立憲民主党は2月14日、「高校授業料無償化拡充法案」および「公立高校の施設整備促進応援法案」を衆議院に提出しました。これは、①現行の高等学校就学支援金の所得制限(910万円)を撤廃する、②私立学校へは授業料の全国平均である45万円まで支給限度額を加算する、③公立の小中高校等の施設整備を促進する、ことを主な内容とするものです。

 立憲民主党はこれまでも、子どもは社会全体で育てるという立場から、子どもの間で線を引かず、家庭の経済力に左右されず、誰もが同じスタートラインに立てる社会の実現を目指し、高校授業料に関して、所得制限のない高校授業料の無償化を訴えてきました。昨今では大阪府や東京都が私立高校に対して独自の上乗せ策を講じていることから、改めて高校授業料のあり方について文部科学部門で議論を行いました。その結果、高校授業料のあり方について、①現行の高等学校等就学支援金については所得制限を撤廃、②私立高校については所得制限をなくし授業料の全国平均である45万円まで支援、すること妥当とする結論となりました。一方で、私立高校のみに支援を手厚くすることにより公立高校への志望者の減少などが懸念されることから、老朽化などの対策が必要な公立学校への施設整備の支援を増額することも必要との結論になりました。これらを踏まえ、法案化の検討を進め、「高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律案」及び「義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律の一部を改正する法律案」が作成されました。

 法案提出後の記者会見で、筆頭提出者の津村啓介衆院議員(ネクスト文部科学大臣)は、立憲が提案している令和7年度予算修正案の大きな柱の一つが「高校無償化」であり、これを具現化した法案だと説明。また、「高校無償化は旧民主党政権で初めて導入した重要政策」であり、「私立高校についても所得制限を設けず全国一律に支援額を引き上げる」ことに加え、私立高校への支援の一方で公立高校の空洞化が始まっている大阪府の例を挙げ、「地域の公立高校をサポートするために、施設整備への具体的な支援を進めることも重要だ」と2法案を同時に提出した意図を述べました。

 立法の実務を担った城井崇衆院議員は、高校授業料無償化拡充法案を47都道府県で実施した場合は約3,039億円、公立高校の一般校舎の改修費用への支援額(現行法通り国が3分の1を交付する場合)は約670億円との試算を出して、「この合計額3,709億円を令和7年度予算の修正案に盛り込んでいる」と報告しました。

 法案提出者は、津村啓介(筆頭提出者)、山井和則、城井崇、吉川元、亀井亜紀子、坂本祐之輔、青山大人、荒井優各衆院議員です。