女性議員ネットワークの結成総会が25日午後にオンラインで開催され、活動方針と役員を決定。235名の女性自治体議員で発足しました。

 白石恵子(はくいし・けいこ)島根県議の進行のもと、呼びかけ人代表である堤かなめ福岡県議が結成に至る経緯について説明。堤県議は「2002年の民主党女性議員ネットワーク会議立ち上げから約20年間、この間の取り組みを引き継ぎ、次の世代にバトンを渡していく役割を担っている。活動の拡大を目指したい」と語りました。

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 ジェンダー平等推進本部長の大河原雅子衆議院議員は、「女性はまだまだ議会で少数。また、コロナ禍において女性が抱える課題は大きく厳しい状況におかれている。ジェンダー平等が保障される、パリテ社会を実現していきたい。『つながり合う』ことをキーワードに、共に支い合える社会をつくるために共に活動して参りましょう」とあいさつしました。

 酒井菜摘江東区議からは、活動方針と役員体制についての提案があり、審議が行われ全員の賛成で承認されました。概要は以下のとおりです。

【活動方針】
 「女性議員ネットワーク」は、全国各地の女性自治体議員がつながり、それぞれの地域で活動を行っていくためのプラットフォームです。
 パリテやジェンダー平等に向けた取り組み、議員活動を互いにブラッシュアップしていく活動、新人議員への支援、地域でのネットワークやコミュニティづくり、個別テーマの取り組み、ブロック・県連ごとの交流連携、広報活動など、さまざまな活動を展開していきます。

【役員体制】
代表:
 篠田江里子(札幌市議会議員)
副代表:
 堤かなめ(福岡県議会議員)
 戸倉多香子(山口県議会議員)
事務局長:
 白石恵子(島根県議会議員) 
事務局次長:
 酒井菜摘(江東区議会議員)
 中山瑞穂(世田谷区議会議員)

 代表となった篠田江里子札幌市議は「立憲民主党の綱領にあるように、性別を問わずその個性と能力を十分に発揮することができるジェンダー平等に向けて、共に力を尽くしていきたい。新型コロナウイルスの影響でたくさんの女性が困難を抱える中、一人ひとりの声をしっかり聞き、それぞれの地域で政策に反映して解決していきたい」と呼びかけました。

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 自治体議員局長の勝部賢志参院議員は「ジェンダー不平等の厚く高い壁を乗り越えていくために、女性議員だけでなく男性議員も含めて取り組み、とりわけ、このネットワークが結束・団結することで大きな社会運動に盛り上げていきたい」と語りました。

 総会の後半では「第5次男女共同参画計画』とジェンダー平等政策の課題」と題して、瀬山紀子明治大学非常勤講師による基調講演が行われ、次のように語りました。

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 「国による第5次男女共同参画基本計画が本日閣議決定され、今日を皮切りに5年間の計画がスタートしたが、第1次計画策定から20年、ジェンダー平等はいまだ進んでいない現状がある。
『ここで取り組みが進まない場合、個人はもちろん、社会全体にとっても重大な懸念すべき状況が生じかねない』と強い危機感が示されているものの、その危機感は多くの人にとって共有されていないことが問題である。

 男女共同参画推進法を契機に、地域レベルでもこれまでさまざまな取り組みが行われてきたが、なぜジェンダー平等は進んでこなかったのか。その理由の一つに、ジェンダー平等を進めることを明確によしとしない、大きな政治勢力の存在があげられる。年配男性を中心とする均質的な組織が政治や行政、経済などそれぞれの分野で存在している。また、人々の意識がまだ醸成されていないという理由で、政策が進められてこなかった。性教育を行うことや戦時性暴力を問題化することについても非常に強い反発があり、強いブレーキがかかっている状態が続いてきた。
 『ジェンダー』という用語が正しく理解されず、『男女共同参画』という用語を使用することによって性別二元論との結びつきといった弊害も生まれた。これらの一連の動きは、国際的な潮流から乖離していると言える。
 また、ジェンダーに関する施策は、人権に関する問題ではなく、女性活躍施策、少子化対策といった枠組みで扱われ、問題に対する理解が進まなかった。

 自治体議員が取り組むべき課題として、『まずは、ジェンダー平等とは何か、本質的に理解をすることが重要。ジェンダー平等とは性別に基づく差別のない社会をつくること』。『格差や負の影響を被っているのは誰か』を考え、それを見える化する作業が必要。ジェンダー統計などの調査を行い、データに基づいた施策を行うことが求められている。
 男女共同参画社会の目指す方向は、持続可能な社会。私たちは、現実に起こっている困難に目を向けていかなくてはならない。
 災害や新型コロナウイルス感染症によって社会が抱える課題があらわになっている。そういった課題や困難と向き合い、それぞれの地域においてジェンダー平等に関する理解者を増やし、優先順位の高い政策へと押し上げていく取り組みが必要である。」

 戸倉多香子山口県議は「ジェンダー平等を実現するために、女性議員を一人でも増やし、互いに励まし合いながらつながり、一緒に活動していきたい」と結びました。

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