野田佳彦代表は3月22日広島県入りし、結成70年を来年に控える広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(日本被団協代表委員)、熊田哲治事務局長と懇談(写真上、前列左から野田代表、箕牧理事長、熊田事務局長、後列左から佐藤公治衆院議員、的場豊県議、三上えり参院議員、東克哉衆院議員、森本真治参院議員、瀧本実県議)。来年の第4回核兵器禁止条約締約国会議(TPNW)へのオブザーバー参加に向けて、政府に働きかけるとともに、議員外交で補っていく考えを強調しました。懇談には、東克也、佐藤公治両衆院議員、森本真治参院議員、瀧本実、的場豊両広島県議が同席しました。
野田代表は冒頭、被団協が昨年ノーベル平和賞を受賞したことにあらためて祝意と敬意を表明。昨年12月の本会議質問で、自身が「日本政府も一歩前に踏み出すべき時ではないか。核兵器禁止条約締結を視野に入れて(第3回核兵器禁止条約締約国会議に)せめてオブザーバー参加をすべきだ」と石破総理に迫ったが明確な答弁がなかったこと、今年2月には日本被団協の田中熙巳代表委員が国会に出席した際、核禁止条約会議への参加を見送った日本政府の対応を「情けない」と発言したことに触れ、「せめて自民党の国会議員ぐらいは派遣するのかなと思っていたがそれもなかった」と苦言を呈しました。立憲民主党からはこれまでも議員派遣をしてきたが、今回は地元広島県選出の森本真治参院議員を派遣、日本の国会議員が初めて発言したとして、「政府が重い腰を上げないのであれば、議員外交で補っていかなければいけない」と述べました。

箕牧理事長は、日本がオブザーバー参加を見送ったことにあらためて失望の声を上げ、「自民党は『核保有国と非保有国の橋渡し役を担う』という同じセリフを繰り返している」と指摘。今回、太平洋地域の核実験被害者を救済する基金の設立が議題になったことに触れ、「被爆国日本として世界に態度を示してほしい」「核を通じて守るというより、核を使われた、被害を受けた側から考えてほしい。それが被爆の実相だ」と訴えました。自らも被爆二世の熊田事務局長は放射能の影響について、自分たちの世代の健康不安だけでなく子どもや孫といった次世代への影響についても不安があったとして、「こういうのはいつまでも続く。いつになったらという終わりがない」と話しました。
懇談後には、2025年度立憲民主党広島県連定期大会に参加、基調講演も行いました。

大会のあいさつのなかで野田代表は、現在の政治課題として、トランプ政権の関税政策に言及し、4月2日から自動車に対する追加関税が行われると、対米輸出の依存度が高いマツダの本社がある広島経済に大きな影響を与える可能性があると指摘。「2019年の8月、第1次トランプ政権と安倍政権との交渉で、日本の自動車に高い関税をかけない代わりに、アメリカ産の牛肉と豚肉に関する関税は引き下げるという取引をして日米貿易協定が成立した。なぜ今日米貿易協定を使わないのか。日本がこれを見直し普通の関税にすると言ったらアメリカには強烈なダメージになる。こういうタフな交渉している形跡がまったくない」と、日本政府の対応を問題視しました。

大会では、森本真治参院議員が同じく広島県選出の三上えり参院議員と参加した米国・ニューヨークで開催された第3回核兵器禁止条約締約国会議について報告。会議では日本の国会議員として初めて発言し、そこでは「被爆の実相を伝えること」「小型化された核兵器の使用を正当化する議論に対して反論すること」を求められていたと話しました。
その上で、広島・長崎の被爆80年という節目にも日本政府が会議へのオブザーバー参加を見送ったことに懸念を示し、「核兵器の脅威が高まる中で、世界で唯一の戦争被爆国である日本こそが、核兵器の非人道性を訴える役割を果たすべき」だと主張。今後の取り組みとして、来年11月の次回締約国会議に向けて、「引き続き日本政府に対して参加を求めるとともに、政府間外交だけでなく、議員外交や市民社会との連携を強化することが重要。立憲民主党としても、国際社会における日本の役割を高める努力を続けていく」と表明。また、平和教育の推進にも力を尽くしていくと述べました。
