野田佳彦代表は11月14日、国会内で定例記者会見を開き、(1)「くらし・いのちを守り、賃上げを加速する緊急経済対策」(2)来週以降の国会審議の構えと、高市政権の台湾有事発言や日中関係をめぐる対応――等について見解を述べました。

(1)「くらし・いのち・賃上げ」の緊急経済対策
 野田代表は冒頭、「昨日のNCで、くらし・いのちを守り、賃上げを加速する緊急経済対策をまとめた」と報告しました。「10月の食料品値上げが3,000品目以上となり、食卓の危機的な状況だと思う」と述べ、円安や実質GDPが「6四半期ぶりにマイナスになる可能性がある」という状況を踏まえ、「経済対策を速やかに実行していくことが急務だ」と強調しました。対策の規模は、総額8兆9千億円規模で、基金からの活用や、外為特会の剰余金などによって赤字国債を発行しないという、責任ある財源案を示し、「規律を考えた責任ある経済対策だ」と述べました。一方で、政府・与党案については、「補正予算案が出てくることは来月以降だろうから、トゥーレイトだと思う」「規模は昨年を上回るなど、トゥービッグになりかねない」と批判し、「(われわれの)決定的な違いは、トゥーレイト・トゥービッグToo late・Too Bigではないということだ」と語りました。

(2)今後の国会審議と、高市政権の外交・安全保障発言について
 今後の国会対応については、「来週から各委員会が始まる」「この予算委員会の間に個別に閣僚が答弁に立つ機会があまり多くなかった」と述べ、「普段の言動からして大丈夫かなと思う人も複数名いらっしゃるので、しっかりとチェックしなければいけない」と強調しました。党首討論については、「委員会の審議などを見ながら、何を党首討論のテーマにするかということは来週中に固めていきたい」としました。
 高市総理の「台湾有事は存立危機事態になり得る」との答弁については、「かなり踏み込んだ発言」「従来の歴代の総理は個別具体的なところに即して総合的に判断するということに留めていた」と指摘し、「自衛隊の最高指揮官としては、あまり具体的に、ある種手の内を見せるようなことは言わなかった」「踏み込みすぎるということは、対外関係でもいろんな影響が出てくる」と懸念を表明しました。大阪総領事のX投稿には「とんでもない発言だと思うので、厳しく抗議しなければいけない」としつつ、今後のエスカレーションを防ぐための、冷静な判断の重要性を強調しました。また、高市総理の働き方については、自身が総理を務めた経験からも「一国の総理が睡眠2時間から4時間というのはちょっと短すぎる」、「セルフコントロールしてもらわなければいけないのではないか」とも語りました。

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野田佳彦代表記者会見

2025年11月14日(金)10時31分~11時05分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtube.com/live/FKzYlJuHXTc


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○「くらし・いのちを守り、賃上げを加速する緊急経済対策」について

【代表】
 昨日のNC(次の内閣)で、「くらし・いのちを守り、賃上げを加速する緊急経済対策」をまとめさせていただきました。まずは、その概括的なご説明から入りたいと思います。
 ことしの10月で食料品の値上げが3000品目以上となりまして、食卓のまさに危機的な状況だと思います。加えて、この物価高を助長するかのように、きのうも一時ではありますが為替が155円台を記録するなど、円安の基調が続いているという厳しい状況が続いています。そして、7-9(月期)のGDPの発表も間もなくだと思いますが、6四半期ぶりにマイナスになる可能性があるという状況で、これまでずっと継続的に進めてきた賃上げであるとか投資に陰りが出てくる可能性も出てまいりました。
 経済対策を速やかに実行していくということは急務だと思っているところでありますが、残念ながら、今、与党内・政府内での議論が行われておりますが、少なくとも補正予算が国会に提出をされるのは来月以降、下手をすると12月の中旬になりかねないという状況でございます。これは速やかに対策を実施しなければいけないという観点から、我々はきのうの段階でまとめさせていただいたところでございます。
 中身はスライドでもご覧をいただければと思いますが、「くらし・いのちを守り、賃上げを加速する」ということで、「『くらし』を守る」という部分については、本来、一番経済対策の柱に食料品の消費税ゼロ税率の実施を掲げておりますが、これは来年の10月1日施行と、実行ということになりますので、その間の物価高対策が大事になってまいります。その間の物価高対策として、「物価高・食卓緊急支援金」を導入するということとさせていただきました。対象は、中低所得者世帯で1人当たり3万円、(所得制限なく)全ての世帯のお子さん1人当たり2万円が支給されるというような枠組みになっています。これに加えて、地域の実情に応じた生活支援として、重点支援地方交付金(の拡充)。あるいは、暫定税率の廃止、関連支援等も盛り込ませていただきました。
 続いて、「『いのち』を守る」というところでございますが、こちらについては、経営困難な公立・公的、国立大学病院、あるいは民間などの病院に対して、これらについては病床単位で、診療所に対してはレセプト単位で、支援をしていこうということであります。また、全ての介護・障がい福祉施設に対する支援、訪問看護ステーションに対する支援、これは施設単位で行っていきたいと考えています。命に関わるという意味においては、公立学校の老朽化対策や体育館等の空調設備対策なども盛り込みましたし、最も今大きな焦点にもなっているクマ被害対策も盛り込ませていただきました。
 それから、「『賃上げ』を加速する」という観点におきましては、これは大きく枠組みで言うと、中小企業の支援ということと、介護や保育等々の従事者に対する賃上げなどを中心とした賃上げ加速をするという中身のものでございます。
 これら全部所要を合わせますと8兆9000億円規模になります。8兆9000億円規模でありますが、そのうち暫定税率の廃止は別枠で財源の手当てをするということでございますので、その分を差っ引いていくと7兆4000億円という総額になるだろうと思います。財源については、積み過ぎている基金からの活用であるとか外為特会の剰余金等々を活用することによって、赤字国債を発行せずという形になりますので、まさに規律を考えた、責任ある経済対策だと自負をさせていただいております。
 少なくとも、今、政府の案、自民党の案、あるいは維新の考えなども今表明をされていますが、いずれにしても先ほど申し上げたとおり補正予算案が出てくることは来月以降でしょうから、トゥー・レイトだと思います。トゥー・レイト。加えて、今聞こえてくるのは、規模は昨年を上回るなど、規模ありきで、これは経済財政諮問会議の意見、あるいは自民党内、維新の意見など、要は去年を上回ればいいというような、随分と、規模の大きい予算にすればいいのではないかという議論が続いていますが、トゥー・ビッグになりかねないと思っていますので、決定的な違いは、トゥー・レイト、トゥー・ビッグではないということであります。
 ということでご理解をいただければと思います。


■質疑

○「くらし・いのちを守り、賃上げを加速する緊急経済対策」について

【NHK】
 緊急経済対策の件で2点質問だが、まず1点目だが、トゥー・ビッグという話もあったが、ある種コンパクトにまとめたという見方もできると思う。その辺の狙いみたいなところを改めてお願いしたい。

【代表】
 即効性があるようにすることと、それから、コンパクトにまとめるというところに主眼を置いた経済対策であるということであって、何よりも、やはり即効性ですよね。効果的に早く実現しなければいけないだろうということに留意をして、そのためにはやはりめり張りの利いた中身にしていこうということにさせていただいています。
 政府のほうは、先ほどトゥー・レイトと言いましたが、我々も一部入っていますが、いわゆる重点支援地方交付金。お米券の問題などもみんなそちらにぶち込んでいこうという話ではないですか。年度内での対応というと、それは難しいと思いますので、そういうことも含めてトゥー・レイトだと思います。
 なるべく早く実施できるようにしていこうというのが我々の考え方であります。

【NHK】
 政府は一時、答弁では、プライマリーバランスを単年度ではなく複数年度とか、ちょっと財政規律のたがが外れるようなところもあると思うが、その辺のところは御党としては何か考えたところはあったりするか。

【代表】
 今のマーケットの動きは、株価ばかり注目されていますが、金利も1.7%近い状況ではありませんか。そこでたがが緩んだことをやるということは極めてリスクがあると思いますので、その辺も意識してやっていきたいと思っています。
 ただ、(首相は)プライマリーバランスの黒字化は単年度では追求していかないということを一回予算委員会で言いましたが、この間、馬淵さんとのやり取りの中では、2025年度から26年度にかけてのプライマリーバランスの黒字化については旗を下ろさないということもおっしゃっているので、旗を下ろさないのにどんどん積み上げて規模ありきでやると、それを守ることができなくなると思いますね。守ることができなくなったときのマーケットの反応なども考えなければいけないのではないかと思います。
 きのうNCの前でも申し上げましたが、これはあまり規律を緩めたようなやり方をすると、それこそマーガレット・サッチャーではなくリズ・トラスになりかねないと思いますので、そういうことはあってはいけないと思いますので、私どもはきちっと一定の規模の中で効果的な政策を考えるということをさせていただきました。

【NHK】
 もう一点だが、これを実現するにはやはり与党との協議であったり野党との連携だったりが必要だと思う。国会審議も欠かせないと思う。どのように今後実現して目指していきたいか伺いたい。

【代表】
 まず我々の考え方をまとめて、その上で野党にも賛同を求めていく等々。そして、政府がどういうものを出してくるか。その対比の中で、どういうやり方で自分たちの要求が、考え方が生かされていくのかということを見ながら、総合判断していきたいと思います。

【時事通信】
 今の質問に関連して。野田代表としては、今回まとめた経済対策の内容を政府の補正予算案に修正して入れ込んでもらうというような交渉も視野に入っているのか。

【代表】
 政策実現が一番大事だと思いますので、どういうやり方をすればいいのかということは、政府案との対比の中で判断をしていきたいと思います。生かして盛り込むことができるのかなども含めて、よく考えていきたいと思います。

【時事通信】
 そういう交渉をもしされる場合に、特に重視している項目というのはあるか。

【代表】
 それは相手との対比の中でということですが、それぞれやはり重要だと思っています。重要だと思っていますが、その中の重要なポイントがきちっと生かされるかどうかを判断していきたいと思います。

【共同通信】
 給付金に関してだが、与党は否定的な見解を示しており、それでもやはり必要だと思われた意義を改めて伺いたいのと、この給付金によって国民生活にどのような影響があると、どういう狙いがあるのか改めてお願いしたい。

【代表】
 3か月、政治空白が続いてきた間、物価高対策って何もないんですよね。先ほど言ったように、政府の考え方がまとまって国会に補正予算として提出されるのも来月以降で、その実施となると、年内実施というのはたぶんほとんどないと思うし、年度内の実施も厳しい状況だと思います。
 我々はやはり今は食卓の危機だと思っていますので、特に食料品の値上がりが顕著ですので、食料品に限っては消費税をゼロにするということが一番ベースに置いてあるのですが、税制改正を伴って、いざ実施となると、来年4月1日というのは無理なので、10月1日にしていますよね。そうすると、その間に有効な物価高対策が何もないと。政府は給付金はやらないと言っているけれども、では、実効性のある、効果のある、即効性のある政策は何なのかというと、何もないということは、これはやはり今の現状からすると国民生活が逼迫すると思いますので、その意味からも何らかの給付金が必要だと思いました。
 その何らかの給付金として、今回は消費税のゼロと整合的に、食卓の支援と急激な物価高に対応するという位置づけの給付金をつくろうということとさせていただきました。

【日本経済新聞】
 「はじめに」の部分で、「生活必需品である食料品の消費税ゼロ%こそ、国民の期待に応える本気の物価高対策」と記載がある。高市総理が予算委員会で、恒久財源が5兆円あれば消費税の軽減税率0%にしたいとも話しているが、この部分、高市さんとは考え方が一致している、重なりもあるのかなと見て取れるが、こちらの部分は政府にどう実現を迫っていくか。お考えを伺いたい。

【代表】
 「自民党に怒られるかもしれませんが」という何か妙な注釈つきでお話しされていましたが、やはり本音は、ことし5月23日の自民党税調の勉強会の後に言われたように、食料品の消費税0%については推進をしたいお立場なんだということが改めてよくわかりました。
 恒久財源が5兆円あればという質問でありましたが、我々も一定の財源を示しておりますので、一緒に知恵を出して考えましょうという中で、ぜひ実現にご賛同いただいてご協力いただければありがたいなと思います。

【日本経済新聞】
 もう一点。公明党も経済対策に向けた政府への提言案をまとめているが、その中で、消費税などの減税の断行や即効性のある給付の実施が盛り込まれる予定だ。重なる政策もあると思うが、公明党との関係ではどのような連携を考えていきたいか伺いたい。

【代表】
 まず我が党の考え方がきのうの段階で整理されましたので、これをもって各党にもご理解を求めていくという中で、公明党とのそうした連携というものも考えていきたいと思います。

【朝日新聞】
 支援金のところで伺いたい。夏の参院選の公約では国民一律2万円の給付を掲げたと思う。国民の食卓があまねく物価高に苦しんでいるという状況は今も変わらないと思うが、その中で今回絞った理由をもう少し明確にお願いしたい。

【代表】
 一つには、対象を中低所得者という絞り方にしました。さすがに高所得の人は外すほうがいいだろうという絞り込み。かといって、今までの住民税非課税世帯みたいなところではちょっと限りがあると思いますし、ワーキングプアの皆さんがいつも対象になっていなかったなどを考えて、やはり中所得者の皆さんも今回の物価高については苦労されているということから、想定では(4人家族の場合で)年収700万円以下を対象に、大体各世帯の6割ぐらいが対象にはまるような、そういう枠組みを考えたということです。

【朝日新聞】
 あと一点。この重点支援地方交付金のところになると思うが、政府はこのメニューの中で、いわゆるお米券とかプレミアム商品券を念頭に置いた対策の策定を進めていると報じられている。立憲はこうしたチケットを使った対策はないと思うが、政府のこうしたチケットを使った対策についてどう考えているかと、現金給付のほうが、今回のこの支援金のほうがどう効果があるのか、その点をお願いしたい。

【代表】
 これは重点支援(地方交付金)のところに我々も一定規模のやつは入れておりますが、あまり何とか商品券とかお米券のようなやり方までは含めていませんよね。果たしてそれは本当に効果的なのかどうかというのはよく検討しなければいけないと思いますし、どちらかというと懐疑的な立場でありますので、ストレートに支給されるような、現金が支給されるようなやり方のほうが望ましいという考え方を取っています。しかも、これはほとんど自治体の判断になるわけでしょう。そこまで全て任せていいのかどうかということも含めて、やはり整理しなければいけないと思っています。
 すみません、先ほどの年収700万円以下は、4人家族という対象だと。正確性を期してくれという要請がありました。

【「FACTA」】
 数を数えたら丸が25個ある。例えば2番目の「いのち」の頭のところなどは幾らぐらいお金を投じるとか、めり張りが利いていないと、25あって、どこに本気でやるのかというのが、これは優先順位に並んでいるのか。クマは一番下でもいいが、「賃上げ」も1.4兆で11もあるが、では、それで手取りが増えるのかなと思うと、何か中小企業に最低賃金のところに払っているのかなとか。1兆円以上お金をここにつけようみたいな思いがあるのは、食料品と物価高のところは別だが、この病院のところなどはどれぐらいの規模でどういうことをやろうとしているのか、もう少しご説明いただきたい。

【代表】
 「『くらし』を守る」のところの一番の大宗というのは「物価高食卓緊急支援金」で、これが大体2.7兆円ぐらいと見ていますので、これが一番大きい金額になるだろうと思います。
 それから、「『いのち』を守る」というところでは、これはもう圧倒的に、経営困難な病院・介護施設等に対する支援で、これが2兆円程度ですから、もうほとんど「『いのち』を守る」のところの圧倒的に大宗を占めるのはここの部分、医療機関等々への支援というところになるということであります。
 それから、「『賃上げ』を加速する」のところでは、賃上げ加速自体が大体1兆数千億円という中ですので、その中で一番大きいのは、この中にも医療従事者と介護福祉従事者の処遇改善が入ってくるのですが、それが5000億円を超えるという規模になります。この辺りが一番大きい金額になるだろうと思います。

【「FACTA」】
 これはまさに病院支援と病院で働く人のところに3兆円近く入れるというふうにペーパーをつくってくれればわかるが、25個並んでも、これを見て、それぞれ支援団体があるからでしょうけれども、やはりそこが肝なのではないか。そこについて、本庄さん、大丈夫なんですか。

【代表】
 一応、全部数字が出ているんですよ。もちろん積み上げて総額にするわけで、項目別にあるのですが、それを出すかどうかはちょっとよく検討したいと思います。

【「FACTA」】
 たぶん病院なんかだったら自民党も乗ってくると思うし、主導権が取れる案件だと思う。そのときに最初に幾らだとちゃんと言ってくれないと、ということです。

【代表】
 貴重なアドバイスとして受け止めたいと思います。

【毎日新聞】
 給付金の部分で伺いたい。先ほど中低所得者に絞った理由についてのお話もあったが、元々一律2万円のときは、課税対象にすることで、ある種、給付付き税額控除の理念に基づいた考え方だというようなお話もされていたかと思う。今回は課税対象ではないと伺っているが、一番ある意味目標としている給付付き税額控除への道筋みたいなものを改めて今どのように考えているかお願いしたい。

【代表】
 給付付き税額控除についての道筋は、今、石破政権下で自民党・公明党の皆さんと政党間協議を始めましたよね。一回やって、今度またやろうという話が出てきていますので、しっかりと給付付き税額控除の道筋をつくるための議論は深めていきたいと思います。それはそれでしっかりやっていきたいと思っています。

【毎日新聞】
 その自公立3党の協議というのは、また改めて引き続きやっていくということは、もう確認されているということか。

【代表】
 確認はしています。
 問題は、この間の代表質問にも関わることでありますが、その先に国民会議を置いてという議論を自民党は考えているようでありますが、その先どうするかということは、会議体の設置の仕方は、我々は国会に置くべきだと。今の3党協議の延長線上の中に他党にも呼びかけていくというのがあるべき姿だと思っています。政治主導でやっていくという意味においては。
 そこのちょっと整理の仕方はありますが、3党でやってきている協議自体は引き続きやっていこうということになっています。その間、その先の位置づけは議論していかなければいけないと思っています。

【日本テレビ】
 経済対策に関連して伺いたい。経済対策というと、書いているような給付金や賃上げというものをすごくイメージすると思うが、今回「『いのち』を守る」という部分も大きな柱に入っているかと思う。この「『いのち』を守る」ことと経済対策がどう結びつくのかという辺りを少し詳しく説明いただきたい。

【代表】
 「『いのち』を守る」という中で、いわゆる病院とか教育施設とか、経営困難になっているところが経営が安定してできるようになっていくということは、これは一種の経済対策だと思いますし、そこにお金を投ずるということが、いろいろな波及効果が出てくるという意味では、広い意味の経済対策になってくると思います。当然それぞれ補正予算に生かしていくということでありますので、経済波及効果も狙いながらの対策の一つの項目になっているということです。

○国会審議 「各委員会審議」「党首討論」に向けて

【共同通信】
 国会で予算委員会が今週終わり、来週からは各委員会の審議になっていく。閣僚の資質に問題があるような人もいるという指摘を代表もされていたが、来週以降の国会審議にどう臨んでいくかと、再来週には党首討論も予定されている、取り沙汰されているが、そこにどういうふうに向かっていくか。意気込みも含めてお願いしたい。

【代表】
 きょうで予算委員会が終わりということですので、来週から衆参で各委員会の店開きが始まると思いますが、どの大臣がどうのとまでは言いませんが、この予算委員会の間に個別に閣僚が答弁に立つ機会があまり多くなかったもので、やはり改めてその資質を確認しなければいけないし、普段の言動からして大丈夫かなと思う人も複数名いらっしゃいますので、そういうことはやはりしっかりとチェックしなければいけないだろうと思います。それぞれの委員会でやはり重要な政策がたくさんありますので、そういう大きな争点を含めてお考えをただしていくということの、まずスタートになると思います。
 そういう委員会の審議などを見ながら、何をもって党首討論のテーマにするかということは、来週中に固めていきたいと思います。今はまだ白紙の状態であります。

【共同通信】
 予算委員会での高市さんの答弁ぶりというか、本格的な論戦があったが、それはどう見られたか。

【代表】
 ご自身がいろいろなお考えを持っていらっしゃること、そして、それをわかりやすく説明しようとされる努力をしているということはうかがうことができたと思いますが、ただ、やはり勇み足が多くて、勇み足した分を後で修正するというパターンが多いので、その辺の考え方がどう定まっていくか。やはり国のトップですので、あまり勇み足があると、逆に言うと国益を損ねる部分もありますので、その辺はよくチェックしていきたいと思います。

○地方行脚 熊本訪問の予定について

【フリーランス】
 代表はあす熊本を訪問されると、ネット上でも鎌田聡さんと青空ミーティングをするという告知も既に載っている。鎌田さんも取り組んでいる問題だが、長射程ミサイルが年内に配備される計画の陸上自衛隊健軍駐屯地もおそらく代表は訪問されるのではないかと思うが、本当に市街地のど真ん中にある駐屯地で、この間も、11月9日に、すぐ近くの健軍商店街で長射程ミサイル配備に反対する集会が開かれた。地域住民の方を中心に約1200人が参加し、商店街が人でいっぱいになっていたが、その後、駐屯地までパレードし、ミサイルの配備に反対して地元での住民説明会の開催を求める内容の集会宣言を自衛隊まで行って提出された。代表は、この集会宣言をお読みになったかということが一つ目。それから、もし健軍駐屯地を訪問されるのであれば、どのような視察をしたいか、どのような確認をしたいのか伺いたい。

【代表】
 随分具体的にお話しされましたが、そういう予定はないです。

【フリーランス】
 予定がないというのは、熊本に行く予定がないということか。

【代表】
 熊本は行きます。健軍商店街で街頭に立つというのは聞いています。ただ、今の、自衛隊のところをお訪ねするという話は聞いていません。

【司会(事務局)】
 そういう予定はないです。

【代表】
 ありません。鎌田さんからも、そういう動きがあるならば、あしたいろいろなご説明があるかもしれませんが、現時点では聞いていません。

○存立危機事態に関する首相答弁について

【フリーランス】
 7日と11日の衆議院の予算委員会で、岡田議員と大串議員が相次いで、存立危機事態に関して、集団的自衛権に基づく行使が台湾有事ということであるかもしれないということで、そのことについて質問された。台湾有事は存立危機事態であるという、従来から踏み込んだ回答を高市首相がされ、その撤回を求めるような質問もあったが、大串議員は特に集中審議を今国会で求めるということだった。存立危機事態になればミサイル対ミサイルの戦争勃発になりかねない、非常に危険な発言だと思うが、この間の国会審議をどのように受け止め、集中審議で高市政権に対してどのようなことを追及したいか、今の時点での代表のお考えをお聞きしたい。

【代表】
 まだ集中審議は決まっていませんので、それをどうするかということはまだ何とも言えませんが、委員会審議等々、チャンスがあるならば。やはりかなり踏み込んだ発言でしたので。
 従来の歴代の総理は、やはり個別具体的なところに即して総合的に判断するということにとどめていて、あまり具体的に、自衛隊の最高指揮官としてはある種手のうちを見せるようなことは言わなかったですし、踏み込み過ぎるということは、いわゆる対外関係でもいろいろな影響が出てきます。その悪影響が出つつあるということはこれは間違いないと思いますので、踏み込み過ぎた発言については、それを改めて真意を問うということは、チャンスがあればやっていきたいと思います。

【フリーランス】
 集中審議は一応求めていくという方向で考えていらっしゃるか。

【代表】
 それはちょっと国対と相談でありますので。

○日中関係について(1)

【時事通信】
 先ほどの質問にも関連するが、例の高市首相の台湾有事は存立危機事態になり得るとの国会答弁について、昨日、中国の外務次官が日本の在中国大使を呼び出し抗議するということがあった。日本側としては大阪総領事のX投稿にも反論したということだが、まさに代表がかねておっしゃっているような外交的な緊張のエスカレーションにつながるのではないかという状況が起きつつあると思うが、この件についてどのように受け止めているか。

【代表】
 日中首脳会談自体は、最初のファーストコンタクト自体は、戦略的互恵関係などウイン・ウインの関係で行こうというところで、ひとまずはいいスタートを切ったかと思うのですが、残念ながら今こういう事態になっているということの中では、やはり国会での答弁で踏み込み過ぎてということだと思います。
 ただ、そうは言いながらも、あの大阪総領事の発言は、極めて品のない、とんでもない発言だと思いますので、それは厳しく抗議しなければいけないと思います。

○高市首相の働き方について

【「FACTA」】
 87年のとき、先生は千葉県議選で、そのときにボランティア、30、40人でやったと聞いたが、その中で最もよく頑張った一人が高市さんだったと。これは事実なんですよね。

【代表】
 そうですね。

【「FACTA」】
 そういう先輩総理でもあるわけだが、今回、衆参の予算委員会であれだけやったが、後輩と見て何点ぐらいというか、どういう評価だったか伺いたい。なかなかやはり歴史に残るような、女性の総理としてはやはり印象に残るので、みんな見たと思うが、先輩としては、2時間か4時間くらいしか寝ていないようだが、率直にどう思われるか伺いたい。

【代表】
 「働いて、働いて、働いて」「馬車馬のように」と表現をされていましたが、およそ40年ほど前もそういうガッツのある運動員でありましたので、変わらないなと。相変わらず頑張り屋だなと思いますが、でも、一国の総理が睡眠2時間から4時間というのはちょっと短過ぎると私は思います。
 高市さんにも党首会談で10月15日に会ったときにアドバイスとして申し上げましたが、船橋洋一先生の「宿命の子」というご著書があるではないですか。あの本の前段のほうの部分で、(安倍元首相が)第1次政権のときには体調を崩されて一線を退かれたわけですが、第2次政権をつくるに当たって、極めて近しい、官邸官僚になるような側近の皆さんが(政権運営の注意点に関する)メモを出しているのですが、休むときには休むと、セルフコントロールこそ大事だよということが書いてあるんですね、そのメモの中で。あれをもう一回読んだほうがいいよと、見たほうがいいよとアドバイスをしておきました。
 やはり一国の総理ですから、本当にセルフコントロールしてもらわなければいけないのではないかと思います。

○日中関係について(2)

【日本テレビ】
 日中関係に関連して伺いたい。大阪総領事の発言に関連して、与党側からは政府に対して、総領事をペルソナ・ノン・グラータに指定すべきだという申入れも行われている。立憲民主党としても、このような対応を取るべきだと思われるか。また、今後そういった申入れを政府側にしていく可能性があるか伺いたい。

【代表】
 党内で今そういう検討をしているとは承知していません。
 とんでもない発言であることは間違いありません。それに厳しく抗議するということも当然だと思います。ただ、国外退去まで求めるようなことになると、そこまでエスカレートしていいのかどうかという判断もどこかで冷静にしなければいけないだろうと思いますので、これは私の個人の意見ですが、党内ではそういう議論は現時点でしているとは聞いていません。

(以上)