3月27日の衆院憲法審査会において、参院の緊急集会の射程について自由討議が行われ、立憲民主党の武正公一、藤原規眞、山花郁夫の各議員が発言しました。
武正議員は、「緊急事態に際して、大日本帝国憲法時代に天皇の緊急勅令や緊急財産処分で対処するとされていたものを、国会中心主義の貫徹という趣旨から、参院の緊急集会をもって対応するとした」と説明。「各種文献でもこの緊急集会の制度は世界に類例を見ないものと評価されている」として、緊急集会の条文が、緊急事態に対処する規定に当たるのは明らかであると述べ、改めて緊急集会70日限定説を取らないことも表明しました。そして、「緊急集会というのは参院にのみ認められた独自の機能である」ことから、「緊急集会で対応できないことを前提として議論を進めることは、参院の自律に対する干渉という評価もあり得る」と拙速な衆院での議論をけん制しました。

藤原議員は、「憲法をはじめとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、論理的に確定されるべきもの」であると述べ、緊急集会の平時の制度説や70日限定説は、憲法54条2項の「緊急」という文言や戦前の反省からの権力濫用排除、内閣の居座り排除という規定の趣旨、有事のために制定した立案者の意図や立案の背景に即さないと批判しました。

山花議員は、緊急集会の開催場面について、衆院解散時と任期満了時に加え、一票の格差に関して違憲判決が下された場合もあるのではないかと指摘。事情判決の法理により選挙の効力が維持されるのではなく、違憲判決から一定期間後に選挙の効力を無効とする将来効判決が下された場合、参院の緊急集会で暫定的な法改正を行い、総選挙を再実施するという方法が考えられるとして、この場合には「緊急集会に70日の縛りがあると考えることの方が難しいのではないか」と問いかけました。

