参院憲法審査会が11月15日に開かれ、立憲民主党の辻元清美、小西洋之、打越さく良、石川大我の各議員が参院議員の選挙区の合区問題をはじめとする憲法課題について意見を述べました。

辻元清美議員
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 辻元議員は、最高裁判所が10月18日、最大較差3.03倍となった2022年の参院議員選挙を合憲と判断したものの、立法府に対して較差是正のさらなる立法措置を講じるよう求めたことに関して、「最高裁判決が国会に投げかけたメッセージは重く受け止めたい」と述べ、「合区問題を議論するにあたっては、参議院のあり方、当該地域を含む地域の声などだけでなく、都市部も含めて全国民的議論が必要だ」としました。

 また、岸田文雄首相が10月23日、所信表明演説で改憲について「先送りできない重要な課題」と位置づけた上で、「条文案の具体化など、これまで以上に積極的な議論が行われることに期待する」と述べたことについて、辻元議員は「行政府の長たる総理大臣は現行憲法を尊重する立場にある」として「総理大臣が衆参本会議で条文化案の具体化を促すような発言をすることは、越権行為と言わざるを得ない」と厳しく批判しました。

 さらに、森英介衆院憲法審査会会長が11月9日、「緊急時の国会機能維持は重要だ。議員任期延長など速やかに議論を詰めなければならない」と発言したことについて、辻元議員は「全体のコンセンサスもない中、公平公正な委員会運営とは言えないのではないか」と懸念を示しました。

小西洋之議員
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 小西議員は、衆院議員の任期延長を唱える改憲論が参院の緊急集会が70日間に限定されているとする解釈を論拠としていることについて、批判を展開しました。まず緊急集会の趣旨に関して小西議員は、憲法制定議会で金森徳次郎担当大臣が答弁しているように「民主政治を徹底させて、国民の権利を十分擁護するなどの戦前の反省に立った非常時の権力乱用の排除だ」とした上で、憲法54条が解散から40日以内に総選挙を実施して選挙から30日以内に国会を召集しなければならないとしていることについては「解散・総選挙の際の内閣の居座りの排除であり、緊急集会の開催期間を制限し得るものではない」と主張しました。よって、緊急集会の70日限定説は、法令解釈、憲法解釈でもなく、「法の支配、立憲主義に対する暴論」だと指摘し、「緊急集会の曲解を論拠とする国会議員の任期延長改憲には明確に反対をする」「優れた復元力を含め世界に誇る緊急事態条項である緊急集会制度の機能強化の議論をさらに深めることを提案する」と発言しました。

打越さく良議員
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 打越議員は、参議院の選挙制度には15年の改正で合同選挙区が導入され、16年の改正で比例代表の特定枠が設けられたことに関して、「合区によって候補者を出せなくなった県代表を特定枠で救済しようとする自民党の意向を反映したものだ」とし、実際に自民党はそうした候補者調整を行ってきた、と指摘しました。つまり、自民党は「合区を容認した上で、それを補完する意図で特定枠を設けたのであれば、将来的な合区が視野に入っている」と批判し、「合区を解消しようとするのであれば、まずは特定枠の廃止が先決である」と主張しました。

石川大我議員
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 石川議員は、最高裁判所が10月25日、性同一性障害の当事者が性別を変更するためには生殖能力をなくす手術を要件とする性同一性障害特例法を違憲する判断をしたことに触れ、「こうした違憲判決、判断についても、本審査会で議論することは、国会法や憲法審査会の設置趣旨である、日本国憲法に密接に関連する基本法制についての広範かつ総合的な調査をする、にも合致する」として、違憲確定事案についても積極的に憲法審査会で取り上げるよう求めました。