衆院予算委員会で基本的質疑が11月21日に行われ、立憲民主党から大西健介、金子恵美、本庄知史、近藤和也の各衆院議員が質疑に立ちました。
大西健介議員
大西健介議員は、物価高対策予備費から改称された「原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費」について質問。そもそも予備費は年度途中における予期せぬ事態の発生や、新たな経費が必要となる事態に迅速に対応するためのものだとして、「賃上げは、今必要なこと」「今、賃上げに使ってください」と求めました。岸田総理は予備費を確保していることについて、物価高騰・原油価格、賃上げのためもので「道半ばである現状において、予備費を用意することは決しておかしな対応ではない」と答弁。大西議員は、今議論しているのは来年3月末までの補正予算についてであるとして、「賃上げは今必要だ」と改めて指摘しました。
また、自民党派閥の政治資金収支報告書不記載疑惑について取り上げ、昨年末に関連する政治団体が政治資金パーティーの収入を政治資金収支報告書に記載していなかった問題で議員辞職した薗浦健太郎前議員(当時、自民党)を例に、「形式上の不備や軽微なミスなら修正もありうるが、これだけ多数、多額の不記載、4000万円を超える不記載、しかも各派閥同様にやっている」と述べ「前代未聞」「(民間事業者なら)許される訳がない」と厳しく指摘しました。
金子恵美議員
金子恵美議員は、農林水産関連予算について、食料安全保障の強化に向けた構造転換対策や物価高騰等の影響緩和対策などに用いるとされる農林水産関係費が令和5年度補正予算案に8182億円が盛り込まれていることに対し、「本来重要な施策に必要な金額は当初予算にて確保するべき」と指摘しました。また、岸田総理が政府の見解として、「補正予算は緊急に必要な対応として重点的に予算を用意するもの。今回の補正予算は世界の食料安全保障リスクの高まりに対し、過度な輸入に依存する作物など国内生産拡大の推進による現況を鑑み、進めるべき施策として当初予算から増額して配置している」と答弁したことに対し、金子議員は「本来当初予算に入れるべきものを補正予算に入れたら緊要性が見えない。もしも緊要性があるとおっしゃるのなら、当初も補正も関係ないぐらい農林水産の現場では緊要性を要している」「農業を大きく変えなくてはならない重要な時期にきている」とし、政府の姿勢を問題視しました。
本庄知史議員
本庄知史議員は、自民党派閥の政治資金問題、旧統一教会問題等について質問。自民党の派閥平成研究会の事務総長を務める新藤義孝大臣に対して、政治資金問題について「国会の場できちんと説明すべき」と求めました。新藤大臣は「閣僚のためコメントできない。政治団体として適切に対応している」「政治団体にお問合せください」との答弁を繰り返しました。本庄議員は「十分に説明されているとは思わないし、国民も理解ができなかった」と指摘し、予算委員会理事会に資料を提出するよう求めました。
旧統一教会の財産保全法案の与党案が、個人が宗教法人を相手に訴訟を起こすことを想定している点について、岸田総理に「その負担の重さを想像できる力をもってほしい」と求めました。
近藤和也議員
近藤和也議員は、「漁村の人口減少は海岸線の見守りが減ることを意味」しており、それは「国土を誰が守るのかという安全保障そのものの話につながる」と指摘。その上で、1989年から農林水産省予算、食料自給率、農業・漁業者の人口、農地面積、漁獲高が「右肩下がりのグラフになっている」として、「食料安全保障を作り上げる」ために「右肩上がりにすべき」と迫りました。これに対し、宮下一郎農林水産大臣は「踏みとどまっている」と答弁。近藤議員は「今の答弁はまずい」と断じ、為替レートが円安で輸入する食料品も高騰していることも踏まえ、「食料安全保障の観点からもアベノミクスを転換すべき」と訴えました。