立憲民主党など野党は2月27日、旧統一教会問題に関する第40回目となる国対ヒアリングを実施しました。今回は、(1)被害対策弁護団が22日に行った返金請求(2)合同結婚式――等について被害者と被害者弁護士連絡会、ジャーナリストの方からヒアリングを実施。関係省庁からも話を聞きました。

■被害対策弁護団が22日に約16億1千万円の返金請求

 全国霊感商法対策弁護士連絡会の一員であり、全国統一教会被害対策弁護団事務局次長の阿部克臣弁護士は、弁護団が22日に旧統一教会に対し、元信者や親族50人が献金や物品購入等の財産的損害と精神的損害を受けたとして約16億1千万円(損害額約14億6千5百万円と慰謝料1割)の返金と面談を求める通知を行ったことを説明しました。今回、訴訟ではなく集団交渉とした理由について、「訴訟はかなり時間も負担もかかる。まずは話し合いで解決したい」と述べました。さらに今後、準備が整い次第、第2、第3の申し入れを行っていくと語りました。

20230227_100444_re_rez.JPG

■返金請求を行った松田さん

 関西在住の松田さん(仮名、80代女性)は、被害額約1億4千万円(うち教会は約1億円、近代易学協会が約4千万円)で、被害時期は全て教団のコンプライアンス宣言後のもの。夫が病気で入院する頃に声をかけられ勉強会のようなものに参加。宗教・旧統一教会であることを知らされず「病気がよくなるから」と言われ入信。夫が亡くなり遺産や生命保険金からの献金。先祖解怨(先祖供養)名目での献金や先祖ではない江戸時代の儒学者の「特別解怨」もさせられました。

20230227_101843_01_re_rez.JPG

■返金請求を行ったA子さん

 東京在住のA子さん(仮名、女性)は、8年前に入信し、合計1千400万円の献金被害。入信のきっかけは、駅で優しそうな女性2人から「心配なことはありませんか」と声をかけられたこと。次に勉強会に連れて行かれた時も宗教や旧統一教会といたことは明かされず、たびたび通うようになり家系図や先祖の因縁の話などを聞き、自分の境遇にあてはまると思い信じてしまったと語りました。その後、さまざまな名目で献金しななければならず、献金ばかりで何かおかしいとは思っていたとのこと。安倍元総理の事件をきっかけに不信感を持ち、騙されていたのではないかと目が覚めたと語りました。

20230227_102731_01_re_rez.JPG

■違法な勧誘で入信させられ合同結婚式への参加を強要された多田文明さん

 多田文明さん(ペンネーム、元信者で現在はジャーナリスト)は、1987年に入信し、92年合同結婚式に参加。96年に脱会し、99年に違法伝道訴訟を起こしました。この訴訟は、違法な勧誘で入信させられ、合同結婚式への参加を強要されたとして起こしたもの(2002年東京地裁で違法があると判断。高裁、最高裁を経て確定)。最近は相手を選べる余地があると聞くが変わっていないと指摘。「あくまで余地があるだけ」「(教義上)結婚相手を見つけることができない」「教会信者と教義を受け入れた人とのカップリングが前提」と述べました。

20230227_103618_01_re_rez.JPG

※今回のヒアリングは、被害者保護の観点から、松田さん、A子さんについては顔出し不可(モザイクのかかった写真・映像も不可)・音声は変え、多田文明さんは顔出し可・音声もそのまま。またヒアリングのライブ配信や録画の配信は不可としています。