衆院憲法審査会が5月8日、「衆議院の解散」、特にその限界と制限の是非をテーマに開かれ、立憲民主党の谷田川元、山花郁夫、武正公一、柴田勝之の各議員が党を代表して意見を述べました。

谷田川議員は、衆院の解散をめぐる石破総理の過去の発言をまず取り上げました。憲法審査会の委員でもあった石破総理は昨年4月、「私は解散が総理の専権事項だとは必ずしも思っていない」と発言し、憲法7条による恣意的解散を批判。また、同8月の自民党総裁選立候補の会見で石破総理は、解散の時期に関して「全閣僚出席の予算委員会というものを一通りやって、この政権は何を考えているのか、何を目指そうとしているのかを、国民の皆さま方に示せたその段階」とも答えていました。
ところが石破総理による昨年10月の解散について、谷田川議員は「総裁選が終わった直後でご祝儀相場のうちに少しでも早い方が有利との判断でなされた」と指摘し、与党過半数割れとなった選挙結果を見れば「そういった石破総理の言行不一致に国民がおきゅうを据えたといえる」と分析しました。
その上で、谷田川議員は、内閣の解散権乱用を戒める保利茂元衆院議長の遺稿を引用して、「立憲民主党として、恣意的解散を抑制するための法案を準備している」と述べ、法案成立への協力を呼びかけました。
立憲民主党は本審査会から1カ月ほどたった6月10日、谷田川議員も提出者の一人となり議員立法「解散権濫用防止法案」(衆議院の解散に係る手続等に関する法律案)を衆院に提出しました。この法案は、解散予定日・理由の通知や4分の1以上の議員の要求での国会質疑の義務化、選挙期日について選管の意見聴取の義務化、などを内容とするものです。

山花議員は、他党の審査会委員が過去の衆院解散では総理が談話や記者会見などで解散理由を明らかにしてきたと発言したことに対して、「衆議院議員が一人もいなくなった状態で談話などを出すというのは、明らかに国会軽視ではないか」と批判し、国会に対する説明責任を強く求めました。

武正議員は、2024年の総選挙が解散から投票日まで18日しかなく、投票所入場券の遅配や、在外投票の投票率が過去最低を記録した事態が生じたことなどに触れ、「有権者の参政権を著しく侵しているといわざるを得ず、解散権の制約も含め工夫が必要」と訴えました。
柴田議員は前回の審査会で、2017年の臨時国会召集要求に対して安倍内閣が要求の98日後まで臨時会を召集せず、召集日に衆院を解散したため特別会が召集されるまで132日が経過していたのは憲法違反ではないか、との質問を行いました。

この質問に対して他党の委員が「合理的な期間を超えない範囲内で召集を決定した」と、今回の審査会で答えたため、柴田議員は「十分な答えになっていない」と批判し、「憲法改正について議論する前に、過去の事例が今の憲法に違反していなかったかどうかをまず十分に議論を尽くすべきだ」と強調しました。
