野田佳彦代表は1月24日、国会内で会見を開き(1)通常国会への意気込み(2)政治改革――等について発言しました。
(1)野田代表は「昨年の臨時国会では一定の成果をあげることができた。そうした教訓と経験をいかして150日間の通常国会に活かしていきたい」と述べました。
政府の予算案については、「総額115.5兆円にものぼる巨額予算。党内に『本気の歳出改革チーム』を発足し、一貫した省庁別審査を行い、従来の分科会による地元利益誘導型ではなく、徹底した審議を細かくやっていく」と述べ、「生み出される財源を、我々が主張している学校給食費、介護、保育士などの処遇改善に活かしていけるように、財源に責任をもった対応をし、存在感を示せる国会にしたい」と意気込みを語りました。
(2)企業・団体献金禁止について野田代表は「年度末に結論を得ることになっている。これは大きな焦点になっていく。具体的な制度設計に関わるような実態の解明をやっていきたい」と述べ、「野党全体が要求している旧安倍派の会計責任者の参考人招致は実態解明に欠かせない」と改めて参考人招致を求めていくことを強調しました。
自民党と議会の裏金問題についても言及し「国政でも都政でも大きなテーマになっていくのではないか」と述べました。
野田佳彦代表記者会見
2025年1月24日(金)10時29分~10時52分
発行/立憲民主党役員室
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtube.com/live/7kUA23TrAks
■冒頭発言
■質疑
- 企業・団体献金の禁止に向けて
- 裏金問題 自民党地方組織の全国的な調査について
- 参院通常選挙に向けた取組について
- SNS発信の強化について
- 通常国会開会 国会審議に向けて
- 企業・団体献金の禁止に向けて
- 国民生活 物価高対策について
- 選択的夫婦別氏制度の実現に向けて
- 宮口参議院議員の離党表明について
■冒頭発言
○通常国会の開会に当たって
【代表】
おはようございます。
きょうから通常国会が開会となります。
まずは、昨年の臨時国会で、28年ぶりの政府提出予算案の修正をし、加えて、政策活動費を全廃するという一定の成果を上げることができましたが、そうした教訓と経験を生かして150日間のこの通常国会に臨んでいきたいと思います。
一番大きな焦点は、前半は予算案の審議でございます。115.5兆円という巨額予算を、きのう「本気の歳出改革」チームを発足させましたが、しっかりとこれをチェックして、加えて、それを今の国会改革の一環として、省庁別審査を行い、従来の分科会型の地元誘導的な動きではなく、徹底した総予算の審議を細かくやっていくという方針の下で政調と国対と連携をしておりますので、その結果で編み出される財源というものを我々が主張している学校給食費の無償化であるとか介護や保育の処遇改善等々の政策に生かしていけるように、財源に責任を持った対応ができるように、そういう国会として、そして、存在感を示せる国会にしていきたいと思います。
政治改革も、年度末までに企業・団体献金の禁止について結論を得ることになっていますので、これも前半の大きな焦点になってくると思いますが、こうした具体的な制度設計に関わる問題と実態の解明と両方合わせてやっていかなければいけません。
予算の審議に入る前に、野党全体が要求をしている旧安倍派の会計責任者の方の参考人招致、これは実態解明に欠かせないと思いますので、その実現に全力を挙げていきたいと思いますし、この裏金の問題は都議会自民党でも明らかになりました。(不記載のあった都議らが)どうやら26人いたということでありますが、幹事長経験者6人は公認しないがその他は公認するような動きなので、これは極めて不可解だと思っていますので、これは都政と連携をしながら、都議会の立憲民主党のメンバーと連携しながら、その究明をしていかなければいけないと思います。
その究明に当たっては、自民党の調査が明らかになりましたが、極めてこれはお手盛りとしか言いようがないと思っておりますので、全ての政党支部を含んだ再調査を求めていかなければいけないと思います。国政においても都政においても、これは大きなテーマに引き続きなってくるのではないかと思います。
○SNS発信の強化について
【代表】
それから、都議会議員選挙は6月22日、そして、7月に参議院選挙でございますが、我々の場合、どちらかというとSNSの発信が弱かったので、幹事長の下で特別チームを立ち上げました。委員会での充実した審議などをしっかり踏まえた発信をしていきたいと考えております。
■質疑
○企業・団体献金の禁止に向けて
【読売新聞】
冒頭でご発言のあった企業・団体献金のことについて伺いたい。自民党は透明化を柱とした法案を提出する予定だが、立憲民主党は昨年末の臨時国会に禁止法案を野党共同で提出されている。今後の議論の焦点は透明化か禁止かという対立になると思うが、野党間では一部意見の食い違いがあると思う。ここについてはどのように調整され、野党でどのように連携してこの議論を前に進めていくか。
【代表】
まず、横の連携を強めているということで、維新もまた企業・団体献金禁止についての独自の案を今つくられたそうですので、よくお話は聞いてみたいと思いますし、できるだけ多くの党が賛同する形の企業・団体献金の禁止、これを野党で共有しながら、それで自民党にのませるような戦い方に持っていきたいと思います。
出てきたものは、当然自民党の案も吟味しながらの協議になりますが、おっしゃるとおり透明化と禁止では隔たりが大きいと思うんですよね。透明化自体は個人献金も含めて大事なことだと思いますが、本来は平成の政治改革は政党交付金の導入とともに企業・団体献金の禁止についての方向づけを書いていたと思いますので、その宿題をやり遂げるという意味においては自民党にはもっと真剣に禁止に向けた検討をしてもらわなければいけないと思いますが、いずれにしても政治改革特別委員会等でしっかり協議をしていきたいと思います。
○裏金問題 自民党地方組織の全国的な調査について
【読売新聞】
別件で、冒頭にご発言があった都議会自民党の政治と金の問題について伺いたい。この問題を受け、自民党本部は地方組織の調査をし、きのう公表があったかと思う。代表はけさの新宿区での演説で、ずさんで調査に値しないと。今も批判されていたが、どのような点に問題があると考えているか。
【代表】
まず、対象が都議会自民党と同じように議会の中の会派でつくっている支持団体中心で、一応都道府県連も対象ということではありましたが、中身が、政治資金パーティーをやったかどうかとか、会計処理がどうだったのかみたいな、一方的に聞くだけで上げてもらうというやり方だったので、それでは問題把握なんかできるわけないと思いますのでね。まさにお手盛りでやって、「やったぞ」ということで早めにもう処理した感をつくろうとした感がありますよね。
そうではなく、やはり政党支部もあるので、全ての、そういうものを網羅した全国的なチェックをしなければ、真剣なチェックがなければいけないと思いますし、むしろ党本部主導できちっと調査をもっとする、あるいは第三者を入れた調査などをやるべきではないかと思いますので、現段階のきのうの報告では余りにもお手盛り過ぎて調査に値しないと思っています。
【読売新聞】
立憲民主党としても先週の段階で独自に調査をしたいというお話をされていたが、これは現時点でどのような進捗になっているか。
【代表】
幹事長の下で集約をしていくことになりますが、1月31日までにということなので、今まだ途中だと思います。
【NHK】
今あった都議会自民党の政治と金の問題に関連して、再調査を求めるということだが、国会審議の場、あるいは代表質問などで直接再調査を求めるお考えはあるか。
【代表】
私の質問の中の項目に、企業・団体献金の禁止とか、一連の政治改革絡みのこと、例えば参議院(選挙)の投票日が連休の真ん中でいいのかみたいな、いろいろな政治改革のパッケージの中でこの問題は取り上げようと思っておりますので、ずさんな調査では駄目だという観点からの再調査を総裁に求めるというやり取りはしていきたいなと。まだ固まっていませんが、念頭にはあります。
○参院通常選挙に向けた取組について
【NHK】
別件になるが、維新の会が参院選挙での1人区での候補者調整に向けた予備選の案を出した。まだ説明にはなっていないかと思うが、これについて、もし受け止めがあればお願いしたい。
【代表】
正式案を11時から我が党の幹事長と大串選対委員長・(代表)代行が2人で説明を受けることになっていますので、正式な説明を聞いて、当然いろいろ質問・疑問をさせていただいて持ち帰ってくると思いますので、そのお話を聞いてからと思いますが、あえて(申し上げると)、ちらっと見た資料では、一番最初のところで、何か政党の比例のやつとか支持率とかでどれだけ1人区でノミネートできるかを決めるような構図なのですが、それはどういう意味があるのかと思って、私はもう素朴に、お互いに持ち駒があったら、その人、どちらが強いのかを早く調べるというのが迅速だと思うし、あのペースだと5月くらいに最終決定するような動きなので、それでは全県の選挙を、少なくともやはり半年くらいをかけていかないと浸透しないと思いますので、遅いなという感じもあるので、そういうことをきょうたぶん幹事長も大串さんも質問したりするやり取りがあると思うので、よく説明を聞いてみたいと思います。
○SNS発信の強化について
【東京新聞】
冒頭、SNSでの発信に力を入れたいとおっしゃったが、代表ご自身どのように取り組んでいかれるおつもりなのかお聞きしたい。
【代表】
私自身は、もう党の広報にお任せをして、自分自身のできる限りのメッセージはSNSの俎上にのるようなやり方にするくらいで、私個人はどちらかというと党のご指示に従って従順に動いていきたいと思います。
【東京新聞】
あわせて、関連で、先日の日本記者クラブでの記者会見でも、SNSでの虚偽情報とか、そういうようなものに対して議論が必要だということをおっしゃっていた。これを党内でどのように議論を進めていくのか、お考えをお聞きしたい。
【代表】
この通常国会の間、当然のことながら政治と金の問題に決着をつけていくという政治資金規正法の関連の議論もあると思いますが、公職選挙法の関連でも、特に前半が政治資金の関係だとすると、後半はやはり公選法の話もやっていかなければいけないと思いますし、6月都議選、7月参議院選挙がある前に、何らかの方向性が出せるかどうか。
誤情報とか偽情報が民意をつくるというのは望ましくないと思うんですね。SNSをもって政治に関心を持ってもらうこと自体、また、そこから流れる情報で投票行動の判断材料とすること自体は、これはもうまさに時代の流れで必要なことだと思いますが、今、ファクトではないことで民意がつくられるおそれがあるので、表現の自由との関わりの中で慎重な検討が必要だと思いますが、議論は大いにしていかなければいけないときではないかと思います。
【時事通信】
前の質問の関連だが、SNSのチームを立ち上げたとおっしゃったやに聞こえたが、その詳細があれば教えていただきたい。
【代表】
詳細ですか。
【時事通信】
幹事長の下のSNSのチームで、どれくらいの規模で、SNSのどういう方向性を考えていかれるのかというのがあれば教えていただきたい。
【代表】
我々は、例えば若者に対する政策でもコンテンツはいろいろ持っていましたが、ほかの政党に比べまして発信力が弱いところがありましたので、そこを、やはり広報も大事ですが、その中でもSNSを使ったところを力を入れていこうということで、例えば党の職員でもそのための選抜をさせていただいたりしていますし、そういう分野に強い議員を中心に連携をしながら、今やり始めたというところです。
【時事通信】
もう立ち上げられたわけか、そのチームを。
【代表】
はい。
○通常国会開会 国会審議に向けて
【朝日新聞】
国会の全体の戦略で伺いたいが、最近、ワンポイント・イシューで掲げている国民民主や維新の会の存在感が目立っている中で、立憲民主党としてこの国会でどういうふうに存在感を発揮するか。その戦略があればお願いしたい。
【代表】
一つは、先ほど言った予算審議のところが一番重要なポイントではないですか。そこはやはり原点に立ち返って、納税者の代表として115兆5000億円という巨額予算をチェックする。チームでそれをやっていく。それを国会質問で生かしていくという、ある意味、国会の原点に立ち返ったことをやるというところからスタートだと思っています。そこで編み出した財源を自分たちが要求している政策の実現に生かしていくという、財源に責任を持っていく政党。
あるいは、外交についてもきちっと対応できる政党。特に今回は、法案自体はいつもより10本くらい少ないかもしれません。「熟議と公開」を政府のほうも意識して本数を少なくしているかもしれませんが、その分、逆に、トランプ第2次政権が発足したがゆえに、海外発のテーマというか、アメリカ発が多いと思いますが、そういう議論をしなければいけないと思います。
外交課題についても財政に関わる課題についても責任ある態度を示せる、そういう野党としての存在感を示していきたいと思います。
【朝日新聞】
今のお話を伺うと、やはり安定感や政策の幅の広さという信頼感というところで引き寄せたいというか訴えたいというか、そういうところか。
【代表】
それが基本だと。その上で、ワンポイントでも、もうちょっと表現などメッセージの出し方なども含めて対応できるようにはしていきたいと思います。
○企業・団体献金の禁止に向けて
【朝日新聞】
あと一点、政治改革の関連で伺いたい。自民党が提出予定の法案の中に、公開強化法案に加え、意思尊重法案というものもあり、団体の構成員に対して献金やパーティー券購入の意思を確認するように求めるもので、特に立憲や国民の支持団体である労働組合を意識したものではないかと言われている。この法案について何かお考えがあればお願いしたい。
【代表】
その趣旨で政治資金規正法改正案を我々出しているので、法文に書いてあることです、既に。労働組合についての議論もそういうことを踏まえて書いてあるので、何であえてそこに何か上塗りするようなことをやっているのか、よく意味がわかりませんね。
自民党案の法文を見ていないのでわかりませんが、報道を見る限りにおいては、せっかくこれまで一生懸命やった特別委員会をちゃんと聞いていなかったのかと思います。
○国民生活 物価高対策について
【TBS】
夏の参院選と、その前の都議選に向けて、国民の今の政治に求めることがどういったところにあると今お感じか。例えば物価高で皆さんが今大変で、教育の無償化とかいろいろと話はあるが、今それぞれの野党各党、主要な党がワンポイントでこの党はこういうことをやりますということをおっしゃっている。立憲民主党も教育の無償化とか選択的夫婦別姓とか先導されているところがあると思うが、他党にない立憲民主党のよさ、参院選や国政選挙で支持を得るためには何が今必要とお感じか。その部分の温度感を教えていただきたい。
【代表】
先ほど言った外交であるとか財政とかという骨太の政策についてもきちっとしているという上で、緊急課題はやはり物価高対策だと思っています。特に1月16日から石油の元売りに対する補助金が打ち切られました。これでガソリン代が急騰しています。これに対する対策などは早急にやらなければいけないのではないかということは、かつてはガソリンの暫定税率と言っていましたが、今は上乗せ税率と言いますか、それをなくしていくことなど、対応するということは、これは物価高対策の一つの重要な要素だと思いますので、今の家計を直撃しているテーマなどについては機敏に対応できるようにしていきたいと思います。
○選択的夫婦別氏制度の実現に向けて
【TBS】
選択的夫婦別姓に関して、今の自民党の議論や、これから何がハードルになってくるか。その部分のお考えをお聞きしたい。
【代表】
まだ議論していないので何がハードルかと言えませんが、大事なことは、なるべく多くの野党が連携してこのテーマで実現に向けて努力をすることだと思いますので、2022年に法案の提案をしていますが、それ以上に共同提案できる仲間を増やしていくということと、そして、当然のことながら与党からも賛同を得たいと思いますので、公明党・自民党で何らかの案をつくってくるのか、対岸の動きを見ながらも、特に公明党の場合は、これはぜひ実現したいという、そういうご意向をお持ちだと思いますので、その対岸の動きもよく見ながら、どういうものを我々の案としてまとめれば折り合うことができるのかなど、戦略的に対応していきたいと思います。
○宮口参議院議員の離党表明について
【中国新聞】
参院の広島選挙区で当選されていた宮口議員が今週離党届を提出されたが、まず、これについての受け止めを伺いたい。
【代表】
せっかく4年間にわたって一緒に活動してまいりましたので、極めて残念だなと思いますが、まだ宮口さんも政治家としての活動をどこかではしていきたいという思いを持っていらっしゃるというふうに聞いておりますし、我々も彼女はとても評価できる政治家だと思っていますので、今後また一緒のチームとして何らかの活動ができるようなことは考えていきたいと思いますので、常に意思疎通はこれからも保っていきたいと思います。
【中国新聞】
宮口さんが離党の判断に至った理由として、一つが、広島選挙区での公認が得られなかったことと、もう一つが、それについて党からの代案が示されなかったという、この2点を挙げている。再選挙があったときから2人区で同じ党から2人公認が難しいというのは想定されていたと思うので、3年以上あった時間の中で、この二つの原因を何とか解決する方法はなかったのかと素朴に思うが、その辺はいかがか。
【代表】
どうしても2人区で1人に選ばざるを得なかったということで、森本さんが選ばれたということでございますので、この点についてもご本人はご理解をいただいていると思うのです。どちらが選ばれるかについて。
問題はやはり、その代わりに宮口さんがどういう形で政治活動を続けられるかというところで、きちっとした受け皿をつくることができなかったというのは残念だなと。ただ、条件的にちょっと地域が限られたお話だったので、その見合うところが今回、今日に至るまで見つからなかったということですので、引き続きこれは宿題として、宮口さんが政治活動できるようなことはどういう形ができるのかということは考えていきたいと思います。
【中国新聞】
では、この3年くらいあったが、党としても、代案、受け皿は考えてきたが、折り合わなかったという理解でよろしいか。
【代表】
考えてきて、いろいろ提示してきたりした経緯はあると聞いています。ちょっと過去3年は全部遡れませんが、私の知る範囲では、そういう努力もしてきたとは聞いています。
(以上)