参院本会議で6月9日、「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案(入管難民法改正案)」の討論・採決が行われ、「立憲民主・無所属」を代表して石川大我議員が反対の立場から討論に立ちました。
石川議員は、法務委員会で委員長職権による強行採決が行われたことに対して、「極めて遺憾」「満身の怒りをもって抗議をしたい」と批判しました。
この法案が成立すれば、「迫害を受けた母国に強制送還され、逮捕・投獄・拷問・虐殺、そうした迫害が待っている母国に強制的に送還される」「このような恐怖に怯え震えている人たちが現に私たちの身近に、皆さんの身近にいることを知ってほしい」と訴えました。
これまでの審議で、政府与党は入管収容者や送還忌避者を数字で扱うことはあっても、「決して、固有名詞で扱うことはなかった」と述べました。
石川議員は、スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんのご遺族が傍聴に来ていることに触れ、「改めて心よりお悔やみを申し上げます」と哀悼の意を表明。ウィシュマさんの葬儀に参列した際に、「棺の中のウィシュマさんは遺影に映った笑顔のすてきなウィシュマさんではなかった」と感じ、「防げたはずの死亡事案を二度と起こしてはならないという強い思いから、私たちは入管行政、難民行政のあり方を繰り返し検討してきました」「議員立法・難民等保護法案、そして入管法改正案の2本の法律案を参議院に提出いたしました」と、これまでの議論に臨んできた姿勢を語りました。法務委員会ではこの議員立法も審議が行われたものの、与党理事の反対で採決が認められなかったことに対し、「ますます入管行政は国際基準から遠のいたと断じざるをえない」と述べました。
大阪入管で常勤医が勤務中に飲酒をし、酩酊状態だったことが明らかになった件に関して、昨日、大阪入管が弁護士グループの質問状に答え、泥酔医師の後任について「募集しない」と回答したことが報道されたことに触れ、「大阪入管の常勤医師は結局この泥酔医師のまま、ということか」と疑問を呈しました。
入管庁の発表によると、送還忌避者の中に、未成年の子どもが295人いることに関し、「こうした子どもやその家族には、速やかに在留特別許可が与えられるべき」と述べ、政府案が在留特別許可の考慮すべき事情として子どもの利益を明確に明記していないことは、「日本政府は子どもの権利・利益について関心がないと思われても仕方ない」「現に子どもとその家族を救うことなどは出来るはずもない」と批判しました。
最後に、「私たちは、難民の皆さんや日本が当然守るべき人権を守る当たり前の国になることを望み、私たちの野党案こそ実現してほしいと願ってくれている多くの国民の皆さん、繋いだ手を決して放しません」と決意を強く述べ、「私たち隣人の命を自分ごととして考え、採決に臨んでいただきたくお願いを申し上げる」と述べて、反対討論を締めくくりました。
本法案は、自民、公明の両党、日本維新の会、国民民主党の賛成多数で可決・成立されました。