野田佳彦代表は21日未明、第27回参議院議員選挙の開票の途中経過を踏まえ党本部で記者会見を行いました。
冒頭、野田代表は「17日間の暑い戦いだった。応援してくださった皆さま」に向けて謝意を述べました。

開票の結果への受け止めを問われ、「公認については、ほぼ現状維持になるかどうか。ただ、推薦をした候補者などを含めると一定の前進にはなる。わが党が大きく前進できなかったことについては分析をしていく。1人区で野党が18勝したのは、選挙区調整したことの結果。野党議席の最大化が目標。押し上げる力があればよかった。全体として国民は与党にノーという意思表示をした」と指摘し、「ガソリン暫定税率の廃止など具体的なテーマで連携して、実現できることは早く実現したい」と意気込みを語りました。
特にガソリンについては「地方ほどガソリン暫定税率の廃止は受け止めていただいた。主張してきた責任がある以上、衆議院では既に通過しているので、今回の選挙で参議院も少数与党に追い込んだ。速やかに法案を提出して、具体的な成果にもっていきたい」と改めて強調しました。
引き続き「政権交代に向けてジャンプを目指していく」と訴えました。

与党が過半数割れを起こしたことについて野田代表は「物価高対策についてあまりに無策だった。とってつけたかのように給付を言い出したが、1人区は農業県が多かった。令和のコメ騒動は自民党政権のツケが出てきた。あらゆることについて、不満がたまっていた」と分析しました。
今回、大幅に議席を伸ばした他の野党について「具体的には何のテーマをもって連携していくのか。野党各党とは速やかに対話したい」と述べました。
野田代表は、「わが党には積極的な支持が広がっているとは言えない。比例区も含めて、政権に代わる受け皿として多くの声を結集するまでにはなっていない」と述べ、「衆参院で比較第二党というリアルパワーを前提として、他の野党の皆さんに結集を呼びかけていく」と発言しました。

野田佳彦代表記者会見
2025年7月20日(日)25時00分~25時23分
発行/立憲民主党役員室
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtube.com/live/el6jWGw95ZI
■冒頭発言
(なし)
■質疑
■冒頭発言
(なし)
■質疑
○第27回参議院議員通常選挙 開票速報を受けて
【日本経済新聞】
目標に掲げた与党の改選過半数割れは確実で、非改選を含めた与党過半数も微妙な情勢だ。立民の改選議席22議席の上積みの可能性も出てきているが、現状の結果をどうご覧になっているか。また、国民民主党や参政党などの議席増が目立つ状況でもあるが、民意の期待は立民に示されたのかどうか。所感を伺いたい。
【代表】
まず、この17日間、熱い戦いでありましたが、全国で立憲民主党の候補者を応援していただいた皆さん、比例区も含めてご支援いただいた皆様に心から感謝申し上げたいと思います。
今まだ全容が出ていない状況ですが、選挙区はまだ競っているところが若干残っていますし、比例区でどれぐらい積み増せるかどうか、最終的にはまだわかりませんけれども、公認候補についてはほぼ現状維持になるかどうかですね。ただ、推薦をした尾辻さんとか、県連が推薦した泉さんとか、無所属でありますが今会派に入っている広田さんとか、そういう人たちも含めると一定の前進にはなるだろうと思います。
ただ、これはその他の国民民主党とか参政党の躍進に比べれば地味な前進でございますので、他党がどうしてどれだけ躍進をしたのかよく分析をさせていただき、一方で、全体としては石破政権に対して国民はノーという意思表示をしたと思いますので、これから例えばガソリン税の暫定税率の廃止など具体的なテーマで野党で連携をして、言ってきたことの実現できるものは早く実現をしていくというところに持っていきたいと思います。
【NHK】
推薦を含めれば議席の上積みもという情勢かと思うが、大きく伸ばすことはできなかったという、この責任をどう受け止めていらっしゃるかと、物価高対策として中心に掲げた消費減税、あるいは給付、ガソリンの暫定税率の廃止、この三つを今後どのように実現していきたいか。この点についてお願いしたい。
【代表】
全体として、三段跳びで前から言っていましたが、今回は政権取りを目指していくときの大事な「ステップ」だったと思いますが、その「ステップ」で大きく前進できなかったことについては、その分析をよくしていかなければいけないだろうと思います。
ただ、1人区で野党が18勝したと。それはやはり調整をしたことの結果だったと思います。これをなるべく早く着手し、もっと多くの選挙区の調整ができていれば、自分の党だけではなく野党議席の最大化というのが大きな目標だったものですから、その意味では一定の効果があったと思います。それがもっと自分の党で押し上げる力を持っていればよかったなというふうに思います。
それから、ガソリン税については、これはもう通常国会末に7月1日から実施という形で廃止法案を出しましたので、今度は間違いなく、少数与党に参議院では追い込めると思いますので、実現可能性が十分高まりましたので、これは連携をして、10月1日からでも実施みたいな、速やかに実現をできて成功体験を持ちたいなと思います。
消費税については、各党、野党みんな減税を言いましたが、中身がちょっといろいろ違いますので、我々は食料品ゼロ(税率)と言っていましたが、消費税一般を減税する、あるいは廃止するというところもありました。あるいは財源の問題でもちょっと違いがありますが、そこはやはりすり合わせをして、最大公約数でまとめて、そして、それを実現していこうという、そういう連携を図っていきたいと思います。
【NHK】
一点だけ追加で。前段のところで、野田代表の下でホップ・ステップ・ジャンプの「ジャンプ」に向かっていくという考えでよろしいか。
【代表】
ええ。まだ「ジャンプ」を目指して頑張ろうと思います。
【朝日新聞】
今回まだ結果が決まっていないが、今後も自公政権が続くとすれば、かなり不安定な状況が続くと思う。今回、立憲民主党は自公と対決する姿勢を示して政権批判票の受け皿になった面があると思う。野田さんは今後、自民党を中心とした政権と大連立を組むことは基本的にはないと考えているということでよろしいか。特に今回こうやって政権批判票の受け皿になったということで、そうした方々の期待を踏まえて、ご自身が在任中連立しないということはお約束できるか。
【代表】
消費税については見解が違いました。意見が違う。給付中心の自民党と、これは真っ向対立でしたね。それから、政治と金の問題についても決着がついていない。これは真っ向から、現時点ではまだ折り合っていないことなど、基本的な合意できる部分がなくて、それで大連立というのはあり得ないと。国民からノーという意思表示をされたところと組んでいく必要性はないと思っています。
【朝日新聞】
関連で。そうなると野党を中心とした政権を目指すということになると思うが、野田さんの中で、今回の選挙結果も踏まえて具体的に野党のどこの政党までを範囲として政権奪取を呼びかけていくのか。あわせて、あくまでもご自身が首班指名で名前を書いてもらって総理になることを目指すのか。もしくは、ほかの野党に党首を譲るということもあり得るのか。その点もあわせてお願いしたい。
【代表】
テーマを何にするかということが大事です。一致点を見出すと。先ほど言った消費税の問題もあります。暫定税率は、これはもう既に成功体験が衆議院ではありますから可能だと思いますが、その他の政策テーマを含めて、何をもって連携をしていくのかというところが中心になってくると思います。
その中で、誰を軸にしていくのか、どういうチームにしていくのかということになると思うのですが、「あそこはいい」とか「あそこは悪い」とか言わずに、野党各党とは誠意ある対話をやっていきたいと思います。
【読売新聞】
今回の結果についてだが、与党の自民党・公明党のどういった点が評価されなかったがためにこういった結果になったとお考えか。
【代表】
物価高対策について余りにも無策だったと。取ってつけたように後から給付を言いましたが、やはり深い洞察がなかったように見えたから、たぶん国民は受け入れなかったのだろうと思います。
加えて、やはり1人区の場合は農業県が多かったと思いますが、今回のいわゆる令和の米騒動が噴出したのは、これまでの自民党政権のある意味ツケが出てきたと。負債が一挙に噴き上がってきたと思いますので、あらゆることにおいてやはり自民党に対しての不満がたまっていたのだろうと思います。
【読売新聞】
今、農業県という、農業のお話もあったが、今回、立憲民主党は九州に始まり、1人区にかなり重点を置いた選挙戦を戦ってきたと思う。この戦略については成果があったというふうにお考えか。
【代表】
最終的に野党系が18勝して自民党を14勝に追い込んだというのは、これは一定の成果だと思いますが、惜しかったところが幾つかあるんですよね。本当にもうちょっとだったなというのがありますので、そこはよく分析したいですね。そこは残念でした。
【読売新聞】
先ほどガソリン税の減税のことについても触れられていたと思うが、衆院に続いて参院でも与党の過半数割れになったということで、今後何か野党で連携して進めていきたいことなどがあれば教えていただきたい。
【代表】
地方ほどガソリン税の暫定税率廃止は、車社会が多いですから、非常に受け止めていただいていたと思います。その言ってきた責任がある以上、衆議院では衆議院通過までいきましたので、参議院も少数与党に追い込んだので、これは具体的に秋にも臨時国会があるときには速やかに法案を提出して、例えば10月1日から実施みたいな、具体的な成果に持っていきたいと思います。
【「ニコニコ動画」】
ちょっと角度を変えた質問をさせていただきたいが、与党対野党でくくると、もしかしたら実態が見えにくくなると思っている。というのは、野党で党勢拡大したのは国民民主党と参政党だ。これら2党だが、自らの政策を実現できるところと連携する可能性が高い可能性がある。単にもしかしたら自公政権という枠組みが終わるかもしれないというだけで、比較第1党の自民が中心となる点については変わらないのではないかという見方もできると思うが、この点についてご見解をお願いしたい。
【代表】
これは自民党内でどういう党内力学がこれから出てくるかをよく見ないと、何とも言えませんね。総理ご自身は続投のご意思があるようですし、なぜ続投するかについてはあしたの記者会見でご説明があると思いますけれども、よくそれを聞いてみなければわかりませんが、それで党内が納得するのかしないのかなど、いろいろな要素があるので、予断を持ってお答えできる状況ではまだないと思います。
【ビデオニュース】
先ほど連立の可能性について質問が上がったときに、政治と金の問題と消費税で大きく考えが違うからそれはあり得ないというお答えだったと思う。これはちょっと仮定の質問になってしまうが、自民党がこれだけ負けて、政治と金の問題や消費税についてもちょっと考えを改めると、つまり野田さんなどが言っていることに寄り添っていくような姿勢を見せれば、逆に言うと先ほどの質問は連立があり得るというふうに受け取っていいのか。
【代表】
それはかなりの仮定、飛躍のある仮定ではないでしょうか。やはり選挙で、ついこの間まで批判も浴びながら「消費税引下げなんていうのはポピュリズムだ」「あなたの言ってきたことと違うではないか」と言ってきたところが、急に「あなたの言うとおりにします」なんて180度変えるとは私は思えませんね。
【ビデオニュース】
それが起きることは考えにくいというのはわかるが、逆に言うと、立憲としてはそれが連立の条件ということになるということか。
【代表】
条件とか考えていません。起こり得ないと思っています。
【日本農業新聞】
農業が盛んな地域が多い1人区の中で、特に米主産地での自民党の敗北が目立っている。野田代表が公示日に演説をした宮崎では米に関する訴えを強調していたが、今回、特に米に関して、農業票について手応えはいかがか。
【代表】
とてもありました。とても。
やはり小泉農政になってスピード感があって備蓄米が安くなってきたみたいな雰囲気は消費者にはあるかもしれませんが、作っている側はこの行き当たりばったり感に不安を持っていらっしゃる方がたくさんいて、むしろ農地に着目した直接支払制度で、価格はこれはマーケットで決めるしかないけれども、所得についてはしっかりと政策で決めていきましょうというお話は、これは1人区どこでも受け入れていただいたと思うし、第一声で選んだ宮崎の地もそうだったと思いますし、最終日にまた入った新潟でもJAの駐車場を貸していただいて演説会ができたみたいに、いろいろな農業関係者からもご理解は進んだというふうに思いますので、大きく変化をしつつあるなと思いました。
【産経新聞】
今回の選挙結果について伺いたい。1人区については先ほど代表からも言及があったように野党一本化が功を奏して議席を伸ばしたかと思う。一方で、複数区では議席を失った選挙区もあり、比例の獲得議席数も伸び悩んでいる状況となっている。このような現状を踏まえると、立憲民主党に対する積極的な支持が広がっているとは言えない状況かと思うが、この結果についてはどのようにお考えか。
【代表】
ご指摘のとおり、例えば比例区も含めて、政権に代わる受け皿として、自民党に代わる受け皿として多くの声を結集できるまでには至っていない。多くの政党が今乱立している状況なので、どうしても分散せざるを得ないと思います。だからこそ1人区での調整を一生懸命やってきたわけであって、その調整が全部できたわけではないですが、半分ぐらいできたから18勝14敗まで持っていったんですよね。
こういう今の政党の乱立状況の中でできることは、いかに1人区で追い込んで政権をピンチにさせていくかであるので、比例はそれはできませんからね。これはもう競い合いになってしまうので、それを一遍に我々に結集してもらうということはなかなか困難ですが、でも、その積み重ねの中でやはり評価は出てくるだろうと思います。
【産経新聞】
そのような党が乱立している中で、政権交代をするに当たっては野党が大前提だというふうに番組でもおっしゃっていたが、そういった中で立憲民主党に対する支持が伸び悩んでいる中で、野党の中での求心力が欠けるかとも思う。どのように野党連携を結集していくのか。どのようにお考えか。
【代表】
いずれにしても、衆議院で148議席あって比較第2党であるということと、参議院でもやはり比較第2党なのですね。このリアルパワーがなかったら、野党結集したって我々が抜けたら何もできないわけなので、やはりこのリアルパワーを前提として皆さんに呼びかけて、そして、力を合わせていくという構図が必要だと思っています。
【産経新聞】
最後に。石破茂首相が続投する意向を示している中で、内閣不信任決議案を提出して総辞職や解散を求めていくような、そのようなお考えについてはどうか。
【代表】
その続投のご意思の、その意味をよくあしたお聞きしないと何とも言えないと思っていまして、いつまで続投という言い方なのか。そうではなくて、もっと末永く考えているのか。どういうことになるかよくわかりませんので、それ次第で我々も、臨機応変に動くのか、もうちょっと落ち着いて次の準備をしていくのか、これはもうやり方が全然変わってくるだろうと思っています。
【毎日新聞】
今、野党での連立という話があったが、今回かなり考え方や思想がばらばらの野党が乱立する結果となったと思う。考え方や思想を重視すれば数が取れない結果になり、数を重視すれば様々な考え方が交じり合う連立の形になると思う。これに対して、代表として今どのように向かい合おうと考えていらっしゃるか。
【代表】
とにかく一致点が何なのかというところを、胸襟を開いて話すしかない。違いを強調すれば、もういろいろな違いがあるのは、当然政党が違うわけですから。
一致点でいうと、例えば暫定税率(廃止)はみんな一緒だったですし、消費税についても、やり方は違うけれども、これは方向性は一致していますので、そういうことを含めて一致点を探していくということの積み重ねだと思います。
【毎日新聞】
もう一点。リアルパワーの話があったが、一方では、今回議席を伸ばした政党の主張と立憲の主張とは異なるものもある。今回、与党が過半数をもし割るとすれば、そういった政党の躍進が与党を過半数割れに追い込んだということになる。野党で連立をする場合に、こういった与党を過半数割れに躍進で追い込んだような政党の主張を、立憲があまり考えていなかったことでも取り入れようという考えは、現在代表としてあるか。
【代表】
何を、これだけは一致させてくれとか、主張してくるかわからないではないですか。ただ、例えば消費税だったら、その他の意見が全部違っても一致できているという党があるではないですか。その主張は、それはもうお互いさまですが、是々非々の中で何が一致できるかを探すというところが前提だと思います。
【フリーランス】
ガソリン税の法案、臨時国会初日にも10月1日施行で出されるというふうなご発言があった。通常国会最後の衆議院本会議では自公以外の全ての政党が賛成した。ということは、衆議院は変わらないから、チームみらいが1議席取りそうだが、全野党党首会談を開いてもう一度法案を出すというようなことがあるのか。その場合は、神谷宗幣さんと、それ以外で例えば田村委員長とか、同席して党首会談をしなければいけないといった形になる。まだ先だが、そういった形というのを今後見せていくことはあるか。
【代表】
党首が全部集まるかどうかは別として、少なくとも衆議院では7党で共同提案していますから、その7党の連携が前提です。それから、れいわも共同提案はしていませんでしたが賛成してくださっているわけなので、これはどのレベルで協調するかは別としても、それはもういわゆる土台はできていると思っています。
【フリーランス】
神谷さんと。
【代表】
神谷さんも入っています。共同提案しています。
【フリーランス】
神谷さんの参政党も共同提案に初めから入っていたが、神谷さんと並ぶということはありそうか。
【代表】
並ぶかどうかはわかりませんが、共同提案したチームですので、その点については一致できると思います。
【琉球新報】
衆参与党少数になることによって、協議することがまた増えてくるかと思うが、米軍普天間飛行場の名護市辺野古の移設に関して、野田代表は政党インタビューのほうでも中止をして議論していくということをおっしゃっていた。今後その部分で、辺野古移設、当初よりも予算が膨らんでいる部分も含め、どのように取り組まれていくのかお聞きしたい。
【代表】
予算が膨らんでいることとか、基盤が脆弱であることなどなどを含めて、我々は中止をすべきであると。そして、沖縄県民の気持ちをよく踏まえながらアメリカと協議をしていくということを公約で申し上げていますので、与党だろうが野党だろうが、言ってきたことは守っていきたいと思っております。
【TBS】
先ほども質問が出た内閣不信任案について伺いたい。代表は先ほど、内閣不信任案の提出については石破総理の進退の説明を聞いてからという話があった。確認だが、これは現状、民意として現状は衆議院に続き参議院でも過半数割れする見通しだが、外交問題でも代表は、関税交渉が合意に近づいていなくて遠ざかっているならば政権が存続すること自体が国難だという話もあった。総理の説明が不十分であれば不信任案については提出する方向という認識でよろしいか。
【代表】
続投というご意思があるとするならば、トランプ大統領との関税交渉についての言及も当然あると思いますので、それでどういうご説明をされるかどうかというのをよく確認をしていきたいと思います。
従来は、野党第1党として、国益を懸けた戦いでありますので、足を引っ張るのではなくお尻をたたくつもりでと言ってまいりましたが、国難を一層助長するような状況ならば、それはやはり我々としてもより強い気持ちで政権と対決せざるを得なくなっていく可能性もあります。これはとりあえずあしたの説明を聞きたいと思います。
(以上)