衆院予算委員会において12月12日、「令和6年度補正予算案」と立憲民主党提出の修正案が審議され、趣旨説明を重徳和彦衆院議員が行いました。引き続き行われた集中審議では、城井崇、本庄知史各議員が質疑を行い、締めくくり質疑では近藤和也議員が立ちました。質疑終局後、酒井なつみ議員が討論を行いました。
■重徳和彦議員
重徳議員は、政府提出の令和6年度補正予算2案について、(1)本年1月1日発災の能登半島地震、さらに9月に能登地域を襲った豪雨による被害からの復旧・復興に係る支出が不十分だとしました。一方で、(2)財政法第29条が求める緊要性の要件を欠く支出が多数見受けられ、その結果として、一般会計歳出は約13兆9433億円と、過大な規模となっている点を指摘し、政府に対して「現実的・合理的な予算の修正」を求めました。
本修正案の概要は以下の通りです。(1)令和6年度当初予算で計上された一般会計予備費の残高のうち、1000億円については、能登地域の復旧・復興に要する経費に使用することとし、これをもって実質的に、予備費の減額と能登地域の復旧・復興に係る支出の増額を図ること(2)今回の補正予算による基金への支出のうち、旧優生保護法による被害者に対する補償金、特定B型肝炎ウイルス感染者への給付金、建設アスベスト被害者への給付金に係る3基金への支出を除き、緊要性の観点から「積み過ぎ」と考えられる支出、計約1兆3600億円を減額する(3)これに伴い、特例公債の新規発行について、同額を減額する。
重徳議員は「能登地域の被災者に寄り添うとともに、税金の無駄遣いをなくすという観点からの提案する」と述べ、賛同を求めました。
■城井崇議員
城井議員は、立憲民主党提出の修正案について「その狙い、目標、何を目指しての取り組みなのか」、これまでのような組替え動議ではなく、修正という手法をとった理由について質問しました。
提案者の重徳議員は「この度は、自公が少数となった。野党は具体的な修正案を提案し、国会の場で修正できることになった」と理由を述べ、予算の成立が遅れないよう「的を絞って、能登の増額と、基金の積みすぎ等規模ありきのふくらみ過ぎた予算の減額修正を求めた」ことを明らかにしました。
城井議員は、能登半島復興支援に関して、政府案では足りない部分について問いました。
提案者の近藤和也議員は、「予算があるが、使われていない。絶対額も少ない。さらに、先日議論した準半壊、壊さないと次の住まいが見つからない。大きな道路は今、全面的に修理が入ってきている。生活道路を1本入ると、市や町が管轄している道路は修理できていないガタガタの道がある」といった実情を説明しました。
城井議員は「今回の修正案で、能登の実質増額をどう賄うのか」と質問しました。階提案者は「増額するのではなく、既存の予備費の中から1000億円を賄う。国会で予算をどの程度修正できるのか憲法上の議論がある」として、「憲法上、認められる範囲で、補正予算を増額修正する」と述べました。
石破総理は「立憲民主党の修正案が成立すれば、引き続き予備費を活用して切れ目のない支援を行っていく。被災地の声は今聞いた通り、同じように考えている」と発言しました。
■本庄知史議員
本庄議員は、国の基金について、予算委員会で石破総理が約束した宇宙戦略基金検証の結果が提出されていないこと、本年度末支出見込みの300億円が管理費であって、宇宙政策には使われていないこと等を指摘し、政府の姿勢を批判しました。
■近藤和也議員
締めくくり質疑で近藤議員は、立憲民主党の修正要求で与党が修正した補正予算案において、能登地域の復旧・復興に予備費1000億円を追加したことについて質問しました。
冒頭、近藤議員は、与党が野党の予算修整要求に応じたことは、「復旧・復興には与党も野党も関係ない」と述べてきた者として、「本当に感慨深い」と言及しました。
その上で、「過去と比べてやはり災害対策というのは進化させていかなくてはならない」と強調。災害公営住宅の確保に向け、廃校になった小中学校を解体し、その跡地を利用するため、費用を国が負担できないかと質問しました。また、寒冷地における仮設住宅の駐車場が砂利になっており、除雪車が除雪に支障をきたすとして、舗装することを求めました。さらに、医療保険や介護保険の窓口負担免除の期限延長、固定資産税の特例の延長なども求めました。
これに対し石破総理は、「柔軟に対応」するとともに、「政府として最大限努力をする」と答弁しました。
■酒井なつみ議員
質疑終局の後、酒井議員が、立憲民主党提出の修正案に賛成、自民党・公明党提出の修正案に賛成、他会派提出の組替動議(編成替え動議)に反対、政府提出の補正予算案の修正部分を除く原案に反対の立場で、討論を行いました。