薬剤師、ケアマネジャーのはたともこ岡山3区総支部長。政治の道を志すきっかけから、地域に必要な政策とは何か、さらに地域猫活動や有害鳥獣対策なども含め、現在の活動について話を聞きました。

■ケアマネジャーとして感じた矛盾や思いから政治の道へ

 2009年に戸籍名をひらがな5文字の「はたともこ」に改名しました。投票で「秦(はた)」を正確に書いてもらえないことと、自分のポスターなどではひらがな表記できるのですが新聞報道などでは漢字で表記されるので、名字も含めてすべてひらがなに改名しました。

 2000年4月、わが国で、介護保険制度がスタートしました。当時、薬剤師として薬局に勤務していましたが、条件を満たしていたので試験を受けてケアマネジャー(介護支援専門員)の資格も取りました。介護保険制度スタートの約半年前から、薬剤師業務と同時に、ケアマネジャーとして要介護認定とケアプラン作成に携わりました。

 業務をする中で、介護保険制度は利用者の立場にも現場スタッフの立場にも立っていない、厚生省(現在は厚生労働省)の机上の空論ではないかと、痛感するようになりました。

 ちょうどその頃、新聞記事でたまたま民主党(当時)の候補者公募を目にしたので、ケアマネジャーとして感じた矛盾や思いをスピーチ原稿にまとめ応募しました。そうしたところ公募に合格し、江田五月先生から強く要請されて、すぐに衆議院選挙に立候補することになりました。立候補表明から投票日まで23日しかなく、選挙の経験もないままあっという間に終わった選挙戦だったのですが、57,368票をいただいたことで、引き続き腰を据えて頑張ることにしました。

 ただ、次の選挙でも落選(中国ブロック比例次点)し、当時2回連続で落選したら3回目の公認はないという原則があったため、断念せざるを得なくなりました。2007年にいろいろなご縁があり参議院比例区で立候補し落選したものの、西岡参議院議長(当時)のご逝去により繰り上げ当選となり1年8カ月参議院議員を経験しました。21年の総選挙では立憲民主党岡山県連から声を掛けていただき岡山5区(2022年の公選法改正で、旧3区の大部分と合併し、新3区となる)から再び立候補しました。

 10増10減で改変された岡山新3区は、岡山県の面積の約70%、大阪府や香川県の2.5倍の巨大選挙区です。相手候補は、加藤勝信前厚生労働大臣で強力ですが、五分の勝負ができるよう全力で頑張っています。

■地方都市・中山間地域の所得保障政策の充実を

 皆さんに話を聞いていると、特に中山間地域では高齢世帯や一人世帯が多く、介護の問題が目の前にあり、さらに介護保険制度そのものについてもいろいろな意見を聞き相談も受けています。薬剤師、ケアマネジャーの経験をこの地域で役立てたいという思いが強くあります。薬剤師というと処方箋をみて調剤するというイメージが強いと思いますが、私の中での薬剤師の理想は、自分の健康は自分で守り、自ら健康管理や予防に取り組む「セルフメディケーション」の推進です。

 また、人口減少や少子化がわが国の最大の課題になっています。相手候補の加藤勝信議員は少子化担当大臣をやっていましたが、少子化に歯止めがかかるどころか加速しているのが実態です。こども家庭庁を作っても看板だけで中身がありません。こども政策は未来への投資なので、こども国債を発行して、こども手当を飛躍的に拡充し、国がしっかりと責任を持ってこどもを育ていくことが必要です。

 さらに、中山間地域では仕事が少なく、若い人たちが結婚できる環境にない、という切実なお声もうかがっています。都道府県単位に人材派遣公社を設立し、希望者全員がそこの正社員(準公務員)となることによって、地位と所得を保障して、結婚できる環境を整備していくことが政治の責任であると考えています。また、一次産業はわが国の屋台骨であり、食料安全保障、環境保全や国土保全、水源涵養、防災の観点から、後継者がしっかりと育つよう、第一次産業所得充実政策の確立が必要です。

 一方で、高齢者のことも忘れないでほしいという声もたくさんうかがいます。日本を支えてくださった大先輩方の老後が安心・安全であるよう、年金にプラスして75歳以上全ての方々へのシニア手当も考えています。一次産業所得充実政策、こども手当、シニア手当によって、中山間地域を「子育てパラダイス」へと発展させていく。地方の人々の所得を保障することは結果として消費を拡大し地方経済を活性化し、ひいては国全体の経済の活性化・好循環につながるものと思います。

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事務所のスタッフと共に看板立てをするはた総支部長(右)

■一人ひとりと信頼関係を築き、行動する

 日々の活動では、子どもたちも含め一人ひとりの方々と信頼関係を築いていくことが一番大事だと思っています。正直に、誠実に活動し、その姿を見ていただき応援していただける方を増やしていくことが重要です。隣近所、友人、知人、親戚に言えない不満や意見も、第三者の私には言えるということもあるので、そうした意見をしっかり受け止める努力をしています。

 例えば、一人暮らしの高齢者で、話し相手が飼い主のいない猫しかいなくて、かわいくて餌を与えていたらどんどん繁殖してしまい、排泄物などで近所の方が迷惑しているという事例は少なくありません。地域の方々が主体となって不妊去勢手術を行い、一定のルールに基づいた餌やりやトイレの管理などをすることで飼い主のいない猫を増やさない活動、いわゆる地域猫活動、岡山県では、書類を整えて申請すれば無料で不妊去勢手術を受けられます。ただ、申請書類を整えるのが煩雑であったり、県の動物愛護センターまでの猫の搬送が大変なので、「岡山県地域猫活動の会」という一般社団法人を立ち上げて、これまでに約300匹以上の不妊去勢手術のお手伝いをしてきました。昨年1年間の岡山県動物愛護センターの不妊去勢手術の約4割です。

 また、イノシシが田畑を荒らすなど有害鳥獣被害の問題も深刻なので、捕獲でお役に立ちたいと思い、わなの狩猟免許を取得し活動しています。岡山新3区の党員・サポーターズに呼びかけ、新たに10人が狩猟免許を取得しました。最後はジビエとして美味しくいただくことで命を全うできるよう、ジビエの加工処理施設の充実・販路の確保に力を尽くしたいと思っています。

 来るべき総選挙に向けて、多くの皆さんとお会いし、直接お話をすることを大切にし、腰を据えて活動しています。岡山新3区は、岡山県内でも特に立憲民主党の支持率が低い選挙区ですが、自分たちの声を国会に届けてほしいという意見も多くうかがっています。自民党を支持しているが今のままでは良くない、野党にも頑張ってもらいたいという、消極的自民党支持者の声も聞いています。9月3日には、新3区総支部設立大会を津山市で開催し、前明石市長の泉房穂さんに記念講演をいただきました。旧3区の中心、津山市に新たに事務所を開設し、住居も構えました。あらゆる方々が「はたともこにしよう」と思っていただけるよう、信頼獲得に向けて、まだまだ頑張ります。

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はた総支部長の狩猟(わな)の師匠(左)と、イノシシ肉と一緒にいただいた黒にんにくを手にするはた総支部長(右)