自民党派閥の裏金問題とは、国会議員が自分のノルマを上回る分のパーティー券の売上を派閥から還流(キックバック)してもらい、それを政治資金収支報告書等に記載せず、裏金としていたという問題です。加えて、キックバックで得たお金は所得に当たると考えられるにもかかわらず、自民党のほぼすべての「裏金議員」は政治資金収支報告書を訂正しただけで、今に至るまで所得税を納税していません。

 また、政党が支出する「政策活動費」も国民の監視の目が届かないお金です。自民党では、幹事長に5年間で計50億円もの政策活動費が支出されていたこともわかっていますが、そのお金を何にいくら使ったか、報告する義務はありません。政治資金規正法は、政治活動にかかるお金のやり取りが「国民の不断の監視と批判の下に行われるようにする」(第一条)ことを目的の一つとしているにもかかわらず、国民の不断の監視と批判の目が届かないところで政治家が極めて不透明なお金のやり取りをして、場合によっては政治資金規正法のルールも守っていなかったのです。

 立憲民主党は、第213回通常国会に「政治資金透明化法案」を国民民主党、衆院会派の有志の会と共同で提出しました。この法案は政治資金規正法の理念に立ち返り、政治資金の流れが国民の不断の監視と批判の下で「見える化」されるよう、徹底した透明化を実現するものです。

 政治資金の外部監査の強化として、登録政治資金監査人が行う外部監査の対象の政治団体に「政党本部」「政策研究団体(いわゆる派閥)」を追加し、支出だけでなく収入部分も監査することとします。

 収支報告書のデジタル化では、現在は紙で提出する政治資金収支報告書はオンラインでの提出を義務付けた上で、提出された紙媒体を電子データ(PDF)にするだけの「なんちゃってデジタル化」ではなく、インターネットを利用して横断的に検索、一元的に閲覧できるように公開します。

 政策活動費については、政策活動費そのものを禁止し、政党から公職の候補者個人に対する寄付も、役職員・構成員に対する渡切りの方法による経費支出も禁止します。立憲民主党は2022年8月から政策活動費を1円も支出していませんが、全く問題は生じていません。

 残念ながら第213回国会では私たちが提出した政治資金規正法改正案は成立せず、自民党が提出した抜け穴だらけの改正案が成立しました。これを廃止し、実効性のある政治改革を実現するため、第214回臨時国会で改めて「改正政治資金規正法廃止法案・政治資金透明化法案」を2党1会派で提出しました。直後に衆議院が解散され、法案は審議されませんでしたが、立憲民主党は総選挙で「最大の政治改革」である政権交代を実現し、政治資金の流れが国民の不断の監視と批判の下に行われるよう、徹底的に「ガラス張り」にして「見える化」します。