立憲民主党つながる本部は2月14日、「NPO予算公開ヒアリング」のお昼休み企画として、トークイベント「市民と行政の新たな協働に向けて」を開催しました。NPO法制定から25年を経て、市民と行政の関係はどう変わってきたか。行政の側はNPOとの対等な関係をどのように築き、NPO側はいかにして主体的に行政と連携してきたかを、行政とNPO双方の立場からディスカッションを行いました。パネリストには奈良市長の仲川げんさん、日本NPOセンター代表理事の萩原なつ子さん、そしてコーディネータは前武蔵野市長で党東京都第18総支部長の松下玲子さんが務めました。

 奈良NPOセンター事務局長から2009年に奈良市長に就任した仲川げんさんは、NPOの立場で長年活動しネットワークを作ってきたことが、今の行政の長という立場でも大変役に立っていると述べ、「NPOの立場から政策提言するのももちろん大事だが、実際に仕組みを作る側に回ってみたい、その方が社会をより早くより効率よく変えられるのではないかと思った」と、市長選挙に出たきっかけを語りました。

 また、市長就任当初、税の使途を住民自らが決める「市民が選ぶ1%支援制度」の導入をめざすも議会の議決を得られず断念したこと、その後動物愛護問題を転機に、行政が間に入りながら本来利害関係が相反する動物愛護団体とペットショップが対話を通じて連携し、犬猫の殺処分ゼロを実現した経緯を話されました。

 そして、「NPOと行政が同じ街の未来を作っていく仲間だという関係性を作ると腹を割って話すことができる」「テーマを特化した非常に高い見識を持つNPO、実際の問題解決能力を持つNPOが、これからの人口減少社会の中で社会的な課題解決の中心になっていくと感じている」と話されました。

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仲川げんさん

 日本NPOセンター代表理事の萩原なつ子さんは、センターが2002年から毎年実施してきた「NPOと行政の対話フォーラム」が行政との協働を進めるうえで非常に重要だったと述べました。当時、日本NPOセンターには複数の県からインターンのような形で職員が来ており、NPOで学んでまた県に戻ったこと、その人たちが中心になってフォーラムを企画することもあったことなどを紹介し、フォーラムの狙いが、まず行政の職員がしっかりとNPOを理解していくことだったと話されました。

 また、当時行政からの委託を受ける際、NPOとやることが安上がりになってはいけないということが議論されており、そのような中から「行政と協働するNPOの8つの姿勢」がまとめられた経緯を紹介されました。そして、萩原さんは協働の定義について「『異種・異質の組織』が『共通の社会的な目的』を果たすために、『それぞれのリソース(資源や特性)』を持ち寄り、『対等の立場』で『協力して共に働く』こと」と述べ、NPOと行政の対等性をどのように担保するかが当時から続く課題だと説明されました。

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 コーディネーターを務めた前武蔵野市長の松下玲子さんは、「社会が様々に変化しているなかにあっても、日本の社会保障制度や税制は働くお父さんと専業主婦のお母さんと子ども二人をモデルにしていることが、いまいろいろなところで歪みとなって現れている。いまの社会の変化に合わせた制度、仕組み、法律に近づけていく努力をしなければならない」と述べました。そしてNPOの役割について「市長を経験して実感したのは、市役所は遠くて怖い存在だったこと。相談に行きたくても行けない困っている人々に支援が届きにくいなかで、民間のNPOなどが相談を受けて市役所につなげて課題を解決することがとても大事だと実感した」と語りました。

松下玲子

※パネリストの資料データはこちら
仲川げんさん資料.pdf
萩原なつ子さん資料.pdf

※トークイベント動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=xdA8wfN1XqQ&t=9734s