。ぜひ政労使協議の中で、今の大企業のこのムーブメントといいますか、ムードといいますか、これを中小企業や非正規にも引き継いでいってもらうような、そういう発信を期待したいと思います。
 大企業の側も、自ら働く人の賃金を上げるだけではなく、そこに関連する企業で働く人々の、つまり中小企業・関連企業の皆さんの賃金も上げることができるように、きちんと価格転嫁を認める、取引価格を引き上げるということをしっかりやるということも、この政労使会議で確認をしていただきたいと思います。


■質疑

○ハラスメント対策について

【神奈川新聞・三木記者】
 神奈川県連の昨日の常幹で、党内でさまざまなハラスメントを行った浦道県議に対する非常に重い対応というものが話し合われた。そうした処分だが、その対応について、幹事長の所感がもしあれば教えていただきたい。また、党内のハラスメント撲滅に向けた決意というものを幹事長の立場から改めて教えていただきたい。

【幹事長】
 まず、神奈川県連の中で具体的に何が決まったのかというのは私は承知しておりません。いずれにしても、県連として、一連のハラスメントについて、そういったことが繰り返されないように、いろいろな決定を行っていただいていることだと理解しております。
 党としてもハラスメントの問題は非常に重要だと考えております。現在、ハラスメント(対策)委員会のメンバー、国会議員ですが、それと弁護士で、現在の規約・仕組みでいいかどうかということについて議論を進めていただいているところです。私としては3月いっぱいぐらいで一定の結論が出ないかということでその議論を始めさせていただきましたので、しかるべき時期に一定の結論が私の元に出てくるのだろうと思っています。それを踏まえて具体的なことを考えていきたいと思っています。

○放送法の解釈をめぐる総務省の行政文書について

【NHK・岩田記者】
 放送法の関連で伺いたい。先ほどの衆議院本会議で、高市大臣が、総務大臣のときのことについて、当時のやりとりとして、礒崎元総理補佐官の影響を受けたものを答弁として行ったかどうかについて、その委員会前夜の大臣と大臣室の答弁案に関するやりとりのメールを示すことも検討するといったような趣旨の発言をされていたが、今後の野党としての、放送法の解釈を変えたのかどうかも含めて、どのように追及を強めていきたいというふうにお考えか。

【幹事長】
 具体的なことはまた委員会の中で、理事会とかですね、そういったところでしっかりと議論してもらいたいと。どこまで、どういうものが出てくるのか、あの答弁を聞いただけではわかりませんので、詰めてもらいたいと思っております。
 それから、2番目は何と言いましたか。

【NHK・岩田記者】
 それを踏まえて、今後、高市大臣への追及とともに、政府がこれまでの統一見解を撤回すべきだという意見も出ているが、その点についてはいかがか。

【幹事長】
 まず、補充的に説明ということで、見解が変わったと思いますか、変わっていないと思いますか、と聞くと酷ですかね。
 私は、変わっていないという、そういう意見はほとんどないのだと思います。補充的であってもその部分は変わっているし、「全体で判断する」と言っていたものが「場合によっては一つの番組でも判断する」というふうに、それは変わっているわけです、どう考えても。そこのところを総理は変わっていないとおっしゃっていますが、変わっている。変わっていないと言うならば、全体でというのが、個別でもということで、それで変わっていないというのは日本語として全くおかしな使い方をしておられますので、そういったことをしっかり総理に答弁してもらいたい。それがスタートだと思っています。

○ガーシー議員懲罰案について

【NHK・岩田記者】
 もう一点、別件で伺いたい。国会への欠席を続けていた参議院のガーシー議員について、きょう懲罰委員会で除名処分とすることを決定し、あした本会議で正式に決定する見通しだ。これについての受け止めと、これまで国会議員が除名になったのは衆参合わせて1例ずつのみで、四つの懲罰のうち最も重い処分となるということで慎重な議論がされてきたが、これに対してどのようにお考えか。

【幹事長】
 採決はこれからですので、あまり私が私の立場で言わないほうがいいと思いますが、我が党としては、やはり除名処分が相当であると。これは参議院を中心に議論していただいた結果、そういう結論に達したということであります。
 非常に悪質ですね。出ると言ってみて出なかったり。そういった悪質の程度から見て、除名はやむを得ないと私は思っております。

○国政補欠選挙について(1)

【西日本新聞・井崎記者】
 補選の話だが、衆参5補選あるが、特に大分のことについて伺いたい。大分の場合、野党共闘で獲得した議席がなくなって今度補選になるということだと思うが、改めて、そういった経緯から、立憲民主党にとっては大分の補選をどう見ているか教えていただきたい。

【幹事長】
 大分の補選は非常に重要だと考えております。

【西日本新聞・井崎記者】
 一方で、候補者がまだ決まっていない。そういう重要な選挙区でありながら。今いろいろ選定はされていると思うが、大体タイムリミットというのはいつぐらいを見ていらっしゃるか。

【幹事長】
 タイムリミットは、なるべく早くということです。ただ、勝てる候補ということは大前提です。

【日本経済新聞・小林記者】
 今の話に関連して。衆院の補選に関しては、もう1か月を切っているが、全体としてどういうふうな、勝敗ラインではないが、どういうふうな期待というか、意気込みを、改めてお考えをお願いしたい。

【幹事長】
 一つでも多く取りたいと思います。

【産経新聞・大橋記者】
 今のに関連して。同じお答えになるかもしれないが、何勝何敗なら合格ラインか。

【幹事長】
 合格というのは、何に対する合格ですか。

【産経新聞・大橋記者】
 5補選あると思うが、何個取れたら合格ラインか。

【幹事長】
 誰が合格をつけるのか、よく趣旨がわかりませんので。一つでも取りたい、多く取りたいということです。

○「東日本大震災から12年」「次の内閣」等について

【フリーランス・小山記者】
 一つ目は、3.11を迎えてから幹事長の言葉を聞いていなかったので、幹事長のほうから3.11に寄せて一番思うことをお願いしたい。

【幹事長】
 (震災後)10年のときに、私、だいぶ党の中でお話をしておりまして、それはホームページを見ていただければわかると思いますが、当時、3.11が起こったときは私は党の幹事長でした。幹事長として、与野党の調整とか、それから国会における補正予算、法案、そういうものに懸命に取り組んでいたことを思い出します。幹事長を辞めた後、被災地に行きますと、それでも幹事長と呼ばれることが多かったのですね。ですから、幹事長のときに何度も被災地に入ったことを覚えていただいている方が結構多かったのかなというふうに思っています。
 この前も岩手県の田老に達増知事と一緒にお訪ねいたしました。立派な堤防ができていて、賛否両論いろいろあるかもしれませんが、最初に直後に行ったときは本当に家も全部津波でなぎ倒されているというような状況でしたので、それが高台に移転して、新しい生活が始まっていること。そして、堤防ができていること。非常に、改めて、よかったなというふうに感じました。
 他方で、福島はまだまだやるべきことがたくさん残されております。それに真剣に取り組んでいかなければいけないし、福島のあの惨禍を繰り返さないという意味でも、新しい原発は造らない。そこをしっかり、私自身、肝に銘じたところであります。

【フリーランス・小山記者】
 もう一点だが、幹事長は党大会で、ネクストキャビネットでもっと分厚い骨太な議論が行われるといいと思っているというふうにおっしゃった。直近3月のネクストキャビネットの法案審査の部分を資料で見せていただいているが、今、特に少し盛り上がりを見せているような議題などはあるか。

【幹事長】
 私から申し上げたのは、法案の賛否だけではなく、党としての基本政策についてしっかりと議論してくださいということをお願いしたところであります。今、法案がどんと出てきていますので、その対応にどうしても追われてしまうのですが、もう少し時間を取って、基本的な政策について議論していただけるとありがたいなと思っております。

【フリーランス・小山記者】
 基本政策ということは、一人ひとりの専門分野ではなくてというところでよろしいか。

【幹事長】
 党としての基本政策。何本かの柱ですね。

【フリーランス・小山記者】
 最後に一点。インボイス、マイナンバーに伴う保険証の廃止や、電気代の押し寄せる波による採算が取れないという企業や個人の家計、年金問題、そして原発のこと、いろいろ生活に関することというのが、やはりガーシーさんの議論とか、今、白熱している放送法の議論でちょっと隠れがちだが、こういったところについて現在立憲民主党は国民とどのように連絡や意見収集を逐一行っていらっしゃるか。

【幹事長】
 国民と連絡するというのは。

【フリーランス・小山記者】
 国会中も、何というのか、国民の反応を見ながらそういった部分というのはされているか。

【幹事長】
 予算委員会は幅広くテーマを捉えて、昨日も小学校1年生の壁の問題を我が党の委員は取り上げましたし、さまざまな議論を展開できていると思います。バランスを取って、防衛3文書の問題、43兆円の問題もありますし、エネルギーの問題もありますし、子ども対策もあります。ですから、この放送法の話も重要ですし、今、大事な局面だと思いますが、それだけではなくて、バランスを取ってしっかり議論していくということが大事だと思っております。そのことは昨日の役員会でも申し上げたところです。

○国政補欠選挙について(2)

【「FACTA」・宮嶋記者】
 安倍総理の地元というのは、やはりまだ、ああいう亡くなり方をしたから非常に安倍ロスというか、さまざまな人がいると思うが、そこにあえて統一教会の第一人者である有田さんが出られるのは、私はその勇気はそれは大変なことだと思うが、やはりそこで起きる容易ならざる摩擦とか反発とか、メディアは面白がって取り上げるかもしれないが、安倍さんがああいうことがあったように、やはり非常に気をつけてやらないと。一歩間違うと、そういうのって私はどうなのかなと思うが、そういうリスクというのは。そんなことあってはいけないのだが、そういうことは全く懸念はされないかということを伺いたい。

【幹事長】
 十分に配慮しながら、考えながら、活動していくということだと思います。

○「元徴用工」問題について

【西日本新聞・井崎記者】
 「徴用工」の問題で、先ほど幹事長は、気持ちの問題は解決していない、歴史を踏まえた岸田総理の発言が求められるという話をされたと思う。「徴用工」の原告の人たちは、やはり企業に謝罪と賠償をしてくれというふうに話をしているが、結局今のところそこがないわけだが、日本企業が謝罪なり賠償なりする、賠償はあれなのだろうけれども謝罪をするということは必要だと考えるか。

【幹事長】
 その話は、この前、韓国のメディアからも聞かれて、私は、必要はないと。それはむしろ、韓国政府と、その被害者の皆さんの間の問題で、日韓基本条約において日本国政府と韓国政府の間で決着済みというふうに考えております。
 ただ、そういう法的な問題が決着したからといって、これは一般論になりますが、被害を与えた側と、それから被害を受けた側で、被害を与えた側はもう過去のことだと思うかもしれないけれども、被害を受けた側は簡単には忘れられない。そういう関係にあることはしっかりと踏まえて、我々が植民地支配ということを行ったことは厳然たる事実なので、別に「徴用工」の問題に限らずですね、これは一般論として申し上げると、そういった、相手を思いやる、そういう気持ちというのは忘れてはならないと思っています。
 これは菅(直人)総理の時代に、日韓併合条約100年ということで菅談話というものが出ております。私が外務大臣として作成したものですが、そこでもそういったことは強調しておきました。その談話も含めて、今までの諸談話を継承するということですから、当然岸田総理も同じ考えをお持ちのはずだと思っています。