衆院国土交通委員会で23日、閉会中審査がおこなわれ、荒井聰議員が質問に立ちました。

 荒井議員はGoToキャンペーンについて、これまでの委員会での発言を振り返り、「アクセルとブレーキを一緒に踏めるような、コントロールできるような役所は霞が関に今はない」「予備費3000億円を1企業に1000万円ずつ、3万企業に直接交付する方が効果がある」と赤羽国土交通大臣にあらためて提言しました。

 感染症対策と経済対策をどちらを優先させるか、イギリスやスウェーデンをはじめ、アメリカのトランプ大統領が経済政策を優先して進めてきた結果、世界最多の感染者数と死者数を記録したと説明。「『感染症対策こそ経済対策なんだ』という理念が基本になければ、GoToキャンペーンは絵に描いた餅になる」と赤羽大臣に迫りました。赤羽大臣は感染状況に応じて、田村厚生労働大臣など関係閣僚、都道府県知事らと確認しながらGoToキャンペーンの停止や再開を決定していく考えを示しました。

 オーストラリアが先んじて実施している下水道・処理場等へのPCR調査を活用した感染防止策を国内で活用すべきではないかと提案すると、赤羽大臣は「日本水環境学会COVID-19タスクフォースにしっかりと加速するよう指示する」と前向きに検討していく考えを示しました。

主な質問は以下のとおりです。

1.GoToキャンペーンについて

○場当たり的な対応が続き、現場は事業者も含めて大混乱の連続。キャンセル料の支払いルールが事前に整備されていない点も含め、現場運営を考えた制度設計になっていない。国民の誰が見てもわかるように、停止・中止や再開基準に関する運用方針を明確化した上で、早期に発信すべきではないか。

○国内の感染者数が20万人に上る中、GoToキャンペーン利用者5000万人のうち、わずか339名の感染者数が発表されているが、圧倒的に少ない。何らかの欠陥があるのではないか。GoTo再開にあたっては、受け入れる事業者や施設側の消毒やPCR検査の徹底に加え、利用者全員に対して無料でPCRや抗原検査を実施するなど、現行ガイドラインよりも踏み込んだ体制強化が必要ではないか。

○いま感染状況がひっ迫している地域は、札幌市や大阪市、名古屋市など政令指定都市に集中しているが、GoToキャンペーンの一時停止の判断や、感染症対策の要となる保健所の所管は都道府県となっているため、現場対応にタイムラグや齟齬が生じている。
 迅速な対応を進める上で、政令市などの一定規模の自治体については、GoToキャンペーンに関する判断権限、感染症対策を講じた場合の地 方創生臨時交付金などについて、直接対策すべきであると考える。

○ワクチンが市中に行き渡るまで、GoToキャンペーンは一旦停止すべきではないか。もしくは、再開する場合においても、全国一律ではなく、自治体などの各地域を主体として、家族旅行などに規模を縮小した地域版としての運用をしてはどうか。新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOAの普及率が低い。

2.大規模施設等の感染症対策における次亜塩素酸水の活用について

○クラスターが発生した札幌のアカシアハイツや、旭川の重心障がい児施設では医療ひっ迫により搬送先や移送手段についても確保が至難であり、自治体現場は対応に非常に苦慮している。今後、介護施設や特養老人ホーム、重症心身障がい児施設などでのクラスター発生時には、感染症法上の「みなし隔離施設」に指定することが妥当ではないか。

○介護施設や病院などでは、十数年も前から、次亜塩素酸水の空間噴霧による殺菌・脱臭やノロウイルス対策などを行なってきている。本年の厚労省通知やアナウンスによって、現場が委縮し、自治体によっては使用の制限がかかっていることについて認識をしているか。
 通知の趣旨が、現場で適切に使用することを止めている訳ではない旨を確認。

3.下水道・処理場等へのPCR調査を活用した感染防止策について

○5月の委員会質疑で、調査手法の確立について質問と提起をしたが、その後の進捗状況について

○ヨーロッパやオーストラリアでの先行事例
 技術開発・調査手法の確立における今後の課題や、予算確保の状況

○歴史的にも、下水道とは感染症対策から整備されたインフラである。その意義を踏まえ、積極的に感染症まん延防止に貢献していく姿勢が必要。人口密集地における処理場やマンホール単位でのPCR調査による感染症状況の把握については、地方自治体も強い感心を持っている。官民あげて日本の優れた技術力を活かして調査体制をしっかり確率すべく、予算確保を含めた大臣の意気込みをお聞かせいただきたい。