立憲民主党・農林水産キャラバン隊(隊長・田名部匡代参院幹事長)は3月24日、島根県古曽志町を訪れました。
このキャラバンは、「農政の憲法」と言われる「食料・農業・農村基本法」の改正案が今国会で審議されることから、全国各地の農業現場を訪問し、各地で得た地域の声を党の政策に反映させ、地域と一緒に新しい農林水産政策を作っていく取り組みです。
今回は米と小麦を中心に育てているカンドーファーム株式会社の代表取締役・田尻一輝さんから、田名部議員、亀井亜紀子・島根1区総支部が話をうかがいました。
田尻さんが農業を始めた2000年頃は減反政策が推奨されており、農業は衰退し未来はないという見方がされていた時期。二輪車販売の会社から転職、親の後を継ぎました。高齢化で引退する人も多く、世界的な人口増もあり、父や祖父から「食べ物に困るときが来る」と言われ「確かに大事な仕事だ」と思い、地域の人達からも喜ばれたことからも、この仕事を始めたといいます。
会社のある古曽志町はもともと100数軒あった農家が、現在は他に2軒しか残っておらず、現在は自分たちの田畑のほか周辺の農地を預かり栽培しています。栽培以外の課題もあり、これまで農地周辺の水路や川の土手、道路などの維持管理は農家が担っていたものの、軒数が減った分、負担が大きくなっていると話しました。
最近では、化成肥料の高騰化が進んでおり、安定して今後も入手できるか不安であることから2年前に堆肥への移行を決め、現在7割近くを堆肥が占めているとのこと。生産資材を近くで確保できることが重要だと語りました。
小麦の県内自給率100%を目標にしているなか、国産小麦と輸入小麦の大きな違いは品質の安定性だと語り、粉の特性・成分は大規模な方がどうしても安定すると説明しました。収穫場所で特性・成分に差がある国産小麦は相当量が動く現在の流通の仕組みにマッチしないので、新しい日本式のサプライチェーン(生産から製粉、製粉されたものを加工する製パン・製麺会社へという流通の仕組み)を地域内で構築し、今秋には動き出すと紹介。フードマイレージも格段に短くなると語りました。
人材育成に力を入れている田尻さんは、小中学校の農業体験では伝えきれていない部分も強化したいと言い、農業が将来の職業の選択肢として当たり前になるよう、幼稚園では食べているものがどこから来ているのか、中高生ではインターンシップなど、段階に応じて考える機会を作りたいと熱心に語りました。
田名部議員は視察後、記者団の取材に応じ「日本の農業にとって必要な取り組みや、将来に向けて希望を感じるような話を聞かせていただけたので、本当に良かった」「地域とつながり現場に寄り添い現場の声を聞いていくことが私たちの政策作りには必要」「私たちも一緒に地域の課題と向き合いたい」「現場を見ることを忘れて話に夢中になってしまうほど、今回の話は本当にワクワクしてくる」と語りました。