参院予算委員会で3月18日、「令和8年度予算案」についての一般質疑が行われ、立憲民主党の杉尾秀哉、村田享子両議員が質問に立ち、高市総理をはじめ関係閣僚に質問しました。
杉尾秀哉議員

杉尾議員は(1)ホルムズ海峡への自衛隊派遣と日米防衛協力(2)物価高騰とガソリン価格抑制策(3)エネルギー政策と不正疑惑(4)松本文科大臣の週刊誌報道――を軸に政府の姿勢をただしました。
(1)ホルムズ海峡への自衛隊派遣と日米防衛協力
杉尾議員は、トランプ大統領がSNSで日本を名指しし、ホルムズ海峡への艦船派遣を求めた件を追及しました。高市総理は「正式な要請はない」と繰り返す一方、小泉防衛大臣は非公式な打診の有無について「外交上のやり取り」を理由に明言を避け、含みを残しました。 杉尾議員は、2019年の派遣が「停戦合意」を前提としていた点を引き合いに、戦闘状態にある地域への安易な派遣は法的根拠に欠けると指摘。「できないことはできないとはっきり伝えるべきだ」と、19日の首脳会談での毅然とした対応を求めました。また、米国の次世代ミサイル防衛構想「ゴールデンドーム」への参加表明が取り沙汰されている点に関し、数10兆円規模とも言われる巨額の国民負担に強い懸念を示しました。
(2)物価高騰とガソリン価格抑制策
地方での深刻な物価高をめぐり、杉尾議員は長野県内のスタンドでレギュラー価格が200円を超えている実態を提示しました。赤澤経済産業大臣は激変緩和措置により「170円程度への抑制」を目指すと答弁しましたが、杉尾議員は「在庫の回転が遅い地方や中山間地域への波及が遅れる」と即効性の欠如を批判。中東情勢の緊迫化による「第3次オイルショック」の懸念も踏まえ、予備費頼みの対応ではなく、物価高対策を柱とした暫定予算や早期の補正予算編成を強く要求しました。片山財務大臣は令和8年度予算の早期成立が最善との認識を示しましたが、杉尾議員は国民生活の窮状に即した財政支援のあり方を厳しく問いました。
(3)エネルギー政策と不正疑惑
2050年のカーボンニュートラル目標に対し、杉尾議員は「道筋が見えない」と政府の姿勢を批判。その中で発覚した浜岡原発のデータ不正問題について、山中原子力規制委員長は「極めて深刻で重大」とし、事実確認次第では「設置許可取り消し(廃炉)」の可能性にも言及しました。杉尾議員は、安全軽視の姿勢が続く中での原発再稼働推進に強い疑問を呈しました。 さらに、EV普及の裏で動く「補助金水増し疑惑」を公益通報に基づき追及。中部電力子会社と「エネチェンジ」社が、ダミー会社を介して充電器価格を11万円から31万円へ釣り上げ、国から100億円規模の補助金を不適切に受給している疑いを指摘しました。東京都が既に規定を見直し、利益排除に動いている事実を突きつけ、経済産業省のずさんな審査と監督責任を厳しく追及。「公金をむさぼるスキームを放置すべきではない」と、過去の交付分を含めた徹底調査と返還検討を強く迫りました。
(4)松本文科大臣の週刊誌報道
杉尾議員は、質疑直前に公開された週刊文春の続報を取り上げました。記事中で女性が「不適切行為」や「虚偽証言の強要」を赤裸々に告白している点を指摘し、衆院での「意見交換しただけ」という大臣答弁との矛盾を追及。松本大臣は「相手があること」と終始逃げの姿勢を貫き、書面回答すら拒否しました。杉尾議員は「教育行政のトップとしての資質は皆無」と断じ、高市総理の任命責任を厳しく問いました。
村田享子議員

村田享子議員は、(1)レアアース資源の確保と国内企業への支援(2)造船業の再生と若手人材の育成(3)通勤手当の社会保険料算定からの除外――等について質疑しました。
(1)レアアース資源の確保と国内企業への支援
村田議員は冒頭、日米首脳会談の議題として報じられている重要鉱物の共同開発について質問。高市早苗総理は「2025年10月のトランプ大統領来日時から資源開発の協議を進めており、2026年2月からは南鳥島周辺海域を含む海洋鉱物資源開発に関する具体的な議論を開始した」と明らかにしました。一方、商業化の時期について村田議員が問うと、赤澤経産大臣は「採取コストの削減や生産プロセスの確立が課題であり、具体的な時期を示せる段階にない」と答弁。村田議員は、3月11日に行われた参院の資源エネルギー持続可能社会に関する調査会では「商業化には10年かかる」との見解が出ていることを指摘し、当面の供給不足に対する危機感を強調しました。さらに村田議員は、特定国(中国)への過度な依存が「武器化」されている現状を指摘。片山財務大臣は、1月のG7財務大臣会合で「特定国への依存は負であり、武器化であるとの認識で一致し、不当なダンピングに対抗するための最低価格制度(プライス・フロア)等の議論が閣僚間で進んでいる」と報告しました。国内の状況について村田議員は、レアアースの供給不足により東北の工場が稼働停止に追い込まれている実態を挙げ、中小企業へのセーフティーネット貸付や経営相談、JOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)による国家備蓄の放出を求めました。赤澤経産大臣は、個別企業の相談に応じ、適切に対応する考えを示しました。
(2)造船業の再生と若手人材の育成
続いて村田議員は、経済安全保障に直結する造船業について質問しました。金子恭之国土交通大臣は、「2035年までに官民で1兆円規模の投資を目指しており、建造量を2024年比で2倍の1800万総トンまで引き上げることを目標に掲げている」とロードマップを説明。しかし村田議員は、2021年の海事産業強化法成立時の目標では「2025年に1800万総トン」とされていたことを指摘し、目標が大幅に後ろ倒しになっている理由の検証を求めました。現場の人手不足対策として、村田議員は工業高校の重要性を強調。松本洋平文部科学大臣は、公立高校の魅力向上に向けた3000億円の基金による「パイロットケース」の創出を掲げましたが、村田議員は「特定の選抜校だけでなく、全ての専門高校に支援を広げなければ格差が広がる」と指摘しました。また、高校生の就職活動における「1人1社制」の見直しについても、生徒の主体性を尊重する観点からさらなる議論を促しました。
(3)通勤手当の社会保険料算定からの除外
村田議員は、現役世代の手取りを増やす具体的な施策として、通勤手当に対する社会保険料の課税問題をただしました。現在、通勤手当は所得税法上は一定額まで非課税である一方、社会保険料の算定には「報酬」として含まれています。村田議員は「自分の懐(所得)が増えない実費弁償的な手当に社会保険料がかかることで、手取りが減っている」と指摘。上野賢一郎厚生労働大臣は、算定から除外した場合の保険料収入の減少や、手当のない労働者との不公平性などを課題として挙げました。村田議員は、この問題が昭和54年(1979年)の国会でも議論され、歴代政権が「検討」を続けながら45年以上放置されてきたことを指摘。「テレワークの普及など働き方が多様化する中、現場に通わざるを得ない労働者にのみ負担がかかるのは不公平だ」と述べ、社会保障制度全体への納得感を得るためにも、速やかな見直しに着手するよう高市総理に強く迫りました。高市総理は「全ての世代、また全ての所得層それぞれに不公平が生じないよう慎重な検討が必要、納得感を持ってもらえるよう厚労省で検討を深めさせていただく」と答弁。村田議員は、働く者の実感を踏まえたスピード感のある改革を求め、質疑を終えました。
