泉健太政務調査会長は23日、茨城県石岡市でイノシシによる農作物への被害状況の影響を調査しました。視察は八郷地区の若手農業者の皆さん(YAC:ヤサトアグリカルチャークラブ)の案内で、青山大人衆院議員(茨城6区)と共に行いました。

 YACは、18年以上前からあり、他地域では産地で同じ野菜を作っている人が集まっている場合が多いですが、花卉(かき)や野菜、畜産、いろいろな分野のメンバーが参加しているのが特徴。いろいろな情報交換をしているなか、最近ではイノシシによる被害が共通する課題だということです。

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イノシシの足跡だらけの畑

 バラ園を経営している神生さんのテマリシモツケ(バラ科)の苗を植えている畑を視察。イノシシはイモ類などを食べるため、葉物野菜や苗を食べることはないということですが、地中にいるミミズなどを食べるためか、興味本位からか掘り起こしてしまうとのこと。

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イノシシに掘り返された苗

 電気柵は低いと飛び越えてしまうので高くまで設置する必要があり、また草花と接触していると漏電し効果が低くなるなどの問題の他、稲作では自分の水田だけではなく他の農業者とも協力して広範囲を囲わないと抜けが出てしまい効果がないという。また2重にしないと完全に防げず「進撃の巨人のようだ」との話もありました。

 石灰をまくと良いという話があれば試したりするが実際には慣れて数日で効果がなくなったり、唐辛子を植えると効果があるという話もあるが、広い畑を囲うように植えるのも現実的ではないと語りました。

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足元の白い線が石灰をまいた跡

 泉政調会長の県に報告しているかとの質問には、「報告する手段は一般人には分かりにくい」「被害が出た時に報告したが、被害額は聞かれず、罠をかけたという話もなく、実際には話を聞いて終わりなのではないか」「言ってもどうしようもないという諦めがある」といった意見がありました。
 また「1頭捕ると5000円出るというが、くくり罠は3000円。仕掛ける時間は無償なのでボランティア状態。わざわざ罠をかけることがやれない。補助金が少なすぎる」「くくり罠は3000円くらいだが、箱罠は高い」「狩猟免許を取ろうにも年5回しかなく、しかも4回は農繁期。農家が自分たちで取得できるような設定になっていない」といった話や「免許がなく罠を仕掛けてはなぜ駄目なのか」といった疑問も寄せられました。
 さらに猟友会の高齢化の話や、「箱罠を地区の資産にして計画的に設置していくなどの方法ができないか」「耕作放棄地が増えてしまうと山からイノシシが降りてきて被害が拡大してしまうので食い止めるのは今しかない」といった話がありました。
 そして国や行政が被害額を把握するシステムの構築や、電気柵を設置するなどの受動的な対策への補助金の他、イノシシの数を減らすための能動的な対策への予算確保、効果的な対策を講じるための研究に力を入れて欲しいという要望がありました。
 イノシシ被害以外の話では、高収益作物次期作支援交付金の運用の見直しについて困っているという話や、自然災害や価格低下なども含めた収入減少を補てんする収入保険制度について、例えば台風でハウスが飛ばされて収入が落ち込んでもすぐには出ず翌年4月に出るような仕組みであり、発動条件も厳しく使いにくいという指摘がありました。

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 泉政調会長は、今回の視察で聞くことができた現場の声を元に、農水省に対し確認し対応していくと約束しました。

 視察を終え記者団の取材に応じた泉政調会長は、「人口減少、担い手の高齢化、非常に深刻な環境だと思った。若手営農者を含め、やる気は高いが、自然環境の変化、鳥獣被害の深刻さを今回感じた。いまの与党の中ではなし得なかった地方に光をあてる政策、コロナ禍で自然と共に暮らしたいという方々も多くいる時代ですから、こういうところに予算をしっかり投じて、生活する場所を確保していく国造りを青山さんと一緒に進めていきたい」の述べました。

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泉政調会長(左)と青山議員(左から2番目)