ハラスメントは、個人の尊厳や人格権を傷つける行為で、許されるものではありません。さまざまなハラスメントが社会問題として取り上げられるようになり、労働者に対するパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティーハラスメントについては、改正労働施策総合推進法、雇用機会均等法、育児介護休業法により、事業主に防止対策が義務付けられています。また、2024年10月には、東京都が全国初のカスハラ防止条例を制定しました。しかし、現行法制では包括的にあらゆるハラスメントを禁止してはいません。
政治分野においてもハラスメントは深刻です。内閣府男女共同参画局の「女性の政治参画への障壁等に関する調査研究報告書」(2021年3月)によると、ハラスメントを受けたことのある地方議員は、全体で42.3%、女性に限ると57.6%にものぼりました。
選挙の際に、有権者が投票や支援することをちらつかせて候補者にハラスメントを行う「票ハラ」は、2019年頃から報道されるようになり、同年4月には衆院本会議でも「票ハラ」が取り上げられました。
議員は圧倒的に男性が多く、議会はいまだ男性社会です。選挙中にセクハラを受けたり、議会で他の議員から「女のくせに」と馬鹿にされたりするなど、ハラスメントは女性に対するものが多いのが現状です。
政治分野におけるハラスメントの実態が明らかになり、2021年6月に候補者男女均等法が改正され、議員や候補者に対するセクハラ、マタハラ等への対応が明記されました。
候補者男女均等法改正を受け、2022年に全国の都道府県で初のハラスメント防止条例を制定した福岡県では、条例により設置した相談窓口で助言を受け、ハラスメントの解決に至った事例があります。福岡県議会の相談窓口は、県議会議員だけでなく、候補者や県内の市町村議会議員も対象にしており、地域が一体となってハラスメントに対する理解を深めている点が特徴です。
上記の報告書でも、議員向け研修、ハラスメント防止のための倫理規定等の整備、相談窓口の設置などが、議会内でのハラスメントをなくすために有効な取り組みとして挙げられました。
国、地域の代表を選ぶ選挙の現場や、国全体・地域に関わることを決める議会で、ハラスメントを許さないと毅然と対応することは、社会の意識を変えていく力になります。議会からハラスメントをなくしていく取り組みが重要です。
立憲民主党では、国会議員向けのハラスメント研修を実施するとともに、ハラスメント対策指針を制定し、相談窓口を設置しています。日本の社会をよりよくしていくためには、政治の世界に多様な人材が不可欠です。議員に対するハラスメントを防止することで、どんな人でも安心して立候補ができ、安心して政治活動が続けられるよう、これからも取り組みを続けます。