野田佳彦代表は10月7日、自民党新執行部の発足を受けて党本部で記者団の取材に応じました。

 野田代表は冒頭、「制御性T細胞」の発見で大阪大学の坂口志文特任教授が2025年のノーベル生理学・医学賞を受賞したことに、「心からお祝い申し上げたい。大変嬉しいニュース」だとコメントしました。

 自民党の新役員人事については、「こんなに麻生カラーが強い人事なのかという人事。高市カラーがまったくなく、麻生カラーに茂木カラーが散りばめられた、古い自民党の復活としか思いようがない。解党的出直しと言っていたが、派閥が復活し、加えて秘書が略式起訴されて罰金を受けた人が幹部に登用され、裏金の問題もなかったことにしてしまう、そういう出直しとしか思えない。この執行部に、われわれは厳しく対峙(たいじ)していく」と強い語調で述べました。特に萩生田氏の起用について鈴木新幹事長が、すでに処分措置が取られ、国政選挙で有権者の審判を受けたとの認識を示していることに、「甘いのではないか、反省がないのではないか。もっと慎重であるべきだっただろうと思う。それを、けじめがついたと判断していること自体、政治とカネの問題に対する反省がない執行部」だと断じました。

 仮に高市総裁が総理に就任した場合の閣僚人事をめぐり、派閥裏金事件に関与した議員が登用される可能性があることに、「もうすでに裏金議員が登用される閣僚人事の話の出てきていること自体が、ずいぶんとわれわれを舐めているのではないか。そうならないよう緊張感を持ってやっていきたい」とけん制しました。

 日本維新の会との幹事長・国会対策委員長会談を同日予定していることには、「首班指名選挙に向けた、いわゆる前さばきの議論をしてもらいたいと思っている。維新が一緒に動くとなると、180人台の人数になる。公明党さんがそのまま自民党の名前を書かなかったらかなり拮抗する状況であり、当然国民民主党など、その他の野党にも声かけしていくことで、今閣僚の話が出ていたが、『冗談じゃないよ』という状況は作っていけるのではないか」と述べました。

 連立を見直すという考え方が浮上している公明党の動きについては、「高市さんだけでなく5人の候補者ともに連立拡大論を言っていたが、連立を維持するための公明党に対する配慮があまりにもなかったのではないか」と指摘した上で、「連立拡大以前に連立維持で時間がかかるのではないか。その分心配なのは、政治空白がまだ続くということ。連立拡大ありきの前に、早く物価高対策をやる、あるいは補正予算を審議するなど自主的なことを早くやった方がいい。私は石破政権に早く(国会を)開いてほしい」と求めました。

 税制調査会の人事については、「比較的に財政規律を重んじる立場から、われわれの財源論についても注文をつけてくる人と理論武装しながら、対峙していくのは1つのやり方だと思っていたが、積極財政論の高市さんは赤字国債でもいいという考えを持つ人を選んでくるのか。ただ麻生副総裁も、義理の弟さん(鈴木俊一新幹事長)も財務大臣経験者で、一定程度の財政規律を考える立場なので、どういう人を選んでくるか注目していきたい」と述べました。

 新発10年物国債の金利が上昇傾向にあることと、高市新総裁誕生との関係性について見方を問われると、「関係しているのではないか」と発言。一方で、「株価が上がって歓迎ムードの人たちもいるが、円安に歯止めがかかっていないこと、金利が上がっていることは、もう1つのマーケットの出しているサインだ。緊張感を持って見守っていく」と述べました。