「社会貢献の一つ」「世界各国でも同様のことが行われている。何が問題なのか」。昨年、日本のある経済団体のトップが自民党側に年24億円もの献金をしていることについて記者会見で聞かれた時の発言です。日本には国民1人当たり250円を政党の議席数に応じて配分する政党交付金制度があり、また政党に直接、企業や団体が献金を行うのは禁止されているにもかかわらず、多数の企業や業界団体が、巨額の献金をしているのが実状です。

 こうした企業・団体献金の受け皿になるのが「政治資金団体」です。これは、政党のために資金上の援助をする目的を持つ団体で、政治資金規正法にも定められており、政治資金収支報告書の公開も義務づけられています。自民党は政治資金団体を通じて、多くの企業・団体からの献金を受け取っており、それらが公開されるという透明性の部分では問題ないものの、それ以上に、特定の企業や業界団体から多額の資金を得ていることにより、資金力のある企業や業界の意向に配慮せざるを得ず、政治や政策決定がゆがめられるのではないか、という懸念があります。

 日本では長らく、介護や子育て支援への予算配分や政策的な手当てが手薄でした。要介護の当事者や子育て世代に、政党や政治家に献金をする経済的な余裕のある人は多くありません。言い換えれば、資金力が強いか弱いかで、政治への影響力や発言力に差が出てしまい、資金力の弱い業界や人の声はますます政治に届きにくくなり、その分野の政策も後回しになるということが長年続いてきたのです。

 1994年に成立した政治資金規正法改正でまず政治家個人への企業・団体献金が禁止され、2000年には政治家の資金管理団体への企業・団体献金も禁止されましたが、政党本部・支部への献金は引き続き認められ、その全面禁止が四半世紀以上の長年の懸案となってきました。

 立憲民主党は、強い者をより強く、弱い者をより弱くする政治に終止符を打ち、分厚い中間層を復活させる政治への転換を訴えています。

 そのためにも、臨時国会において「企業・団体献金禁止法案」(「政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案」)を衆院に提出しました。これらの法案では、特定の業界団体などのために政治・政策決定がゆがめられることのないよう、会社、労働組合その他の団体(政治団体を除く)が政治活動に関する寄附や政治資金パーティーの対価の支払いをすることを禁止し、かつ、それに伴って役割が大きくなる個人献金を促進するために、個人のする政治活動に関する寄付の税額控除の対象を政党・政治資金団体だけでなく国会議員、都道府県の議員・知事、政令指定都市の議員・市長(候補者等を含む)の資金管理団体にまで拡大することとしています。

 政権交代こそ、最大の政治改革。立憲民主党は企業・団体献金を禁止して、国民1人ひとりが政党や政治家を支える政治文化への転換を目指すために、政権交代を実現します。