参院外交防衛委員会で4月25日、福山哲郎議員が中国での邦人拘束事案について懸念を示し、状況について政府に質問しました。

 福山議員は、中国で拘束されている邦人の案件が多いことを指摘し、「驚くことだが懲役11年、服役中病死等、罪としては重たい実刑が課されている。拘束されているのは民間人でもコンサルタント、学者、ビジネスマン、私的な旅行中に拘束された件もある。逮捕されれば金品も没収される」と事態の深刻さを指摘しました。

 福山議員が、現在、拘束されているアステラス社について外務省が把握していることをただしたところ、外務省は「今回の拘束事案について、拘束の事情についていかなる行為が犯罪に該当するかは説明を受けていないし、事情を把握していない」と答えました。

 林外務大臣からは「3月に中国当局から在中国大使館に中国の国内法違反があり中国当局に拘束されたと通報があった。中国側に対して早期解放を強く求めてきた。4月1日2日に中国を訪問した際に抗議をし、早期解放を申し入れた。4日に当該邦人に対して領事面会を実施。今後も早期解放を強く求め、関係者への連絡など支援をしていく」と発言がありました。

 福山議員は、中国では拘留できる期間が日本と比べて長期に及ぶこと、外交的に利用されうる点などを指摘し、政府の認識を問いました。

 林外務大臣は「中国では最長622日、20カ月以上拘留が可能であり、裁判も非公開での審理もある。反スパイ法の定義についても、最後に『その他スパイ活動』と書かれており、そもそもどのような行為かは明らかではない」と中国の実情に触れ、「中国側に対して説明を求め、プロセスの透明性の確保を働きかけている」と述べました。

 福山議員は「中国に在留する邦人は約10万人とも言われている中で、こういう事案があるというのは不安」と述べ、日本以外の国も拘留されている事例があることを踏まえ、「外交的な中で事務方同士で問題意識を共有、意見交換し、対処の方法を表にださずとも検討してほしい」と政府に求め、中国での邦人保護の必要性を強調しました。

20230425_112313.JPG