立憲民主党の今井雅人議員は2日、衆院予算委員会の質疑に立ち、日本学術会議の推薦した会員候補105名のうち、6名が任命されなかった理由について菅義偉総理を追及しましたが、総理は「公務員の個々の任命理由については答えられない」と終始明確な答弁を避けました。
今井議員は冒頭、菅総理の著書「政治家の覚悟」の中で、菅総理が総務省のNHK担当課長を更迭した理由について明らかにしていると紹介した上で「なぜ本では言えて、学術会議の人事について言えないのか」と菅総理に迫りました。
菅総理は「選挙で約束したNHKの改革に反対する人は外さざるをえなかった」と答えましたが、日本学術会議の人事については理由を明らかにしませんでした。
今井議員は任命されなかった6名の共通点として、第1部(人文・社会科学)に所属し、特定秘密保護法案や安全保障関連法案に反対の立場である点を挙げ、それらが菅総理に任命しなかった理由かどうかただしましたが、菅総理は否定しました。
また、今井議員は、菅総理が代表質問で日本学術会議の問題として「民間出身者や若手が少なく、所属大学にも偏りがある」と述べたが、任命されなかった6名にそれらに該当する問題はないと説明。その上で「事実に基づかずになぜ6名を外したのか。説明していることとやっていることが違う」と菅総理に撤回を求めました。
政府が1983年の国会答弁で、「政府が行うのは形式的任命にすぎない」との立場を示していたにもかかわらず、2018年11月13日に内閣府と内閣法制局が「首相に推薦の通りに任命すべき義務があるとまでは言えない」と日本学術会議法の解釈を変更したとこれまでの経緯を説明。
その文書が「決裁すらされていないのは問題ではないか。(当時会長をつとめていた)日本学術会議の山極壽一前会長はこの文書を見ていないと発言している。あまりにもいいかげんにやっている」と政府の姿勢を批判しました。
最後に、任命されなかった6名が誹謗中傷を受け、その生徒たちにも就職活動で影響が及んでいることに言及し、菅総理の責任を追及していく考えを示しました。